8月1日に韓国のサイバーオロ企画「菫のオロチャレンジ」第2、3局が行われました。
初戦を破れた韓国の鄭有珍初段が、本領を発揮し、2連勝で幕を閉じました。この企画で、仲邑菫初段は新たな課題を見つけたはず。今後の活躍に期待です。(参照元はこちら)
出場棋士 | 日程 | 結果 |
第1弾:金彩瑛六段 | 第1局:7月10日(金) | 金六段、黒中押し勝ち |
第2局:7月11日(土) | 金六段、白7目半勝ち | |
第3局:7月11日(土) | 金六段、黒中押し勝ち | |
第2弾:徐能旭九段 | 第1局:7月17日(金) | 徐九段、黒中押し勝ち |
第2局:7月18日(土) | 仲邑初段、黒3目半勝ち | |
第3局:7月18日(土) | 徐九段、白中押し勝ち | |
第3弾:徐奉洙九段 | 第1局:7月24日(金) | 徐九段、黒中押し勝ち |
第2局:7月25日(土) | 徐九段、白中押し勝ち | |
第3局:7月25日(土) | 徐九段、黒中押し勝ち | |
第4弾:鄭有珍初段 | 第1局:7月31日(金) | 仲邑初段、白中押し勝ち |
第2局:8月1日(土) | 鄭初段、白中押し勝ち | |
第3局:8月1日(土) | 鄭初段、黒中押し勝ち |
※第3局は、第2局終了後に休憩を挟み、同日に行われる予定。
目次
第2局 「鄭初段、柔軟な打ち回しで圧倒」

第2局・Lizzieの解析結果(囲碁AI・minigo)
第2局は、鄭初段の素晴らしいサバキが光った内容です。
仲邑初段の攻めを華麗に対応して無力化する、まさに「柔よく剛を制す」ものでした。「かわすタイプの相手にどう戦うべきか」仲邑初段の課題が表れました。
それでは、第2局のハイライトを見ていきましょう。
【ハイライト1:序盤】 三々定石の簡明策
黒番が仲邑菫初段、白番が鄭有珍初段。
白1、3と外切りの変化に、黒4以下が有力だと考えられています。
ただし、黒は簡明に厚い形を得られる反面、短所があります。
参考図1 「盲点になりがちな欠点」
部分的に、白1と右辺を荒らす手が残ります。
黒2には、白3の逃げ出しが用意されています。
黒4と受けるなら、白5以下と右辺を破って白成功です。
黒はポン抜いても、周囲の白が強いので、効果を発揮しません。
このデメリットが大きく、個人的にオススメできない定石です。
【ハイライト2:中盤】 攻めの無力化
黒1、3の仕掛けに、白4のノゾキが好手。
黒Aは白Bで、白の戦果が大きすぎるので――、
黒5と白6を交換し、A以下のシノギを残して、黒7に回ります。
ただ、白8と突き抜ければ、左辺の白が安定するので、白十分です。
黒は右辺を大きくまとめづらいのが、泣き所。
参考図2「逆襲が成立する」
黒2のツギには、白3と受けられます。
黒4、6と切られても、白7と逆襲できるので、問題ありません。
黒8の抵抗に、白9以下と整形するのが1例です。
左辺さえ生きれば、外側の黒がボロボロとなり、白成功です。
第3局 「確かな研究と緩急自在な石運び」

第3局・Lizzieの解析結果(囲碁AI・minigo)
第3局は、鄭初段の構想力で有利な戦場を作り出す内容となりました。
序盤の研究が感じられる石運びで、戦う前の土俵作りでは、学ぶべき点が多いです。緩急自在の打ち回しで、仲邑初段を圧倒しました。
それでは、第3局を見ていきましょう。
【ハイライト1:序盤】 デザインされた布石構想
黒番が鄭有珍初段、白番が仲邑菫初段。
黒1と白2を交換し、黒3と脱出するのが有力でした。
AとBが見合いで、黒は互角以上に戦えます。
白6に、黒7と切って戦端が開かれます。
白14まで、黒は弱い石を2つ抱えて、苦しく見えますが――、
黒17、19と左辺を脱出すれば、黒悪くない流れです。
白20には、黒21で上辺は簡単に取られません。
白Aは、黒Bなどの反撃が厳しいです。
白22と受けざるを得ないところ。
黒23以下で、上辺と左辺を補強し、白の追求をかわしました。
一連の流れは、事前に研究された動きに感じます。
参考図1 「厳しい反撃の1例」
白1は、黒2以下と反撃して白5子を取れます。
実戦進行は、やむを得ない判断でした。
【ハイライト2:中盤】 冷静な収束見せる
白1、3の大技に、黒4以下が冷静な対応でした。
Aの連絡を強制しながら、自陣整備をして黒勝勢です。
結果論ですが、白は我慢すべき局面だったようです。
参考図2「辛抱強く機会を待つ」
白1以下と、根拠を確かめて連絡するのが相場でした。
下辺への進出や、右上の薄さをにらんで、これからの碁です。