7月25日に韓国のサイバーオロ企画「菫のオロチャレンジ」第2、3局が行われました。
このシリーズは、徐九段が圧倒的な力で3連勝を決めました。世界トップの強さを痛感した仲邑初段、さらなる進化が求められます。(参照元はこちら)
出場棋士 | 日程 | 結果 |
第1弾:金彩瑛六段 | 第1局:7月10日(金) | 金六段、黒中押し勝ち |
第2局:7月11日(土) | 金六段、白7目半勝ち | |
第3局:7月11日(土) | 金六段、黒中押し勝ち | |
第2弾:徐能旭九段 | 第1局:7月17日(金) | 徐九段、黒中押し勝ち |
第2局:7月18日(土) | 仲邑初段、黒3目半勝ち | |
第3局:7月18日(土) | 徐九段、白中押し勝ち | |
第3弾:徐奉洙九段 | 第1局:7月24日(金) | 徐九段、黒中押し勝ち |
第2局:7月25日(土) | 徐九段、白中押し勝ち | |
第3局:7月25日(土) | 徐九段、黒中押し勝ち | |
第4弾:鄭有珍初段 | 第1局:7月31日(金) | |
第2局:8月1日(土) | ||
第3局:8月1日(土) |
※第3局は、第2局終了後に休憩を挟み、同日に行われる予定。
目次
第2局 「たった1度の失策が致命傷に」

第2局・Lizzieの解析結果(囲碁AI・minigo)
第2局は、徐九段が序盤のリードを守り切る完勝譜でした。
たった1度の失敗が致命傷となり、仲邑初段は見せ場を作れず無念の敗退となりました。しかし、仲邑初段は発展途上の段階、これからの進化に期待です。
それでは、第2局のハイライトを見ていきましょう。
【ハイライト1:中盤】 結果的な最大の敗因
黒番が仲邑菫初段、白番が徐奉洙九段。
白1に、黒2と逃げたのが失策でした。
白3が急所で、黒は収拾つかない形になります。
黒4以下と抵抗するも、白9と制されて黒劣勢に陥ります。
仲邑初段は、この損点を取り戻せず、後退しました。
参考図1 「戦況しない頑張り」
黒1で助け出すも、白2以下の追求が厳しいです。
左右の黒を狙われ、黒は苦しい戦いが続きます。
参考図2 「力強いサバキの手法」
黒1、3とサバキを目指すべきでした。
黒Aが利くので、白は強く反発できません。
【ハイライト2:中盤】 巧みなシノギで引き離す
白1と深く踏み込んでいきます。
黒2と連絡を断つも、白3以下で巧みに活きるスペースを確保します。
上辺の白地が大きく、黒は損失を取り戻せない形勢です。
第3局 「ジリジリと背中を捉える石運び」

第3局・Lizzieの解析結果(囲碁AI・minigo)
第3局は、徐九段がベテランの技を見せます。
戦いを起こさず、一手毎に僅かな差をつけて、優勢を築く内容となりました。こうした展開は、仲邑初段が苦手とする分野かもしれません。
それでは、第3局のハイライトを見ていきましょう。
【ハイライト1:中盤】空振りする攻め
黒番が徐奉洙九段、白番が仲邑菫初段。
黒1、3の連打が、思い切った決断でした。
白4が厳しく見えますが――、
黒9への対応が分岐点。
実戦は白10と受けたため、黒11と大きく生きられたのが痛い失点でした。
白は手番を得たものの、活かす狙いがないのが泣き所です。
参考図1 「見た目以上に大きなツギ」
白2のツギが成立してました。
黒3には、白4以下で黒1子を取れます。
A~Cが利くので、ヨセの具合が大きく変わります。
【ハイライト2:中盤】ヨセの失着で急転直下
黒1に、白2から4がまずい対応でした。
黒9まで、黒に右辺と左下を固められ、差が広がっていきます。
参考図2 「1手の工夫で変わる終盤戦」
白2が冷静な好手でした。
前図との差は、白A~Cのヨセを狙える点です。
黒は、右辺のヨセを防ぐのが難しく、互角に近い形勢になっています。