白1のスベリは、有段者でも止めるのに骨が折れる打ち方。
本や人に教わる止め方が、実戦的に危険な場合が多いです。
今回はどんなリスクがあり、どのように止めるべきか紹介します。
目次
従来図「意外としぶとい、白の抵抗手段」
黒1、3はよく知られる止め方です。
ただ、白4で見た目以上に弾力ある形で、白悪くないワカレになります。
当然、黒5以下と白の根拠を奪っていきます。
白が厳しい戦いに見えますが――、
白10と黒11を交換し、左下隅に手を残すのがポイント。
その後、白12と脱出することで、黒の守り方が悩ましいです。
例えば、黒13と下辺を守るなら、白14以下と隅を荒らします。
黒Aに白Bでコウになるものの、黒がコウに負けると左下全体が危うくなります。
実質、黒から仕掛けづらく、隅の白は生きているに近い形です。
参考図1「厳しすぎる追求」
黒1と左下を制すなら、白2が厳しい追求です。
白は下辺を補強しており、力強く戦えるのが自慢。
黒3のツギに、白4以下で黒陣を裂いて白有利な戦いになります。
白は左下と下辺の狙いを見て、安全に追求できるのが強みです。
参考図2「力強いサバキ」
黒2と隅を取り切るのはどうか。
これは、白3のツケで下辺を補強する力技があります。
黒4と受けた場合、白5と薄味を突かれるのが厳しい。
左下の黒が薄いため、黒は反発できません。
黒6と受けざるを得ず、白7以下と下辺へ先着されて、黒不利な戦いです。
白Aも利くため、黒は下辺の攻めに転戦できないのがツライところ。
参考図3「大同小異」
黒2にも、白3以下の補強が成立します。
黒Aは白Bで強化させてしまうので――、
黒6と受けるのが相場。
ただ、白9で有利な戦いに持ち込めるので、白成功です。
参考図4「狙いを残し続ける」
蛇足ですが、黒1から3と迫るのは、白4と冷静に守られて収拾つきません。
白にAやBを見られて、状況は変わっていません。
推奨図「周囲が厚くなる、スベリの対抗策」
黒1、3と追求するのがオススメの対抗策。
地を稼ぐよりも「周囲に弱点を残さない」のが肝心です。
白4以下と連絡するなら、黒9と下辺を止めます。
下辺の白に眼を与えない形に導いて、周囲を厚くするのが黒の狙いです。
白10に黒11、13と下辺に傷を残さないのが大事です。
弱い石を残さず、白への攻めをにらみ続けます。
白16以下と守るのは、仕方ないところ。
黒21まで、左下を確定地にしながら、下辺を補強して黒十分なワカレです。
参考図5「切りの対策」
白1の切りには、黒2以下と分断します。
周囲は黒一色なので、黒有利な戦いです。
白5、7には、黒8以下と受けます。
白を分断さえすれば、黒有利は揺るがない戦型です。
白11以下は、下辺の補強と右下の攻めを見た意図。
ただ、黒16で右下を助け出せるので、厳しい追求は続きません。
黒は左下の白5子を孤立させて、黒満足な進行です。
参考図6「分断して優勢確立」
先に、白2と転戦されても、黒3と分断すれば黒有利な戦い。
白4に黒5で右下は捕まらず、下辺の攻めを見れるのが黒の魅力です。
まとめ「大切なポイントは『実利より力関係の重視』」
黒1、3は「白を追求しながら、黒陣を補強する止め方」です。
白AやBの手段は残るものの、黒有利な戦いに持ち込めるので問題ありません。
中盤以降で強く戦うためにも、力関係重視の打ち方をオススメします。