8月29日にネット対局で「2020年中国甲級リーグ」の第5戦が行われました。
日本の芝野虎丸九段は、中国の陳耀烨九段に破れ、苦いデビュー戦となりました。
過去に、日本から河野臨九段や一力遼八段も参戦しています。
※対局模様は「日本棋院囲碁チャンネル」で中継されました。
中国甲級リーグでは、ネット対局が活用されています。
日程が厳しい井山裕太九段など、参戦できる機会が増えるかもしれません。※中国甲級リーグとは、世界トップ棋士が集う最高峰のリーグ戦。
企業がスポンサーとなり、4人一組の団体戦で争われます。

韓国で行われていた中国甲級リーグの様子
韓国から参戦する棋士も、ネット対局で行われました。
公平性を保つため、カメラで対局の模様を記録する態勢になっています。
これから、国別で対局する場合は、この形式が主流になりそうです。
「時代に対応する世界戦」
コロナ対策として、世界戦はネットの活用が進んでいます。
運営費の節約や、移動のストレスがなくなるなど、長所が多いです。
AI対策も機能しており、コロナ後も今の体制が続くかもしれません。
ハイライト1 「現代の簡明定石」
黒番は陳耀烨九段、白番は芝野虎丸九段です。
白1以下と形を決めるのは、現代の簡明定石の1つ。
難しい変化がなく、すぐに実戦活用できます。
黒9に、白10とすぐに働きかけるのが、この定石の特徴。
白14まで、上辺と左辺を固められて、白悪くないワカレです。
参考図1 「切らない理由」
白1に、黒2の切りを入れたいところ。
ただ、白3以下で左辺と左上を先手で守られてしまいます。
黒は左辺で稼いだ地より、下辺に展開された損が大きいです。
参考図2 「地に辛い打ち方」
白1以下と、実利重視で打つのも有力です。
左辺をしっかり守りたい場合は、こちらを推奨します。
ハイライト2 「一瞬で崩壊する戦線」
白1が局面最大の大場です。
黒2以下が機敏で、一方的に攻められてしまいました。
▲と力を溜めた長所は「白1に受ける必要がない」ことです。
白7に、黒8以下と下辺が黒地に変わりました。
白13も受けてもらえず、黒14と確定地にされたのが痛いです。
この攻防を境に、流れが黒優勢へ転じます。
参考図3 「かわすのが有力」
結果論ですが、白2から6とかわすのが有力でした。
黒7と取られる代わりに、白8と左上で地を稼ぎます。
これなら、白悪くない進行でした。
ハイライト3 「厳しすぎる決定打」
白2は、左辺の黒を重くして攻める意図です。
ただ、黒3が右辺の白の攻めを狙う決め手になります。
白4、6と守らざるを得ず、黒7以下と取られてしまいます。
続いて、白Aと追求されても、黒Bと攻めを継続して黒勝ちです。