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【第9回応氏杯世界選手権・1回戦】一力、河野、許が2回戦進出

充実している柯潔九段。流行の兆しがある黒番の最新中国流で快勝した

9月8日に野狐囲碁で「第9回応氏杯世界選手権」が開幕しました。
日本から6名が出場し、一力、河野、許の3名が2回戦へ進出しました。
持ち時間は各3時間、使い切ると2目コミ出しで20分追加(2回まで)。
以下に本日の結果をまとめました。(左側が勝者)

 

【9月8日(火):1回戦の結果】
河野臨九段(日)―林立祥八段(台)
一力遼八段(日)―羋昱廷九段(中)
許家元八段(日)―党毅飛九段(中)
辜梓豪九段(中)―井山裕太九段(日)
楊鼎新九段(中)―芝野虎丸九段(日)
江維傑九段(中)―村川大介九段(日)
陶欣然八段(中)―李東勳九段(韓)
范廷鈺九段(中)―申旻埈九段(韓)
趙晨宇八段(中)―李立言初段(北米)
柯潔九段(中)―金志錫九段(韓)
謝科八段(中)―Ali二段(欧)
申眞諝九段(韓)―謝爾豪九段(中)
安成浚八段(韓)―李維五段(台)
許皓鋐六段(台)―卞相壹九段(韓)

【9月9日(水):2回戦の組合せ】
河野臨九段(日)―辜梓豪九段(中)
一力遼八段(日)―安成浚八段(韓)
許家元八段(日)―許皓鋐六段(台)
唐韋星九段(中)―陶欣然八段(中)
范廷鈺九段(中)―申眞諝九段(韓)
趙晨宇八段(中)―朴廷桓九段(韓)
楊鼎新九段(中)―謝科八段(中)
柯潔九段(中)―江維傑九段(中)

 

羋昱廷九段はコウを抜き間違え、急転直下で敗北した

 

「信じられないコウの取り違え」

1回戦で衝撃的だったのは「羋昱廷九段のコウの取り間違い」です。
普段では、考えられないミスで、優勢だった碁を落としました。
(参考図2を参照ください)

 

 

実戦譜1 「LeelaZero型布石の簡明策」

黒番は羋昱廷九段、白番は一力遼八段。
白1から5で、右上と右下を補強するのが簡明策です。
急な戦いを未然に防ぐことで、白はコミを活かせる局面へ導けます。

【LeelaZeroの遺産】変幻自在に立ち回る、ツケ手法の正体

黒番は廖元赫八段、白番は芈昱廷九段。 白1のツケが、囲碁AI・LeelaZeroの多用した手法。 相手の動きを見て、立ち回れる長所があり、最近打たれ始めています ...

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参考図1 「追求をかわす、軽快な打ち回し」

黒1と追求するなら、白2以下とかわして大場に走ります。
△と▲の交換で、右上隅は固いため、さらに固められても問題ありません。
白は地を稼ぐスピードを加速して、十分な展開です。

 

参考図2 「衝撃的な幕引き『コウの取り違い』」

左下でコウ争いをしていた中、黒3と抜く場所を間違えてしまいます。
当然、白4と抜かれて、形勢は白へ一気に傾きました。
このミスは、相当ショックだったはずです。

 

実戦譜2 「河野スペシャル炸裂!」

黒番は河野臨九段、白番は林立祥八段。
黒1から5の構え方が「河野スペシャル」の布陣です。
この打ち方はシンプルで、運用しやすい有力な打ち方です。

白6には、黒7以下と丁寧に実利を稼ぎます。
足が遅いように見えて、白はその後の打ち方に頭を悩ませます。

白12以下と形を決めた後、黒23が好点になります。
右下の厚みを牽制しながら、AとBを見合いにして黒悪くない展開です。
今後、黒の有力布石として、広く知られるかもしれません。

 

参考図3 「戦いの主導権握る」

前図に続き、白1から5と上辺を割るなら、黒6以下が厳しいです。
右下の攻めを横目に、左下の白模様を自然に消せるので、黒十分な戦果です。

 

実戦譜3 「華麗すぎる中盤の収束」

黒番は許家元八段、白番は党毅飛九段。
白1と裂いてきた時、黒2以下の対応が柔軟でした。
白9まで、下辺の黒が孤立したように見えますが――、

黒10以下で、左上と右上の白を狙うのが、素晴らしい構想でした。
制空権も握れたので、下辺一帯の守りにも働いています。

白19には、黒20と分断します。
黒はAとBを狙えるので、黒優勢がハッキリしました。
1回戦の中でも、屈指の好局なので、ぜひ並べてほしいです。

 

参考図4 「用意された追求手段」

白1と守るなら、黒2以下が厳しい追求。
AとBが見合いで連絡できるので、上辺の白が苦しい格好になります。

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