黒番は辜梓豪九段、白番は廖元赫八段。
白1は、シチョウが悪い時に用いる三々定石の打ち方。
黒8が簡明な対応策で、困った時に頼りになる手法です。
抜きの特徴
- 先の打ち方が予測できる
- 初見では、正しく対応されづらい
「使う側は楽で、受ける側は難しい」
シンプルでありながら、相手を悩ませることができます。
仮に、正しく反発されても、戦える戦型になるので、試してみてください!
目次
手順図「実戦頻出形の三々定石」
白1から7と簡明に受けられた後、黒8以下が封鎖の手筋。
続いて、白Aなら黒Bで外周を厚くします。
白11と反発された場合、黒12以下と形を決めます。
シチョウが白良しなら白A、悪い時は白Bを打つのが、選択の基準です。
実戦図 「黒の狙いは『切り返しの手筋』」
白1と逃げるのは、当然の1手。
この時、黒2以下が本命の狙いです。
実戦は、白5以下と連絡します。
Aの利きやBの狙いがあり、右辺の白3子を動かれても、黒は戦えます。
ポイント
穏やかなワカレになれば、白の薄さを残せる
参考図1 「反発の進行ー厚みと実利のワカレ」
白2の抜きが、最大の反発です。
黒3と分断されても、白4以下と外周を厚くして、隅の損失を取り戻します。
続いて、白Aと右上を助ける手を見ているのでーー、
黒9、11と中央へ脱出します。
白12以下で右辺と上辺を治まって一段落です。
白に厚くされる代償に、黒は右上を飲み込めるので、黒悪くない展開です。
参考図2 「水面下の変化①ー厚すぎる壁の構築」
黒2と受けるのは、白3で右上を助け出されます。
強引に黒4と裂いても、白5以下で黒収拾つかない形です。
黒8、10で右上を取り切ることは可能です。
しかし、白11以下と外周がかなり厚くされるため、黒失敗です。
参考図3 「水面下の変化②ー全て助け出せる」
黒2と大場に走るのは、白3から5で生還します。
黒6には、白7以下と治まれるので、心配いりません。
後に、白Aと右上の黒を取る手もあり、白成功です。
参考図4 「抜きの意図ー種石を確保できる」
白2と守るのは、黒3で種石を取って黒悪くないワカレです。
続いて、白Aは黒Bで逃げられません。
参考図5 「補足:シチョウ関係の確認」
単に白1と打つ場合、黒2のシチョウが成立しないのがポイント。
この局面では、シチョウは黒良しなので、本図は避けるべきです。
まとめ 「見合いを利用する、抜きの手法」
黒1は「候補手を限定し、先の展開を予測できる」長所があります。
正しく応じられても、黒が悪くなりづらいのも、この手法の魅力です。
白への有力な対抗策となり得る手法なので、覚えて損はないはず。