三々定石の全局構想

 テーマ図「戦線拡大の定石」


左上は三々定石で生じる有名な形で、白1から3と左辺と上辺を占められる長所があります。
以前は黒Aが研究されていましたが、現在は黒4と三子を助ける手法に脚光を浴びています。
まずはここまでの手順を下図で振り返り、それから意図を解き明かしていきます。

 手順図「簡明型の一つ」


黒1の三々入りに白2、4が代表的な受け方の一つです。
これに黒5と手番を相手に渡さない態度を取ったことにより、複雑な戦いへ突入します。
今回紹介する変化を選ぶ場合、右上に△など白石が予め配石されていることがポイント。


白6と強気に対応し、左上隅の黒にプレッシャーをかけるところ。
黒7から11と薄みを突くのに対し、白16の簡明な定石を選んだのが岐路になります。
最近は白16でAと難解形に進むことが多いだけに、珍しい類の形になりつつあります。


白がこの定石を選びづらくなった理由は、黒17から23と大きな実利を与えるからです。
もちろん、外周は厚くできますが、黒の切りが入っている状態で気分が良くありません。
ただ、限りなく互角に近い戦いになるので、好みであれば進んで打ってみてください。


白24から30と攻めを睨んで、左辺と上辺を拡大するまでほぼ一本道の進行。
従来の進行では、黒Aに白B以下と黒三子を取って互角のワカレと見られていました。
今回紹介する手法は、白の傷を浮き彫りして打開する積極策です。

 参考図1「簡明に主導権握る」


白2と傷を残そうとしても、黒3と守れば意外と厳しい追及が続きません。
白は中央の黒へプレッシャーをかけていきますが――、


白4には黒5から11と素直に受けて問題ありません。
白12と左辺を備える必要があり、黒13から15と上辺の発展性を制限して黒悪くない展開。
左辺にはAやBと荒らす手段がある上にCの狙いもあり、白は収拾するのに苦労します。

 参考図2「切り対策(1)」


白1の切りには黒2のコスミで黒三子の連絡を確かめるのが肝心。
黒6まで、黒A以下の手段を見ながら白二子を攻める態勢を築いて黒有利な戦いです。

 参考図3「切り対策(2)」


白1と黒三子を取りにきても、安易に捨てず黒2と受けるところ。
白3、5と切断されても、黒6から8と強気に応じれるので互角以上と見て良いでしょう。
黒A以下と生きる保険があり、取られる心配がほぼないのが黒の強みです。

 参考図4「万全な反撃」


傷を残そうと打つのは黒有利に働くので、白1と穏やかに受けた場合を見ていきます。
これには黒2から8と補強してから、黒10と厚みの働きを削ぐのが良い調子になります。
次に黒Aの利きから進出されるのが厳しいので、白は上辺を受けるのが相場です。


白11と受けるなら、黒14から20と左辺の白陣へ強襲を仕掛けていきます。
中央の補強が済んでおり、左辺では一方的に薄みを突けるのが黒の自慢です。

 参考図5「準備された強襲」


以上より、白1から3と傷をつけながら、厚みに傷が残らないように打つくらいです。
続いて、黒4に白A以下となれば、今までの図よりも白有利な展開となりますが――、


白5には黒6と先手で形を決めた後、黒8と左辺の白に働きかけるのが激痛。
左上の白を飲み込まれると、中央の黒が強くなるため助け出さなければなりません。


白9には黒10の切りで厳しく追及していきます。
白11、13でAとBが見合いとなり、黒失敗したように見えますが――、


黒14、16と左辺に進出するのが好判断。
白15と割られたところで、左上隅は堅陣なので影響は一切ありません。
白はAの重大な傷を抱えており、強く戦うのが難しい状況となっています。


白21、23には反撃せず、黒24から26と守るのが冷静です。
白27と守られますが、黒28から32と下辺を広げながら左辺への寄り付きを見て黒優勢。
こうした反撃が用意されているため、白は左辺を守るのが急務です。

 参考図6「基本的な対処法」


白1の切りには黒2と左辺へ働きかけるのが、この戦況でも有力です。
黒4と白5の交換を入れて厚みに傷をつけた後、黒6と守っていきます。


白7には黒8以下と頭を出せるので黒有利な戦いへ導けます。
見た目は薄い格好に見えた黒の姿ですが、意外と力強く戦える一面があります。

 最善図「シンプルなワカレ」


以上の水面下の戦いがあり、黒1には白2から6と守るのが相場となります。
左辺で地を稼がれる代わりに、黒7へ回れたので互角に近いワカレでしょう。
出来上がりの図は非常にシンプルですが、ここに至るまでの道は実に険しいです。

 まとめ


黒1と露骨に助けることで、白陣の隙が浮き彫りになるのが最大の長所です。
厳しい追及に対しても、その薄さを利用して巧みにかわせるので有力と言えるでしょう。
この定石は黒地が大きいと見られており、白がこの定石を選ぶ機会が減るかもしれません。

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