テーマ図「狙いを秘めた攻防」
黒1のカカリに白2と狭く挟む手法は昔からよく打たれるものです。
最近は黒3の両カカリで対抗する実戦例が増えており、有力と見られています。
黒はどういった意図で打ち進めるのか、一つ一つ検証していきます。
白4、6と左方に働きかけるなら、黒7以下と強く対応するのが黒の意図です。
白はAかBの何れかを守る必要がありますが――、
白9には黒10、12を決めた後、黒14のツケに回るのが一連の流れの狙いです。
黒Aのサガリを見られており、白の受け方が悩ましいところ。
白15、17と備えても、黒A以下の手段が残っており白地でないのが泣き所。
黒20まで、左辺に立派な陣を敷けたのも大きく、黒悪くない展開と言えるでしょう。
両カカリは本進行を意図として打たれることが多いです。
参考図1「機敏な打ちまわし」
前図の進行を避けるため、白1と連絡を断つなら黒2と連絡します。
白3と封鎖されて左辺と左下の黒が窮屈に見えますが――、
黒4と白5を利かした後、黒6以下と左下の生きを図ります。
白は左下で生きられた代償に白9と左辺の黒への攻めを狙っていきます。
黒10の押しから整形を目指します。
左下の白に寄り付かれないよう、白11から17と厚くする処置は必要な手続き。
その間に黒18以下と左辺を手厚く治まれば、全ての黒を補強することができます。
白は厚みを背景に、白Aと広げても黒Bと消せば黒十分な展開です。
参考図2「簡明にかわす」
白2には黒3、5と大場に走るのがわかりやすい対処法。
白6と制されても、AのスベリやB以下の利かしがあるので黒不満ない進行。
黒7と左辺をヒラいて、左下の厚みを牽制できているのも黒の自慢です。
参考図3「白厚いワカレ」
黒2から8と追及するのも考えられますが、基本的には白十分なワカレと見て良いでしょう。
ここでは黒AとBの手段を見ていきます。
黒10から16と形を決めるなら、白17と外周を厚くする進行を目指します。
一方、黒は左下隅を地にするように策動していきます。
黒18から26と手順を尽くして地を稼ぐも、白27の抜きで白の厚みが優ります。
続いて、黒28の逃げ出しが強烈に思えますが――、
白29、31と外の傷を補強していきます。
黒32の切りには白33以下と下辺を補強しながら中央を厚くして白有利なワカレです。
参考図4「厚すぎる壁」
黒3、5と左下隅に働きかける手法も考えられます。
黒7まで、AとBを見合いにして黒成功したように見えますが――、
白8、10と外周を厚くするのが好判断です。
左下の稼ぎも悪くないですが、厚みに劣る上に後手なので黒不満と見るべきでしょう。
まとめ
黒1、3の両カカリに白AかBの何れかが考えられますが、黒悪くないワカレとなります。
比較的わかりやすい変化で収束できるので、様々な局面で応用が利くはずです。
単に三々へ入りたくない場合に活用すると良いかもしれません。