三々入りの周辺

細かい工夫

今回は「簡明な三々定石が打たれた後の狙い」を中心に紹介します。
でき上がりの形は非常に地味ですが、その後の打ち方に大きく影響を及ぼす背景があります。
細かな積み重ねが戦術の幅を広げる助けにつながるので、ぜひお試しください。


【テーマ図:簡明策の対応案】
黒1の三々入りは現代を代表する手法として定着しました。
それに対し、白2から4と難解な変化を避ける形がしばしば見られます。
黒は様々な対応策が考えられますが、現在では黒5と受ける実戦例が増えています。


白6など大場に走るなら、黒7としっかり守るのが黒の意図する進行です。
単に守った地味な手に見えますが、いろいろな形を想定した際に大きく働いてきます。


シチョウは黒良しなので、白8の両カカリには黒9から13の切りを選択していきます。
両カカリの攻防を簡明に収束したい場合はオススメの手法です。


白16まで定石手順ですが、ここで黒Aと抜かずに黒17と攻めに転じられるのが黒の自慢。
▲が手堅い守りなので、白から強いシチョウアタリがないのがこの形の意図です。
左上の攻めから上辺に広大な黒陣を築く構想も描け、黒の楽しみが多いと言えます。
※状況次第で白Aの動き出しを無視して他方に回る進行を選べるのも黒のメリットです。



【参考図1:シチョウ関係】
白1から5と三々入りに対しても、黒6と守るのが有力です。
左上の白が攻められないように、白7と備えれば黒の意図を崩したように見えますが・・・、


黒8、10と形を決めるのが、先を見据えた狙いとなります。
三々定石後のよくある手法であるものの、現局面では有力に働きます。


白11から21と形を決めた時に、黒22と白一子を制せるのが黒有利なワカレになります。
▲に配石されていることによって、シチョウ関係は黒良しになっているのがポイント。
地味に見えたカケツギですが、シチョウに関する攻防で強い働きを見せているのです。



【参考図2:後の狙い】
白1から5と形を決めた後、白7のツケが手筋です。
黒Aと反発するのは白Bと分断されて黒不利な戦いを強いられます。


黒8、10と守るのは相場の進行です。
白11まで、白が悪くない碁形に見えますが、左上の厚みはハッキリした眼がないのが短所。
中盤以降の戦いでその点が大きく影響するため、左辺を荒らす手がかりになります。
※白11の後、実戦的には黒AやBなど大場に走って互角に近い進行です。


狙いの一つは黒12の打ち込みになります。
白13、15と攻めるなら、黒16から18と脱出を図っていきます。
この時に左上の白の眼形がハッキリしないため、攻めの対象となっているのです。
こうした狙いがあるため、白も左上の形をどう決めて良いか、悩ましいところ。

「編集後記」
今回の内容はこちらの生放送の冒頭で簡単に解説した内容です。
地味なように見える手法も、奥が深いので棋譜を見る際の参考にしてもらえればと思います。

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