三々定石の大型化(2)

淘汰される時代

囲碁AIの実用化により、碁の進化が飛躍的に進んだ一方、淘汰された戦術も数多くある。
新戦術が生まれたとしても、すぐに解析されて次の日には対策が立てられてもおかしくない。
昔の戦術で残っているものもあるが、新発想や手法をいち早く学ぶのが重要になっている。


【テーマ図:低空飛行の活路】
黒1のノビは白の出方を見て先の打ち方を変える意図があります。
白も小さく取るのでは黒の厚みに劣るので、白2と大きく取りにいきたいところ。
前回に引き続き、黒3から5の粘りについて様々な変化を検証していきます。


白6、8と眼を奪うのが厳しく見えるかもしれません。
しかし、黒9から11と二線に活路を見出すのが好手となり、見た目以上にしぶといです。


前回は外のダメヅマリを突かれたため、今回は白14を利かした封鎖の変化を検証します。
見た目は窮屈そうな形ですが、先の変化を考えると白容易でないことがわかります。


黒17から23と上方に一眼を確保してから、黒25とダメを詰めつつ右上に眼を求めます。
この形になっても、黒Aの切りが厳しいことには変わらないため、白は守る必要があります。


白26と手を戻すのは仕方ないところ。
黒27、白28と互いに生きを確かめた後、黒29で前回同様に黒打ちやすい局面となりました。
白は上辺を封鎖しても、あまり得策にならないことがわかります。


【参考図1:切りが厳しい】
白2、4と右上の眼を奪うのはやり過ぎ。
黒は上辺の眼形がなくなり、窮している形に見えますが・・・。


黒5と白6を交換して手数を稼いだ後、黒7の切りが激痛。
白8には黒9でAとBを見合いにして上辺の白一団が崩壊します。
(黒9ではBと取るのもわかりやすい決め方です)



【参考図2:手間のかかる取り方】
白1、3を決めた後、白5から7とオイオトシで黒を取りにくる変化も考えられます。
ただ、これには黒8と白に寄り付きながら地を稼げば、黒有利な局面に導けます。
白Aと取りにいっても、黒を取り切るまでに時間がかかるのが白の泣き所です。


蛇足ですが、先の変化の一例を紹介します。
白9と封鎖を嫌うなら、黒10としつこく寄り付いていくのがポイントです。
黒20まで、厚い形を築いてから黒22と左上の白へ働きかけていきます。


黒の厚みが控えているので、白23から25と受ける相場。
上辺の黒を安定させてから黒26、28とAの傷を補強すれば、黒好調な展開です。
黒Bとコウ絡みで右上の黒を全て助け出す狙いも見れるので黒の楽しみが多い碁形。

「編集後記」
低位置に強いても、よくならない不思議な定石の一つです。
WGCで柯潔九段が見せた対応は、今回の変化などを回避したわかりやすい形の決め方でした。
次回は、WGCでもう一つ難解な三々定石が現れたので、時間がある時に紹介する予定です。

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