三々定石の大型化(1)

三々定石の世界

囲碁AIが打ち出して以来、星へ三々入りするのが常識的な手法となった。
様々な変化が研究されているが、想像以上に奥の深い世界で未だに結論が出せていない。
今回はWGCで韓国の朴廷桓九段が打った新手を検証していく。


【テーマ図:三々定石の進化】
白1の三々入りに黒2、4と受けるのは、先手を取って大場に走る意図。
白も穏やかな進行を選ぶこともできるが、最近は白5と厳しく追及する実戦が増えています。
たとえば、黒Aは白B以下と右上の厚みの働きを消されて黒が出遅れた格好です。


黒6と右上の白にプレッシャーをかけるのは当然の対応。
白7から11と外周の傷を突くのが最近よく打たれる三々定石の一つです。


黒12から白19までの手順はほぼ一本道の進行です。
この瞬間、いろいろな手段が考えられますが、朴廷桓九段は面白い手法は用意していました。


黒20と白21を交換してから、黒22と単にノビるのが面白い手です。
仮に白Aと右上の黒を制すなら、黒B以下と大場に走って互角に近いワカレになります。
白地が大きく見えますが、将来的に攻め取りになる可能性が高いので黒遅れていません。


白23と少しでも大きく取りにいきたいところ。
ここで、右上がこのまま取り込まれないように、黒24から26と抵抗するのが黒の意図です。
白Aと追及しても、黒B以下で簡単に取り切ることができません。


白27、29と取り切るなら、黒30から32と中央を厚くしていきます。
右上の黒は取られますが、Aと封鎖する手を横目に黒Bから左上に寄り付く狙いがあります。
黒の厚みが右下の構えと呼応していますし、黒は後の狙いがあるので互角に近いワカレです。


【参考図1:アテを決めない理由】
黒1のアテを決めると大きく状況が変わります。
黒7まで、見た目はテーマ図と似た進行を辿っているないように見えますが・・・。


白8から12とコウで取りにいく進行を選ばれてしまいます。
▲と△の交換により、黒がコウを抜いてもアタリにならないのが大きな差となっています。
続いて、黒Aは白Bと丁寧に受けられて、コウ材が続かないので黒失敗です。



【参考図2:地下鉄流の粘り】
この形を打つ上で、白2から4と追及する手段は当然備えたいところ。
見た目は黒心許ない格好ですが、意外な粘り方があるので覚えておくと役に立ちます。


黒5、7と二線から活路を見出すのがしぶとい抵抗。
通常は序盤から低位置を強いられるので、黒悪くなると見るべき変化です。
ただ、この形では右上の死活が絡んでおり、白も容易ではありません。


白8から18と押さえ込まれ、見た目は黒良くないように見えるかもしれません。
しかし、先の変化を想定していくと、黒悪くないことに気づきます。


黒19、21と白をダメヅマリに導きながら眼形を築くのが好手。
続いて、黒Aの切りが厳しいので、白は上辺の黒を取りにいけません。


白22と断点を守るのは仕方ないところ。
黒23、白24とお互いに生きを確かめた後に、黒25とAの断点を守るのがうまい。
黒は右辺を広げると同時に、自らの傷を効率よく守れたので黒良しのワカレと言えます。
蛇足ですが、白Aと切るなら、黒B以下でピッタリ白を取れます。

「編集後記」
三々定石の新しい変化がまた出現しました。
囲碁AI・金毛測試が時々打っていた手ですが、公式戦で見たのは初めてだと思います。
次回も引き続き、大型定石の記事を掲載していく予定です。

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