第20回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦第10戦

日本、世界の壁を突破できず

2月18日に中国・上海で「第20回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」の第10戦が行われた。
日本の井山裕太九段が出場するも、韓国の朴廷桓九段に敗れてしまい日本の敗退が決まった。
第8回大会以降、日本は3位から脱却できず、厳しい現実を突きつけられた。
現時点での戦況を以下にまとめたので参照ください。

【日本】井山裕太九段、一力遼八段、許家元八段、本木克弥八段、芝野虎丸七段(1勝)
【中国】柯潔九段、辜梓豪九段、時越九段、党毅飛九段、范廷鈺九段(7連勝)
【韓国】朴廷桓九段(2連勝)李世乭九段、申旻埈九段、崔哲瀚九段、安國鉉八段

ここまでの展開は、中国が独走優勝した前々回大会と同じ流れを辿っている。
朴廷桓九段としては、まずは次局を制して以前の流れを断ち切りたいところだ。
明日の第11戦は朴廷桓九段と中国の党毅飛九段が対決する予定だ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜:早仕掛けの序盤】
黒番が朴廷桓九段、白番が井山裕太九段です。
白1、3と構えた瞬間、黒4の打ち込みを急いだのは珍しい手法。
通常は黒A、白B、黒Cと整形したり、大場に走るのが基本であるからです。
白は無難に封鎖する変化も考えられましたが、実戦は厳しく追及する進行を選択します。


白5のノゾキが最近よく打たれる様子見です。
続いて、黒Aと素直に受けるなら、白B以下と上辺で強く応じることができます。


黒6のコスミツケが代表的な反発の一つです。
白Aは黒Bとツガれた時に、白のノゾキが黒を固める悪手になります。


白7と上辺の黒に働きかける進行を選びます。
黒8は相手の出方を見て、先の打ち方を変える様子見の意図があります。
白9、11と傷をつけながら整形した時、AとBを狙われて黒窮したように見えるが・・・。


黒12と右上隅を守るのは当然の態度。
白13、15を利かしてから、白17と上辺の黒二子を取り込みにいきます。
部分的には白Aの切りも狙われており、逃げ出せない格好となっています。
白がサバいたように見えますが、ここで朴廷桓九段は意外な打ち回しを見せます。


黒18、20を決めてから、何事もなかったかのように黒22と大場を占めていきます。
見た目は黒三子を大きく飲まれてしまい、黒が失敗したように映るかもしれません。
しかし、右上の黒陣を固めた白の損失も大きく、見た目ほど白得していないようです。
白Aは黒B以下で黒の得が優る上、上辺の白陣に様々な利きがあるのが黒の自慢。


白は上辺の味を消すため、白23から29と頭を出しながら整形を試みます。
部分的には白がうまく打ちこなしたように思えますが・・・。


黒30から38と利かした後、黒40と左上の白に先着して若干黒打ちやすい形勢。
上辺の黒三子を制しましたが、その間に右上や上辺に黒陣を築かれてしまったのが痛いです。
状況次第で黒Aを利かす狙いなどがあり、中央の主導権は黒が握っていると言えるでしょう。
白は上辺に手を多くかけており、見た目ほど効率の良い形でないのが泣き所です。
結果、黒中押し勝ち。



【参考図1:強気な態度】
黒2と素直にツグのは、白3と封鎖する進行に突入します。
シチョウが良いので黒4のワリ込みが成立しますが、これには白5、7と強く応じれます。


△と▲の交換により、黒8に白9と受けられるのが白の意図です。
黒10、12と上辺の懐を広げれば、黒も悪くない進行に見えますが・・・。


白13と黒14を交換して、黒Aの利きを消した後に白15と迫るのが厳しい追及。
黒16と中央進出を試みるなら、白17から21と黒の眼を脅かしながら中央を守ります。
白は左上で実利を稼ぎながら中央を補強できる上、白Bと眼を奪う狙いがあり白十分です。



【参考図2:簡明な収束】
黒1のコスミツケに対して、白2と封鎖するのが簡明策です。
続いて、黒Aと右上隅を固めながら連絡されるのが大きく見えますが・・・。


黒3には白4から10と上辺への進出を止めるのが手厚い。
後に黒A、白B、黒Cと切断する狙いがあり、白の楽しみがあるのも大きいです。

「編集後記」
今回も残念な結果となりましたが、今年の世界戦はまだ始まったばかりです。
今週の木曜日から国内の世界戦であるSENKOCUP女流最強戦2019が開幕します!
ぜひ、ここで日本の強さを示して、世界に存在感を示してほしいところです。

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