第23回LG杯朝鮮日報棋王戦本戦決勝(1)

時越九段、世界タイトル奪取へ前進

2月11日に韓国棋院で「第23回LG杯朝鮮日報棋王戦」の決勝三番勝負第1局が行われた。
中国の時越九段が白番の新鋭・楊鼎新七段に勝利し、世界タイトル奪取へ大きく前進した。
白番の方が有利と見られる傾向があり、白番で勝利した戦果は大きいと言えるだろう。
2月13日の次局で楊鼎新七段が踏み止まれるか、注目していきたい。
では、対局を振り返っていきます。


【実戦譜:様子見の攻防】
黒番が時越九段、白番が楊鼎新七段です。
黒3に受けず、白4の三々入りで相手の受け方を聞くのが現代風の打ち方。
右下の攻防次第で左下の受け方を自在に変える意図があり、黒は容易でない局面です。


白の意図を崩すため、黒5から7と手番を重視した変化を選択。
黒9の両カカリに先着できたものの、最近は両カカリへの対抗策も多く編み出されている。
白のシチョウが悪い場合、次図のような変化が進むのが最近の常識となりつつある。


白10から16と軽くかわすのが、シチョウが悪く配石も好ましくない場合の簡明策です。
黒Aと形を決める変化も考えられるも、状況次第で黒Bと左辺を割る変化も考えられます。
そこで、時越九段は左下の形を決めずに、黒17から19と左上の受け方を利いていきました。
現代碁は相手の出方を見てから動く「後の先」狙う石運びが主流となっています。


白20から24と先手で左上を厚くした後、白26に先着して黒の手抜きを咎めるのが機敏。
左上の厚みと呼応して、左辺の白陣が少しずつ深い模様となっています。


黒27から33と先手で左下の白陣に食い込めるものの、左下の白は見た目以上に厚い格好。
黒35と実利に走られても、白36と手厚く左辺を広げていけば白十分な展開と言えるでしょう。
一つ一つの変化は難しくないですが、全局のバランスを見て使い分けるのは困難です。
結果、黒中押し勝ち。

「編集後記」
さりげない変化ですが、互いの意図を崩す水面下の読み合いが存在します。
棋士の碁は盤上に現れない無数の変化があり、無難に見える進行でも奥が深いものです。

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