第1回天府杯世界囲碁選手権ー決勝(3)

12月26日に中国で「第1回天府杯世界囲碁選手権」の決勝三番勝負第3局が行われた。
中国の陳耀燁九段が中盤で韓国の申眞諝九段を圧倒し、2年ぶりに世界タイトルを奪取した。
優勝賞金は200万元(約3230万円)、準優勝は70万元(約1130万円)である。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜:スピード重視の打ち方】
黒番は陳耀燁九段、白番は申眞諝九段です。
白9までの進行は第2局と全く同じ進行を辿っています。
右上の打ち方を想定した上で次の一手を決める必要があり、見た目以上に悩ましい局面です。


黒10から16と実利を稼ぐ進行を選択します。
白Aが気になりますが、手抜きしたことにより右上の黒が捨てやすい意味があります。
陳耀燁九段はあえて右上の黒を助ける価値を低くし、捨て石にする戦術を採用しました。


当然、白17から右上の黒を追及するところ。
白21まで、黒は二分されて苦しい戦いに見えますが、黒は返し技を用意してました。


黒22、24と切りを入れるのがサバキの手筋です。
白Aと受けるのは黒B、白C、黒Dで二段コウに持ち込まれてしまいます。
右上の黒は捨てやすい状況下だったので、コウでフリカワリを狙えるなら黒悪くないです。


白25と黒一子を取って反発していきます。
白31まで、黒三子を捨て石にして上辺が補強できたので、黒の意図した進行と言えます。
右上の白陣は立派な格好ですが、黒32と大場に走れるのも大きく互角に近い形勢です。
この後、陳耀燁九段が中盤の戦いで抜き去り、世界タイトルを獲得しました。
結果、黒中押し勝ち。


【参考図:コウのサバキ】
実戦進行を避けるため、白2と受けるのは黒3と粘るのが手筋。
白A、黒B、白Cと耐える手はありますが、周囲の利きが生じるので白が気持ち悪いです。


白4の抜きが無難な対応。
黒5とコウに持ち込んだ後、黒7と右辺の白に働きかけるのが黒の構想です。
続いて、白Aは黒Bと抜き返されて、右上隅の白がいじめられてしまいます。


白8とコウを解消するなら、黒11から15と整形していきます。
白二子と右辺の白を狙えるので、黒は一方的に攻められ続ける展開を避けられます。
これでも白戦えますが、反撃される可能性が残るのでこの図は選びたくないはずです。

「編集後記」
今年の碁を見ていて、この一年だけで碁が大きく変わったと感じますね。
囲碁AI時代となり、研究速度が以前の十数倍以上の速さになっているということでしょう。
来年はどこまで碁が進化していくのか、想像できませんね。

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