第20回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦第9戦

11月27日に韓国・釜山で「第20回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」の第9戦が行われた。
中国の范廷鈺九段は前々回大会と同様に韓国の朴廷桓九段に破れ、7連勝止まりとなった。
最終ラウンドは2月18日から22日に中国・上海で行われる予定だ。
現時点での戦況を以下にまとめたので参照ください。

【日本】井山裕太九段、一力遼八段、許家元八段、本木克弥八段、芝野虎丸七段(1勝)
【中国】柯潔九段、辜梓豪九段、時越九段、党毅飛九段、范廷鈺九段(7連勝)
【韓国】朴廷桓九段(1勝)、李世乭九段、申旻埈九段、崔哲瀚九段、安國鉉八段

前々回大会と同じ流れとなっており、中国が独走体制となっている。
ただ、本棋戦は勝ち抜き戦であり、大逆転で優勝する可能性も僅かに残っている。
最終ラウンドには日本の井山裕太九段が出場するので、逆境を覆してほしいところだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜:囲碁AI推奨の布陣】

黒番は朴廷桓九段、白番は范廷鈺九段です。
黒1から5は囲碁AI・金毛測試がよく用いる戦術の一つ。(こちらを参照)
流行の兆しがある戦型であり、ネット上での実戦例が増える傾向がありました。
この布石をどちらが深く研究しているか、そういった勝負になっています。


白8と黒9を交換してから、白10と右辺を割るのがこの布石でよく表れる戦型です。
黒Aには白Bのワリ込みを見られているため、右辺の白を追及しづらい特徴があります。


黒11の三々入りには白12、14と傷を残さずに先手を取ることを優先します。
白16と大場に走った瞬間、黒17とすぐに左辺を割るのが現代碁の特徴が表れた一着。
三々入りからできた壁の攻めを見られており、左辺の手の付け方が悩ましいです。
例えば、白Aは黒Bと圧力をかけられて、上辺の黒陣がまとまる恐れがあります。


白18と右下の黒へ追及されたにも関わらず、黒19から21と下辺を連打していきます。
白22と根拠を奪われて黒苦しい戦いを強いられたように見えますが・・・。


黒23と白24を交換した後、黒25と肩ツキするのが用意されたサバキでした。
強引に白Aと切断に向かうのは、黒B以下符号順で整形されるので白の攻めが空振りです。


白26から32と追及するのは当然の態度。
ただし、黒33と頭を出せば簡単には捕まる石でないため、黒35の要所に先着できます。
右下の連打と下辺の連打の優劣は判断しづらいですが、黒がうまくサバいたように見えます。


白36から44と左下を補強しながら左辺の黒に迫り、左辺の攻防が勝負所となりました。
実戦は左辺で白が積極的に仕掛けて若干白良しの場面もあったようです。
しかし、後半戦で朴廷桓九段が着実に追い上げて勝利を掴みました。
結果、黒中押し勝ち。


【参考図:鋭い切り返し】
黒1と右辺に迫るのは、白2とワリ込まれて対応が悩ましいです。
黒Aと受けるのは白B以下が一例ですが、右辺を綺麗にまとめられるので白十分です。


黒3、5と隅の実利を固める進行を選ぶなら、白6から10と隅を捨て石にサバいていきます。
AとBが見合いとなっており、黒は白に対して厳しい追及が続きません。


黒11と受ける一手ですが、白12から14と整形しながら▲を孤立させて白成功。
以上の変化が待ち構えているため、黒は右辺の白へ追及しづらくなっているのです。

「編集後記」
韓国の朴廷桓九段が意地を見せて、韓国の第2ラウンド敗退を阻止しました。
最終ラウンドは先ですが、日本の井山九段の奮闘に期待したいところです。

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