第20回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦第7戦

11月25日に韓国・釜山で「第20回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」の第7戦が行われた。
中国の范廷鈺九段は韓国の李世乭九段を破り、中国は無傷の6連勝を果たした。
なお、明日の第8戦には日本の一力遼八段が出場する予定だ。
現時点での戦況を以下にまとめたので参照ください。

【日本】井山裕太九段、一力遼八段、許家元八段、本木克弥八段、芝野虎丸七段(1勝)
【中国】柯潔九段、辜梓豪九段、時越九段、党毅飛九段、范廷鈺九段(6連勝)
【韓国】朴廷桓九段、李世乭九段、申旻埈九段、崔哲瀚九段、安國鉉八段

圧倒的な強さを見せる范廷鈺九段の勢いは留まらず、6連勝を叩き出した。
過去に7連勝を果たしており、その記録をさらに更新する可能性さえ見えてきた。
日本は最終ラウンドの逆転を狙うためにも、このラウンドで1勝はしておきたいところだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:手厚い構想】
黒番は李世乭九段、白番は范廷鈺九段です。
第6戦と同じように、黒3の三々入りを選択していきます。
現代は囲碁AIの打ち方が流行する傾向であり、本棋戦でも顕著に表れています。


白4、6の受けに黒7と積極的な打ち方を見せます。
白の手抜きに対して、黒AやBを状況に合わせて使い分けられる長所があります。
白は左下の形を決めると後手を引く可能性が高いので、白8と空き隅を占める相場です。


白10、12と受け方を聞いてから、白14から20と外周を厚くする定石を選択します。
何気ない手順ですが、盤面に現れない水面下の戦いで黒の戦術の幅を狭めています。
例えば、黒Aなど右下の手抜きを咎めにいくと、白Bと構えられて左下の厚みが活きます。
間接的に右下の白をすぐに咎めにいきづらく、黒は白模様を削る選択を取らざるを得ません。


黒21、23は隅の実利を稼ぎながら、上辺にも回る足早な展開を目指す意図があります。
黒27に素直にツナがずに、白28と受けるのが最近の良く打たれる守り方です。
黒Aと白Bを交換すると上辺の黒が重くなり、交換しないと白Aで好形を許します。


実戦は黒29と白30を交換し、白の形を崩す進行を選択します。
しかし、白36から38と傷を守りながら左辺の白模様を深くできれば白十分な展開。
右辺一帯は黒に連打を許しますが、黒陣は薄いので連打した利益を回収するのが難しいです。



【実戦譜2:ゾーンプレス】
白1を利かした後、白3と上辺の黒に圧力をかけたのが好手でした。
黒は白A以下符号順も狙われており、容易でない戦いに引き込まれています。


黒4と中央進出を目指しますが、白5から7が力強く封鎖されて黒苦しい戦いです。
右上の白は薄く見えるものの、右上の黒も薄い格好であり強く反発できないのが泣き所。


黒8から12と外周に傷をつけるも、構わず白13から15と強引に封鎖していきます。
右上の白は見た目以上に粘りの利く格好であり、上辺の黒が危うい格好になっています。
ただ、上辺の黒を補強すると、外周が白一色となって白優勢が確実のものとなります。


黒16と上辺の補強を間に合わせ、黒18から26と中央の主導権を奪います。
しかし、白27がAを見ながら上辺一帯の眼形を睨む強手で、黒は収拾突かない格好に。


黒28、30と抵抗するも、白33まで、上辺の黒に脈はなく白勝ちが確定しました。
その後、右上の白と攻め合いを目指すも、白を捕らえられず李九段は投了を告げました。
本局は范廷鈺九段の構想力と強烈なパワーが光った内容だったと言えそうです。
結果、白中押し勝ち。

「編集後記」
范廷鈺九段の勢いは留まらず、遂に6連勝まで記録を伸ばしてきました。
明日は国内戦で奮闘している一力八段出場するので止めてほしいところですね。

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