第20回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦第6戦

11月24日に韓国・釜山で「第20回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」の第6戦が行われた。
日本の許家元八段が出場し、中国の范廷鈺九段に微細ながらも中盤終わりまで優勢に築いた。
しかし、時間繋ぎで打った手が痛恨の失着となり、ゴール手前で無念の敗退となった。
現時点での戦況を以下にまとめたので参照ください。

【日本】井山裕太九段、一力遼八段、許家元八段、本木克弥八段、芝野虎丸七段(1勝)
【中国】柯潔九段、辜梓豪九段、時越九段、党毅飛九段、范廷鈺九段(5連勝)
【韓国】朴廷桓九段、李世乭九段、申旻埈九段、崔哲瀚九段、安國鉉八段

現在の進行は18回大会と似た進行となっており、中国の独走を許す戦況となっている。
本棋戦は連勝すると大きなアドバンテージがつくため、そろそろ止めたいところである。
明日の第7局に出場する韓国の李世乭九段が勢いを止められるか、注目していく。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜:囲碁AIの手法】
黒番は許家元八段、白番は范廷鈺九段です。
黒3の三々入りはLeelaZeroが40blockになってから多く打たれ始めた手法。
相手の出方を見て空き隅の構え方を変えられる長所があり、白も受け方が悩ましいところ。


白4から8と先手を奪ってから、白10と左上に占めるのが最近の打ち方。
後に白A以下符号順で左辺の進出を止めて、左辺に白陣を築く狙いがあります。


白12の三々入りには黒13、15と傷を残さずに手番を優先する打ち方を選択。
左下の手抜きを咎めるため、黒17から19と実利を稼ぎながら左下の攻めを睨みます。
三々定石でできた壁を攻めるの現代的な発想で、その意図を活かす実戦例が増えてます。


黒21から25と形を決めていきます。
次に黒Aが右辺に黒陣を築きながら右上と右下の黒を補強する好点に見えるかもしれません。
しかし、右辺は白から荒らす術が多く残されており、黒が勝つのは難しいと見られています。
現代の碁はこうしたシビヤな考え方が求められるので、より精密な整形判断が求められます。


黒27、29と切りを入れて、接近戦から変化を求めるのは当然の態度。
仮に白Aと抱えるなら黒Bと封鎖できるので、黒十分な展開を望めます。


白30と反発して右辺に進出するところ。
黒39まで、三々定石でよく表れる変化の一つで互角に近いワカレである。
白40と右辺に回られますが、黒41と左下の攻めに先着できるので良い勝負。
中盤戦で許八段の突破力が炸裂して優勢を築くも、勝ち切れませんでした。
結果、白中押し勝ち。


【参考図:広すぎる模様】
左下に白が控えているので、白1と右下の空き隅に回る方が自然に見えるかもしれません。
しかし、白3と下辺に模様を築いても、黒4から6と冷静に受けられてまとめるのが難しい。
黒Aと下辺を荒らしながら左下の白を攻める狙いもあり、見た目ほど大きくまとまりません。
最近のはこうした細かい手所を精密に把握する必要があります。

「編集後記」
三々定石は部分的な複雑に加え、全局的な配石を活かすバランス感覚が求められます。
知識と読み、そして感覚が三位一体となって始めて活かせる高等戦術と言えます。

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