2018TWTテンセント囲碁選手権ー人間vs絶芸

11月21日に中国で「2018TWTテンセント囲碁選手権」のエキシビジョンマッチが行われた。
本棋戦で優勝した李欽誠九段が最強の囲碁AI・絶芸に二子局で快勝し、人間の強さを示した。
なお、持時間は各2時間+1分の秒読み5回、二子局(コミなし)で行われた。
以下に本棋戦の流れをまとめたの参照ください。(左側が勝者)

【11月18日(日):8強戦の結果】
柯潔九段(中)ー童夢成七段(中)
范廷鈺九段(中)ー依田紀基九段(日)
李欽誠九段(中)ー范蘊若七段(中)
芈昱廷九段(中)ー檀嘯九段(中)

【11月19日(月):準決勝の結果】
柯潔九段(中)ー范廷鈺九段(中)
李欽誠九段(中)ー芈昱廷九段(中)

【11月20日(火):決勝の結果】
李欽誠九段(中)ー柯潔九段(中)

【11月21日(水):エキシビジョンマッチの結果】
李欽誠九段(中)ー絶芸 二子局(コミなし)

この棋戦は野狐囲碁で2カ月の予選を勝ち抜いた6名と主催者推薦の2名で争われた。
主催者推薦は中国の柯潔九段と野狐囲碁で月300局以上対局した日本の依田紀基九段である。
優勝賞金は70万元(約1140万円)、準優勝は20万元、3-4位は8万元、5-8位は5万元だ。
(囲碁AI・絶芸に二子局で勝利すると、20万元が追加で賞金額に足される)

ネット予選の棋戦は経費を削減できる長所はあるが、ソフト打ちへの対策が必要になる。
野狐囲碁は囲碁AIの合致率を示すものがあり、解析する用意はあるようだ。(こちらを参照)
対局者本人を守るため、公平な勝負の場を提供するために必要な処置であるように感じる。
ただ、こうした形式を提案できれば、主催者側が棋戦を開きやすくなることは間違いない。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜:局地戦で圧倒】
黒番は李欽誠九段、白番は絶芸です。
白3のカカリに受けず、黒4と三々入りをして相手の出方を見るのが最近の手法。
黒Aは穏やかですが、出方を見て自在に戦型を変える選択を与える短所があります。


白5、7は自身の傷を残さずに先手を取りやすい受け方の一つ。
黒8と地を稼がれても、手番を得ることを優先して白11の両カカリに先着します。
左下の攻防で黒がうまく整形できるかが、本局のポイントになります。


黒12、14と頭を出すのが無難な対応策。
白15から17は左下の黒に迫りながら左辺の白陣を大きくまとめる意図があります。
二子局のリードはあるものの、対局者としてはプレッシャーを感じていたはずです。


黒18、20と薄みを補強した後、黒22と迫るのが厳しい追及でした。
黒Aと守るのは白Bと左辺を広げられて、白に主導権を奪われてしまいます。


白23に黒24を利かした後、黒25と封鎖を目指していきます。
黒36まで、外周の黒が薄い格好ですが、下方の白も眼形がありません。
ただ、黒は二子局のリードがあり、白を仕留めれば互角以下にはならないようです。


白37から41と切断して退路を求めるも、黒42と急所を突かれてシビれています。
黒46まで、白A以下のシチョウは黒良しなので、下辺の攻防では黒読み勝っています。


白47から51と外回りを厚くできますが、黒58と脱出できるので黒優勢は保持しています。
その後も李欽誠九段は冷静に打ち進めて、絶芸に付け入る隙を与えず完勝しました。
コミなしということもあり、絶芸は正しく形勢判断ができてないのかもしれません。
結果、黒中押し勝ち。

「編集後記」
公の場で世界のトップ棋士が囲碁AIと二子局をしたのは大きな意義があったと思います。
人間はまだまだやれる姿を示してくれたので、少しほっとした感じもしますね。

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コメント

  1. ルパン4世 より:

    絶芸が人間を凌駕しているのはもはや衆目の一致するところですが、公式戦でプロが2子置く(しかも勝てば賞金300万)というのはプロとしては心中複雑でしょうね。日本では絶対に実現しないでしょう(笑)
    そんな中で人間の意地を見せた李九段はさすがですね。