第23回三星火災杯世界囲碁マスターズー準決勝三番勝負(1)

11月5日に韓国で「第23回三星火災杯世界囲碁マスターズ」の準決勝三番勝負が行われた。
緒戦は中国の柯潔九段と韓国の安國鉉八段が勝利し、幸先の良いスタートを切った。
持時間は各2時間+1分の秒読み5回、先番6目半コミ出しで行われた。
以下に本日の対戦結果をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【11月5日(月):準決勝三番勝負第1局】
柯潔九段(中)ー謝爾豪九段(中)
安國鉉八段(韓)ー唐韋星九段(中)

先日、中国の柯潔九段は中国ランキング2位に下がり、首位陥落となった。
不振が続くように思われたが、本棋戦ではそんな不安を払拭するような打ち回しを見せた。
完全復活するためにも、明日の第2局に勝利してタイトル奪取に近づきたいところだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜:異次元の感覚】
黒番は謝爾豪九段、白番は柯潔九段です。
黒1に受けず、白2は黒Aの両カカリから生じるシチョウ関係を見た意図があります。
すぐに両カカリを決めては白の術中にはまるため、黒3と準備工作をしていきます。
周囲の配石で両カカリを緩和する技術が発達しており、仕掛けるタイミングが悩ましいです。
※両カカリのシチョウ関係は参考図を参照。


黒5、7と上辺方向で強く戦えるに備えてから、黒9の両カカリを選択。
黒有利な戦いであるように見えるが、柯潔九段の自在な石運びでこの難局を切り抜けます。


白10、12と中央への脱出を図るのは当然の態度。
黒13は白にサバキの余地を容易に与えない手法だが、黒15に白16とかわすのが柔軟な好手。
続いて、黒Aは白B以下符号順でサバかれるため、黒は白の傷を突くことができません。


黒17と白の傷を強調しながら左上の白陣を裂いた瞬間、白18と黒の連絡を裂くのが強手。
△の配石によりシチョウは白良しなので、黒Aの出切りが成立しないのが白の主張。
出切りが狙えづらい以上、黒は上辺の二子を補強しなければなりません。
※黒からの出切りの図は参考図を参照。


黒19と脱出を図り、左右の白を狙う展開を目指します。
しかし、白20から22と左上を整形すれば、見た目以上に弾力がある形を築けます。
黒23と根拠を奪いに行くも、白24がAと眼を奪う狙いを見た反撃で黒苦しい戦いになります。


黒25に白26から30と地を持ちながら治まれたのが大きく、白有利な戦いに引き込みます。
黒31と左方の白に食らいつくも、一方攻めでは厳しい攻めが続かず、大した戦果を望めない。
白38まで、上辺と右上の黒が狙われる展開となり、黒苦戦は明らかとなりました。
結果、黒中押し勝ち。


【参考図1:シチョウ関係】
黒1の両カカリに白2、4と受けるのが最もよく打たれる手法です。
△に配石されているとシチョウ関係は白良しなので、黒5に白6と切り返す手段があります。


黒7、9と地を稼がれますが、白10と簡明に治まれるので白悪くない展開となります。
左下一帯に白陣が築けるだけでなく、後に白Aと様子見する狙いもあるのが白の自慢です。


【参考図2:反撃への対策】
黒1、3の反撃が厳しく見えますが、白4の切りでかわせます。
△によって、シチョウ関係が白良しになっているのが大きいです。


黒5、7と左上隅にプレッシャーをかけられますが、構わず白8と黒二子を取るのが手厚い。
続いて、黒Aなど隅の白を取れば、黒もそれなりの戦果に見えますが・・・。


黒9、11と取るなら、白12と抜いて外周の味を消すのが相場です。
左上に大きな黒地がついても、左下は白有利に戦いやすい戦場なので十分取り戻せます。
また、△と▲の交換が上辺の黒地化を未然に防ぎつつ、右上の黒を狙い足掛かりになります。
全局的に黒は薄い碁形となっているため、稼いだ以上の損失を生じることは避けられません。

「編集後記」
難しい碁に見えても、一つ一つ紐解くことで「なぜその手を打ったのか」見えてきます。
人間の手には少なからず、その手を打つ理由が存在するので解析していけば意図が掴めます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする