第20回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦第1戦

10月16日に中国・北京で「第20回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」が開幕した。
第1戦は日本の芝野虎丸七段が韓国の安國鉉八段を破り、幸先の良いスタートを切った。
明日の第2戦では世界戦常連棋士である中国の范廷鈺九段と激突する。
持時間は1時間+秒読み1分1回、先番6目半コミ出しである。
現時点での戦況を以下にまとめたので参照ください。

【日本】井山裕太九段、一力遼八段、許家元八段、本木克弥八段、芝野虎丸七段(1勝)
【中国】柯潔九段、辜梓豪九段、時越九段、党毅飛九段、范廷鈺九段
【韓国】朴廷桓九段、李世乭九段、申旻埈九段、崔哲瀚九段、安國鉉八段

芝野七段は世界戦で中国の陳耀燁九段、唐韋星九段を破っている注目の若手棋士。
国内戦では竜星戦優勝など着実に結果を残しており、井山九段に次ぐ逸材と期待されている。
第1ラウンドでどこまで勝ち進めるか、注目していきたいところ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:現代的な布石】
黒番が芝野虎丸七段、白番が安國鉉八段です。
黒1、3と互いに受けずに打ち進めるのが現代的な布石の流れ。
両カカリの対策が数多く研究されたこともあり、カカリの受けない実戦例が増えている。
当然、白4の両カカリにまわられるが、黒のシチョウが良く簡明策が用意されています。


黒5、7と受けるのはほぼ必然の対応。
白8と追及した瞬間、黒9の切りでかわす手法が多く打たれるようになりました。
シチョウ関係は黒良しで、周囲に黒石が十分に配石されていない場合に用いられます。


白10、12と実利を確保する相場。
続いて、黒Aと抜くのが堅実ですが、白B以下で左上隅を受けられて白の実利が優ります。
先に黒13と左上の白にプレッシャーをかけるのは当然の態度と言えそうです。


黒19まで、地を稼ぎながら白の根拠を脅かすのが現代的な両カカリの攻防。
白20は周囲に黒石が多く、シチョウが悪い場合に用いられることが多い受け方です。
AやBと地を稼がれる短所はある反面、複雑な変化を用いずにシノげる長所があります。


実戦は黒21から25と白の形を崩しながら実利を稼ぐ進行を選択。
白26、28が大きく見えるが、黒Aと追及する手が残るので部分的にはいい加減なワカレ。
ただし、白30など左辺を割られると全局的には若干白の実利に軍配が上がる進行のようだ。



【実戦譜2:華麗なコウサバキ】
白1、3を利かして左辺を補強した瞬間、黒4と左上の白に圧力をかけるのが好判断。
白は左辺のコウの処理と左上のシノギを図る必要があり、白忙しい局面に変容しています。
この機敏な立ち回りを機に、芝野七段は大きく盛り返していきます。


白4とコウを抜いても、黒5の周辺にコウ材があるため黒戦えるコウ争いです。
無難に左上を守るのでは形勢を損じるため、白8から10と戦線を拡大する強硬策に出ます。
しかし、黒13と眼形を奪いながら外回りの傷を強気に受けるのが好手でした。
現局面では右上にコウ材があり、コウ争いは黒の歓迎する展開だからです。


白14、16とコウに弾いてシノギを図ります。
ただし、白はコウ材が続かない以上、黒21に白22と解消せざるを得ないのが泣き所。
黒23と右上隅を制したのが大きく、形勢ははっきり黒良しに好転していきます。


白24と左辺の黒を取りにきても、黒25とコウに持ち込めるのが黒の自慢。
左辺の黒を飲まれる代償に、黒27から29と左下が治まれば黒十分なワカレと言えます。
コウを自由自在に活用した芝野七段の打ち回しが光り、緒戦を勝利で飾りました。
結果、黒中押し勝ち。

「編集後記」
今年の芝野七段は世界屈指の棋士を破る活躍を見せており、世界的にも注目を集めています。
農辛杯の第一ラウンドを4連勝で駆け抜けて、世界に間隙を開けてほしいところです。

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