第1回天府杯世界囲碁選手権ー16強戦

9月23日に中国・北京で「第1回天府杯世界囲碁選手権」の16強戦が行われた。
日本の山下敬吾九段が中国の辜梓豪九段に敗れ、日本勢は16強戦で姿を消した。
世界の壁はまだまだ厚く、勝ち上がるためにはさらなる飛躍が求められるようだ。
以下に本日の結果をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【9月23日(日):16強戦の結果】
<A組>

辜梓豪九段(中)ー山下敬吾九段(日)
陳耀燁九段(中)ー謝爾豪九段(中)
江維傑九段(中)ー彭立嶢七段(中)
連笑九段(中)ー古力九段(中)
<B組>
朴廷桓九段(韓)ー李東勲九段(韓)
檀嘯九段(中)ー范廷鈺九段(中)
申眞諝九段(韓)ー党毅飛九段(中)
唐韋星九段(中)ー金志錫九段(韓)

【9月25日(火):8強戦の組合せ】
<A組>
辜梓豪九段(中)ー陳耀燁九段(中)
江維傑九段(中)ー連笑九段(中)
<B組>
朴廷桓九段(韓)ー檀嘯九段(中)
申眞諝九段(韓)ー唐韋星九段(中)

勝ち上がった面々を見ると、どの棋士も世界戦で実績を残している棋士ばかりである。
高いレベルの競争にも関わらず、一定の結果を出し続けるのは驚異的と言わざるを得ない。
世界戦で勝ち続けるには、高い実力を安定して発揮し続ける力も求められるようだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:全局的な立ち回り】

黒番は申眞諝九段、白番は党毅飛九段です。
黒1に白2と攻めながら左下の白陣を広げるのは当然の態度。
黒3はシチョウが良い場合の手法で、白A以下符号順なら無難な進行になります。
しかし、実戦は激しく石がぶつかる展開となりました。(シチョウ関係は参考図参照)


白4と黒の薄みを突く進行を選択します。
白はシチョウが悪いので、黒5から7に白8と受けるのが相場。
黒Aと根拠を確保すれば無難ですが、実戦は黒9と積極的に整形を目指していきます。
左辺の折衝次第では、黒Bなど上辺方向から利かすことを視野に入れた打ち方です。


白10に黒11の切り違いから左上の安定を図ります。
白18まで、白に厚い形を許しましたが、黒19と左下の模様拡大を未然に防げるので良い勝負。
白20と受けるなら黒21と上辺の白陣拡大を牽制できるので黒足早な展開となります。
状況に応じて、Aの出切りやBの利かしを選べるのが黒の自慢です。
結果、黒中押し勝ち。


【参考図:シチョウ関係】
黒1に白2と隅から受けたいが、黒3から5の出切りが厳しいです。
黒7まで、白はシチョウが悪いので白Aは黒Bで取られるため、本図を選べません。



【実戦譜2:新時代の布石】
黒番が辜梓豪九段、白番が山下敬吾九段です。
白2と一間で受けた瞬間、黒3のノゾキから形を決めるのが現代の打ち方。
序盤から白を固めてしまいますが、黒5に白Aと受けづらい格好というのが黒の主張です。
(白Aの受けは黒3と白4の交換が若干黒良しの利かしになるため)


白6から10と下辺を広げながら左下の黒を封鎖します。
黒は左辺を割れば普通ですが、実戦は黒11とさらに地を稼いでいきます。
左辺に白模様を築かれても、荒らす余地はいくらでも残されているというのが黒の意図。
黒番はコミの負担が重いので、最近は極端に実利を先行する打ち方が流行っています。


白12、14は先手を取って、白16を利かして左辺の侵出を止める意図があります。
白は左辺に構える進行も考えられましたが、白18から20と堂々と受ける進行を選びます。
しかし、黒21と左辺を割られると、地を稼がれているだけに強く追及しなければなりません。
ただ、山下九段は力強い攻めが持ち味なので、棋風に合った碁形かもしれません。
結果、黒中押し勝ち。

「編集後記」
今回、日本はベスト16で敗退となり残念な結果となりました。
ただ、10月上旬には三星杯の16強戦に井山九段が出場するので今年の世界戦はこれからです。
年末にかけて、国別団体戦である農辛杯もあり、目の離せない棋戦が続きます。

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