第1回天府杯世界囲碁選手権ー32強戦

9月21日に中国・北京で「第1回天府杯世界囲碁選手権」が開幕した。
6名の日本棋士が出場し、山下敬吾九段が台湾の王元均八段を破って16強戦に駒を進めた。
山下九段にはこのまま駆け上がってもらい、日本囲碁界の強さを示してほしいところだ。
優勝賞金は200万元(約3300万円)、準優勝は70万元(約1150万円)です。
以下に本日の結果をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【9月21日(金):32強戦の結果】
<A組>
辜梓豪九段(中)ー村川大介八段(日)
山下敬吾九段(日)ー王元均八段(台)
陳耀燁九段(中)ー崔哲瀚九段(韓)
謝爾豪九段(中)ー李昌鎬九段(韓)
江維傑九段(中)ーAli初段(欧)
彭立嶢七段(中)ー本木克弥八段(日)
古力九段(中)ー姜東潤九段(韓)
連笑九段(中)ー呂皓鈞初段(米)
<B組>
朴廷桓九段(韓)ー一力遼八段(日)
李東勲九段(韓)ー廖元赫六段(中)
檀嘯九段(中)ー林君諺七段(台)
范廷鈺九段(中)ー許家元八段(日)
党毅飛九段(中)ー江鳴久七段(米)
申眞諝九段(韓)ーIlya二段(欧)
金志錫九段(韓)ー柯潔九段(中)
唐韋星九段(中)ー余正麒七段(日)

【9月23日(日):16強戦の組合せ】
<A組>

辜梓豪九段(中)ー山下敬吾九段(日)
陳耀燁九段(中)ー謝爾豪九段(中)
江維傑九段(中)ー彭立嶢七段(中)
古力九段(中)ー連笑九段(中)
<B組>
朴廷桓九段(韓)ー李東勲九段(韓)
檀嘯九段(中)ー范廷鈺九段(中)
党毅飛九段(中)ー申眞諝九段(韓)
金志錫九段(韓)ー唐韋星九段(中)

32強戦では中国の第一人者である柯潔九段が姿を消す番狂わせが起こった。
韓国の金志錫九段は韓国竜星戦やテレビアジアで優勝するなど勢いある棋士の一人である。
この勢いでどこまで勝ち進むことができるのか、注目していきたいところ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:流行形の攻防】
黒番が柯潔九段、白番が金志錫九段です。
白1のツケは囲碁AIが示して以来、常識的な手法となりました。
右下のシマリを重複した形に導く狙いもあり、黒も強く反発することが求められます。
流行形の一つであるので、事前に研究しておく必要はありそうです。


黒2、4と強く反撃するのは当然の態度。
白5から9と整形して外回りを厚くする構想を描きます。
黒10と白一子を抱えられて、下辺への利きが薄くなったように見えますが・・・。


白11と相手の出方を伺うのが面白い。
右下の黒地を大きく削られる訳にいかないので、黒12と受ける相場です。
白13を利かしてから白15と下辺の白二子を捨て石に中央の封鎖を目指します。


黒16、18と頭を出してから黒20と下辺の白を取りに行きます。
白21と下辺の手数を伸ばしてから白23と封鎖され、白の意図する進行に見えますが・・・。


黒24から28と外周に傷をつけながら黒30とツグのが好手。
白は中央を封鎖できたものの、左右の白が弱い状況なので不利な戦いを強いられます。


白31と黒32を交換してから、白33と右方の補強に手をまわします。
しかし、黒40まで下辺一帯の白が包囲され、依然として黒有利な戦いが続きます。


白41と脱出を試みつつ、中央の黒四子を睨んでいきます。
黒44には受けていられず、白45と下辺の脱出を優先するところ。
手抜きの代償を回収するために黒46と連打しましたが、Aと堅実にいくべきだったようです。
白47まで、全局的に白厚い碁形になった上に白Aの手残りとなり白優勢となりました。
結果、白中押し勝ち。



【実戦譜2:両カカリの対抗策】
黒番は本木克弥八段、白番は彭立嶢七段です。
白1は左下の黒にプレッシャーをかけつつ、下辺の黒陣を割る意図です。
黒2と高い両カカリを打った瞬間、白3から5と受けるのが流行形の一つ。
囲碁AIが示して以来、人間界でも多く打たれるようになりました。(こちらを参照)


黒6と隅に食い込むのが無難な追及です。
これには白7から13と整形する手段があり、白悪くないというのが白の主張。
この定石のポイントは白Aの切りを入れずに整形するところです。


黒14には白15とコウに弾いて応戦します。
黒16と抜かれても、白17の切りを温存していたので黒のコウ材が足りない碁形。
黒20と受けましたが、白21に先着できれば白がうまく立ち回っていると言えそうです。
下辺の薄さはありますが、両カカリされた攻防だと考えれば白十分かもしれません。
結果、白中押し勝ち。



【実戦譜3:反発への反撃】
黒番は王元均八段、白番は山下敬吾九段です。
白1は下辺の黒陣を割りながら左下の黒に圧力をかける意図です。
黒2、4と強く反発して応戦した瞬間、白5と左辺の黒に迫ったのが強手でした。
左辺の攻めにより外回りを厚くして、下辺で強く戦う構想を描く山下九段らしい石運びです。


左辺と下辺のフリカワリは明らかに白良しなので、黒6と左辺のシノギを図るところ。
白7、9と追及して左下の白への反撃を封じながら、下辺の決戦を睨んでいきます。


黒10から14と手順を尽くして左辺の黒を助け出すことに成功します。
しかし、白は外周の嫌味がなくなったので、白19と強く戦える碁形を築けています。
左下の黒は見た目以上に危機的状況である上に白Aを狙えるため白有利な戦いとなりました。
山下九段の持ち味である剛腕が光り、戦いの主導権を握りました。
結果、白中押し勝ち。

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