第23回三星火災杯世界囲碁マスターズー32強戦(2)

9月5日に韓国で「第23回三星火災杯世界囲碁マスターズ」の32強戦が行われた。
日本の芝野虎丸七段は敗れたが、井山裕太九段と柳時熏九段が勝利し枠抜けに望みを繋げた。
日本勢が世界戦16強入りを果たせるか、第1ラウンド最終戦も目が離せない戦況となった。
以下に本日の対戦結果をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【9月5日(水):32強戦2回戦の結果】
<A組>
朴廷桓九段(韓)ー芝野虎丸七段(日)
辜梓豪九段(中)ー陳耀燁九段(中)
<B組>
崔精九段(韓)ー陶欣然七段(中)
李世乭九段(韓)ー時越九段(中)
<C組>
安國鉉八段(韓)ー童夢成六段(中)
陳梓健六段(中)ー徐奉洙九段(韓)
<D組>
謝爾豪九段(中)ー柯潔九段(中)
王元均八段(台)ー曾富康7段(マレーシア)
<E組>
李軒豪七段(中)ー范蘊若七段(中)
申旻埈九段(韓)ー羅玄九段(韓)
<F組>
楊鼎新七段(中)ー連笑九段(中)
金志錫九段(韓)ー李映周三段(韓)
<G組>
唐韋星九段(中)ー檀嘯九段(中)
井山裕太九段(日)ー尹聖植アマ(韓)
<H組>
申眞諝九段(韓)ー李翔宇五段(中)
柳時熏九段(日)ー鄔光亞七段(中)

本命の棋士が2連勝して枠抜けする中、女流棋士の崔精九段が名乗りを上げた。
三星杯で女流棋士が2連勝して枠抜けするのは初の快挙で大いに注目を集めている。
「朴廷桓九段と布石の研究をしたのが大きな原動力となった」と崔精九段は語っている。
自己最高記録である世界戦16強戦突破なるか、今後の活躍にも期待したいところだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜:流行の三々定石】
黒番が陶欣然七段、白番が崔精九段です。
白1、3と形を決めるのは昔からある手法です。
黒Aは白B以下符号順で左辺の侵出を止まるので、白の注文通りの展開になります。
そこで、黒は白の意図を崩すため、反発する進行を選択する実戦例が増えています。


単に黒4と白一子をカミ取るのが最近の受け方です。
白5と綺麗に分断されますが、黒6で左下隅が眼の厚いゆとりある形を築けます。
白7と守られても、▲の動き出しを横目に黒Aの利きなどがあり、黒悪くないと見ています。
左辺を止められるなら味を残しつつ、左下の生きをハッキリさせた方が良いという理屈です。


黒8に白9と露骨に左辺を拡大させるのが好判断でした。
黒10から14と整形されますが、白15から根拠を確かめれば白十分な展開です。
例えば、黒Aと封鎖しても白Bから黒陣を抉られて大きな戦果が見込めません。
また、黒Cと受けても白Dで簡単にサバキ形を許すため、二手多い黒としては追及不足です。現局面で右下への有力な後続手段がなく、見た目以上に黒の次の一手が悩ましいのです。
結果、白中押し勝ち。


【参考図:節をつける手法】
黒2と白3を交換して外周に傷を残してから、黒4と手を戻すのも考えられます。
しかし、現局面は様々な条件が重なっており、黒は良い戦果を望めません。


白5から11までは一本道の進行。
△があるため、黒Aと穏やかに受けるのは白Bとシチョウで取られて白厚い格好です。
黒はシチョウが悪い場合の手段を使わざるを得ない状況ですが・・・。


シチョウが悪い場合、黒12と抵抗するのが一般的です。
しかし、白13から19と下辺を押さえ込まれると、▲が最悪の配石となっています。
下辺は強い石であるため、下辺の黒陣を広げるのは価値の低い手になるからです。
右上と右下の白のカカリが左下の攻防を睨んだ絶妙な配石となっているのが驚きです。

「編集後記」
韓国の崔精九段は確かな研鑽の成果が現れた構想を見せています。
短時間の碁では布石研究が重要で、序盤で遅れないことが勝利する第一条件かもしれません。

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