第23回三星火災杯世界囲碁マスターズー32強戦(1)

9月4日に韓国で「第23回三星火災杯世界囲碁マスターズ」の32強戦が開幕した。
32強戦は8グループに分かれ、それぞれ2勝した2名の棋士が枠抜けする形で行われる。
日本は井山裕太九段、柳時熏九段、芝野虎丸七段が出場し、芝野七段が初戦を制した。
以下に本日の対戦結果をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【9月4日(火):32強戦1回戦の結果】
<A組>
芝野虎丸七段(日)ー陳耀燁九段(中)
朴廷桓九段(韓)ー辜梓豪九段(中)
<B組>
崔精九段(韓)ー時越九段(中)
陶欣然七段(中)ー李世乭九段(韓)
<C組>
安國鉉八段(韓)ー陳梓健六段(中)
童夢成六段(中)ー徐奉洙九段(韓)
<D組>
柯潔九段(中)ー王元均八段(台)
謝爾豪九段(中)ー曾富康7段(マレーシア)
<E組>
范蘊若六段(中)ー羅玄九段(韓)
李軒豪七段(中)ー申旻埈九段(韓)
<F組>
連笑九段(中)ー金志錫九段(韓)
楊鼎新七段(中)ー李映周三段(韓)
<G組>
檀嘯九段(中)ー尹聖植アマ(韓)
唐韋星九段(中)ー井山裕太九段(日)
<H組>
申眞諝九段(韓)ー鄔光亞七段(中)
李翔宇五段(中)ー柳時熏九段(日)

日本の芝野虎丸七段が中国の陳耀燁九段に勝利し、幸先の良いスタートを切った。
中国でも世界屈指の打ち手を破ったため、大きく取り上げられているほどだ。(こちらを参照)
次の相手は世界一である朴廷桓九段、この壁を打ち破れるか注目していきたい。

また、女流の第一人者である崔精九段が中国の時越九段に勝利する番狂わせを起こった。
女流のレベルは急速に上がっており、世界のトップ棋士との差はほとんどないようだ。
近い将来、一般の世界棋戦で女流棋士が優勝戦線に残る状況になるかもしれない。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:研究済みの定石】
黒番は時越九段、白番は崔精九段です。
黒1の両カカリから黒11のカケツギまでは流行の定石です。(こちらも参照)
黒にAの傷を強調されているため、左下の白の守り方が難しく黒悪くなさそうに見えます。
しかし、崔精九段は事前に研究しており、この形への対処を用意していました。


白12と左辺の黒に迫るのは当然の一手。
黒13はAの傷を狙いながら左下の根拠を奪う要所ですが、これに白14と受けるのが面白い。
左辺の眼形を崩すと同時に、白Bが利いているため断点への守りにも働いているのです。
囲碁AIもこの手を推奨しており、この定石の研究がさらに進む発端となりそうです。


黒15と左辺の脱出を図った瞬間、白16と下辺に働きかけるのが好手。
左辺の黒は治まっている訳でないため、強く反発はできず黒17と受けるのが相場。
白20まで、自身を補強しながら左辺との連絡を裂けば白悪くない展開と言えるでしょう。


黒21と下辺を守るなら、白22と中央への侵出を止めて中央の主導権を握ります。
黒23から左辺の白一子を飲み込まれますが、Aの利きやBの狙いがあり活力が残っています。
また、白は外回りを厚くしつつ、白32の両カカリへ先着できるため白は足早に展開できます。
序盤作戦が成功したこともあり、世界屈指の打ち手である時越九段に勝利しました。
結果、白中押し勝ち。



【実戦譜2:流行形の三々定石】
黒番は連笑九段、白番は金志錫九段です。
黒1の三々入りが今では常識になりつつある手法です。
白2、4の受けに対し、黒5とあえて薄い格好で受ける手法があります。
白が手抜きするならAやBなど効果的に薄みを補強する後続手段が残されています。
黒の狙いは白に手抜きづらい状況へ引きづり込み、手番を得ることだったのです。


白6は相手の出方を利いて、先の打ち方を変える意図です。
黒7と自身の傷を守ったので、白8と上から利かしていきます。
続いて、黒AやBと守るのが無難ですが、何れも後手を引く可能性があります。
白に手番を奪われて、当初の目的を外されたように見えますが・・・。


黒9と反発するのが最近打たれ始めた手法。
当然、白10から12と突破されますが、黒13など大場に走れば悪くないと見ています。
Aの利きやBの狙いが残っているので、左下の黒二子に活力が残されているので黒の主張。
しかし、白の形があまりにも好形であるため、通常は白良しとみるべき変化と言えます。
結果、黒中押し勝ち。

「編集後記」
芝野七段は世界戦で強豪を次々に打ち破る記録を残しています。
第一ラウンドを勝ち上がり、日本に良い知らせを持ち帰ってほしいところです。

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