囲碁AI・金毛測試の観戦記3

今回は鮮やかな技で一局をまとめ上げる石の流れを紹介します。
相手の厳しい追及を全局的な打ち回しでかわしていく様は圧巻でした。
正確な形勢判断と柔軟な石運びが調和した本局をご覧ください。


【実戦譜:隙の無い打ち回し】

黒番が金毛測試、白番がjbrです。
黒1の両カカリに白2から8と受けるのは現代の定石。
続いて、黒Aのコスミが従来の形ですが、金毛測試は黒9と受けることが多いです。
下辺の黒が逆襲される可能性を低くしつつ、右下の白への追及を睨んでいます。


白10、12と整形しますが、黒13が根拠の要所で右下だけで眼を作れない形となります。
黒15まで、右下の白の攻めを見ながら、右辺の黒を整備できたので黒悪くない進行です。


白16、18と迫りますが、構わず黒19と下辺を拡大するのが好判断。
白20と右辺に包囲されて右辺の黒が窮屈に見えますが・・・。


黒21、23で眼形豊富の格好となるため、白の攻めが切れてしまいます。
白24から30と封鎖するも、AやBの傷残りなので依然として薄い形となっています。
右下で単独の生きがない以上、この断点が残っているのは大きな借金になるからです。


白34から38と右上隅を重視する進行を選択します。
黒39でAは白B以下符号順で黒が苦しいワカレとなるため、実戦は黒41と変化します。
白は右辺方向に地を作っても、厚みとの距離が近いので望ましくない展開です。


白42が最も頑張った受け方です。
黒43には白44と外周の傷を守りつつ、右上隅を狙っていきます。
当然、黒45と逃げ出されますが、白54まで手数が伸びたため黒55と手を戻さざるを得ない。
白56、58で上辺の黒が浮石となり、多方向に悪影響を及ぼしそうですが・・・。


黒59から63と下辺の模様を拡大していきます。
人間的には白64と上辺の黒を攻められるため、急場を軽視したやり過ぎの進行を見えます。
しかし、囲碁AIはここから明るい大局観でこの難局を切り抜けていきます。


黒65と動き出しますが、白66と大きく攻められてシノギが相当難しい戦況になります。
白72まで、いたずらに損害を増やしたように見えるが、この先の構想が真の狙いでした。


黒73と白74を交換した後、黒75と右下の白を分断するのが一連の流れの狙いでした。
白76と抵抗するも、黒77と分断しながらAを見てあっという間に黒有利な戦いとなりました。
上辺の動き出しは損害を出したようで、本図を誘導するための陽動作戦だったのです。
上辺と右下のフリカワリで打てると判断できる明るさと柔軟さが光る好局でした。
結果、黒中押し勝ち。

「編集後記」
一連の流れが序盤から読み切っていたかのように辻褄が合っていくのが驚きました。
どの手も級位者や有段者でも扱えるものであるにも関わらず、差が大きく開いていくのです。
基本的な知識を正しく使うだけで簡明にまとめ上げることができるようです。

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