2018Tencent杯世界囲碁AI大会決勝七番勝負(2)

7月31日に中国棋院で「2018Tencent杯世界囲碁AI大会」の決勝七番勝負が行われた。
中国の絶芸が星陣囲碁を完封し、他の囲碁AIを寄せ付けない実力であることを証明した。
大会終了後に何かしらの動きがある可能性もあり、その後の動向に目が離せない。
以下に本日の結果をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【7月31日(火):決勝七番勝負の結果】
絶芸(中)7ー0星陣囲碁(中)
第5局:絶芸、白中押し勝ち
第6局:絶芸、黒中押し勝ち
第7局:絶芸、白中押し勝ち

囲碁AIの強さの質が一段階上のクラスに上がっており、衰え知らずの進歩を遂げている。
今回の7局の内、第4局と第7局は特に面白い内容となっているのでぜひ鑑賞してほしい。
現代は囲碁AIから打ち方や発想を学ぶのが常識となっており、更に碁が進化していきそうだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【第5局:明るい大局観】
黒番は星陣囲碁、白番が絶芸です。
白1と左下の黒に迫りますが、構わず黒2と左辺を広げていきます。
左上の厚みを背景に模様を形成されて黒好調に見えますが、絶芸は冷静な収束を見せます。


白3、5と左下の黒を孤立させつつ、左辺の模様拡大を制限します。
黒6で上辺と勢力圏が広がっても、焦らずに白7から11と根拠を確かめるのが冷静でした。
将来的に白Aと左下隅を大きく飲み込む狙いもあり、白の楽しみが多い局面です。
一方、左辺の黒陣の幅が狭く、左上の厚みが活かし切れてないのが泣き所。


黒12と模様を大きく広げても、白13と大場を占めれば白悪くない展開です。
上辺の黒陣はAやBと荒らしにいく狙いや、Cと削る手もあるので焦る必要はありません。
着実に盤面を狭くしていき、黒が勝負できる場を一つ一つ潰していっています。
結果、白中押し勝ち。



【第6局:三々定石の周辺】
黒番が絶芸、白番が星陣囲碁です。
黒1の三々入りは流行の手法で最近よく打たれています。
現在は様々な変化が研究される中、黒5から7と穏やかに受けるのは非常に珍しい。
追及不足にも感じられますが、白は傷を残さずに守れないので考えられる進行の一つです。


白8と受けるのは黒9から15と動き出すのが厳しくなります。
白の薄みを突く狙いもありますが、右下の攻防で中央を厚くするのが本命の構想です。
全局的に厚くなれば、左辺の黒陣と呼応して黒は大きな勢力圏を築くことができます。


白16と受けるのは仕方ないところ。
黒17、19は白20の切りが成立するため、傷をついたばかりの黒三子が飲み込まれます。
しかし、白が切りを打たざるを得ない局面に誘導することが黒の意図した進行でした。


黒21から29と黒三子を捨て石に外周を厚くするのが面白い構想でした。
左辺に広大な黒陣が広がっており、黒は発展性豊かな土地を築くことに成功します。
要石のようでも、捨て石として活用すれば簡明にリードを奪える場合もあります。
結果、黒中押し勝ち。



【第7局:巧みなシノギ】
黒番が星陣囲碁、白番が絶芸です。
黒1と迫られて上辺の白は危険な状況だが、ここで白2と様子見したのが面白い着想でした。
実戦は黒3と厳しく追及したため、白Aの勝負手が残り上辺の戦況が大きく変化します。
上辺は必ずしも生きる必要はなく、白Bの切りが成立すれば良い戦況に変わったからです。


白の意図を外すため、黒5と断点を補強して上辺を大きく飲み込む方針に取ります。
ただし、白6で上辺は簡単に捕まらない石となっており、白の実利が光る展開となりました。


白12のハネに回れれば、白は無傷で取られない格好となります。
黒13、15が勝負手ですが、白16から18を決めた後に白20と根拠を確かめてシノギ形です。
最後の勝負所は黒Aから上辺の白がどうなるかですが・・・。


黒21、23の反撃に、白24と並ぶの決め手になります。
黒Aで取りにいくのは白B以下符号順で黒陣を突破できるため黒苦しい展開となります。


黒25と受ける一手ですが、白26から32と脱出して白が地合いで大きくリードしています。
上辺は黒の勢力圏であったにも関わらず、大きく居直られる結果となりました。
中央の白に寄り付くことも難しく、黒は勝負できる場が消えています。
結果、白中押し勝ち。


【参考図:手厚い収束】
黒1で白を飲み込む変化も考えられます。
しかし、白2から6と中央を厚くされた後に白8と連絡されて白優勢です。
黒は全く勝負できる場がないので、わかりやすく白勝ちです。

「編集後記」
囲碁AI・絶芸は圧倒的な強さを見せて優勝を果たしました。
大会が終わり、様々な動きがあるかもしれないので注視ていきます。

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