2018Tencent杯世界囲碁AI大会決勝七番勝負(1)

7月30日に中国棋院で「2018Tencent杯世界囲碁AI大会」の決勝七番勝負が行われた。
囲碁AI頂上決戦は中国の絶芸が異次元の強さで星陣囲碁に勝利し、世界一の栄冠を獲得した。
なお、大会規定により勝敗に限らず7局行われるため、明日に残りの3局が打たれる予定だ。
決勝戦は持時間各1時間+秒読み60秒10回の中国ルール(コミ7目半)で行われた。
以下に本日の結果をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【7月30日(月):決勝七番勝負の結果】
絶芸(中)4ー0星陣囲碁(中)
第1局:絶芸、白中押し勝ち
第2局:絶芸、黒中押し勝ち
第3局:絶芸、白中押し勝ち
第4局:絶芸、黒中押し勝ち

絶芸が卓越した実力を有していることが証明された大会となった。
特に第4局は囲碁AIの域すら超えたかのような石運びを見せる奇想天外な棋譜を残した。
記事の都合上、全ての見所を伝えることができないので全4局を自身で鑑賞してほしい。
さて、対局を振り返っていきます。


【第1局:絶芸の十八番戦術】
黒番が星陣囲碁、白番が絶芸です。
黒1のカカリに白2、4と受けるのが絶芸の好む受け方です。
右下の黒を重くして黒Aなどを強制し、手番を奪って足早に大場を占める意図があります。
この受け方は人間界でも多用されることが予想されるため対策が必要でしょう。


黒5と右辺を受けるのが自然な一着。
しかし、白6のカカリに回られると見た目以上に黒の応手が悩ましいところです。
黒7はアルファ碁も推奨する一手ですが、白8と軽く逃げ出されて次の一手が難しい。
例えば、黒Aと右辺方向を固めても、将来的に白Bなど狙われて地になりにくいからです。
結果、白中押し勝ち。



【第2局:コウ争いの精度】
黒番が絶芸、白番が星陣囲碁です。
白1と受けた瞬間、Aのコウ争いを背景に黒2とコウ材を作り始めます。
囲碁AIはコウを苦手とする短所がありましたが、本局でその見解は崩れ去りました。


白3の受けに黒4、6と自ら損をする進行を選択します。
白7で取られますが、黒8から10と更に損を重ねてから黒12とコウを仕掛けていきます。
黒は右辺のコウ材の価値を大きくして、白がコウを解消できる戦況を水面下で潰しています。


白13とコウを取られますが、黒14のコウ材を使って抜き返します。
白17の傍コウを使ったタイミングで、黒18と様子見したのが絶妙でした。
一つでも大きなコウ材ができれば、黒は左上のコウ争いに勝てる戦況だからです。


白19と受ける一手ですが、黒20とコウを仕掛けられて白勝てないコウ争いになります。
白21の抜きには黒22の大きなコウ材が用意されており、白は受けざるを得ないからです。
白25、27とコウの代償を回収しますが、黒28で左辺の黒陣が深くなり黒満足な展開。
コウ争いを確実に勝つ工夫を凝らし、優勢を確実に築く囲碁AIの強さが現れました。
結果、黒中押し勝ち。



【第3局:軽やかな石運び】
黒番が星陣囲碁、白番が絶芸です。
黒1のカカリに受けず、白2と右辺の黒陣を割るのが機敏でした。
見た目は黒Aの反撃が厳しく見えますが、絶芸は鮮やかに収束していきます。


当然、黒3と反撃されますが、白4を利かして白6と上方を補強します。
黒は右辺の白を攻め切るのが難しい上、白Aなど上辺の薄みを狙われる難局を向かえます。
人間的には攻める進行を選んで勝負したいところですが・・・。


星陣囲碁は黒7と我慢して手を戻す進行を選択します。
しかし、白8から14と全ての白が居直られては若干白に打ち回されているように映ります。
互角に近い形成ですが、黒は決定打を与えられず長期戦模様に持ち込まれては不本意な展開。
本局は星陣囲碁も善戦した内容ではあったものの、僅かに届かず終盤で投了を告げました。
結果、白中押し勝ち。



【第4局:明るい布石感覚】
黒番が絶芸、白番が星陣囲碁です。
黒1と五線に肩ついて右辺の白陣拡大を制限したのが面白い。
左辺の黒陣と呼応して中央に模様ができる可能性もあり、黒の発展性が広がっています。
囲碁AIは中央感覚が優れており、この点が人間との大きな差に繋がっているかもしれません。
結果、黒中押し勝ち。

「編集後記」
力尽きてしまい、第4局は軽い紹介になりましたが、決勝戦の中で一番見てほしい一局です。
中盤の秘術が凄まじいので、異次元の碁とはこうなのかと直に感じてみてください。

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コメント

  1. Zr より:

    第4局がすごいという噂は別のところからも聞こえていたので見てみたのですが、まず左上の黒4子をあっさり捨ててしまったのにビックリしました。右上の網走スベリもなるほどと思わされました。感動的な碁でしたね。

  2. okao より:

    第4局は中盤の戦いからヨセの妙技まで、見所満載の内容ですね。あそこまで自由かつ的確に打てたら楽しいでしょうね。