第1回呉清源杯世界女子囲碁選手権決勝三番勝負

7月23、25日に中国で「第1回呉清源杯世界女子囲碁選手権」の決勝三番勝負が行われた。
韓国同士の対決は新鋭の金彩瑛四段が崔精九段に2連勝し、世界戦初優勝を飾った。
ニューヒロインが誕生し、世界の女流囲碁界の勢力図が少しずつ変化しているようだ。
以下に結果をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【7月23日(月):第1局】
金彩瑛四段ー△崔精九段、白中押し勝ち
【7月25日(水):第2局】
△金彩瑛四段ー崔精九段、黒3目半勝ち

韓国の崔精九段と中国の於之瑩六段の二強時代が終わり、女流戦国時代に突入した。
若手棋士の活躍が目立つ流れとなり、これから更に競争が激しくなりそうだ。
なお、金彩瑛四段は世界戦優勝により五段へ昇段を果たした。
さて、対局を振り返っていきます。


【第1局:軽い石運び】
黒番は崔精九段、白番は金彩瑛四段です。
黒5の三々入りは様々な戦型で応用されている手法の一つ。
現代ではカカリを選択する方が珍しく、従来の考え方が通じない打ち方に変容しています。


白6、8と手厚く受けるのも有力です。
黒に地を稼がれる反面、傷が残りづらいので中盤戦で力強く戦えます。
白は穏やかな進行を目指し、コミが利く長期戦模様に持ち込むは基本戦術です。


黒11、13は流行している受け方。
白Aと右下を補強するのは黒Bと踏み込まれて白の応手が悩ましいところ。
単に下辺に構えるのは黒の意図する進行となるため、工夫が求められる場面です。


白14と右下の黒に迫って黒の出方を見る打ち方を選択します。
実戦は黒15と下辺を割って戦線を拡大し、乱戦模様の碁を目指していきます。
ここで白16と大ケイマに踏み込むのも最近よく打たれる踏み込みです。
Aの利きやBの三々が残っており、掴みどころのない石となっています。


黒17と隅の利きを消えたので、右下の白が大きく取られないよう白18と脱出を図ります。
黒19に白20と強く受けるのが好手で、黒の打ち方が非常に難しくなっています。
黒Aと押さえ込むのは白Bと封鎖されて白厚い碁形を許してしまいます。
右下隅にも味が残っており、黒不満な展開と言えるでしょう。


黒21、23と頭を出していきますが、白24から26で右辺と下辺を補強されて黒不満。
黒に分断を許しても各所で十分な形を築いており、黒の攻めが空振りしています。
柔軟な打ち回しで黒の追及をかわす面白い序盤戦でした。
結果、白中押し勝ち。


【参考図:隅の味残り】
黒2から6と△を大きく飲み込みいく変化も考えられます。
しかし、白A、黒B、白Cと動き出す狙いがあり、味残りであるのが黒の泣き所。
かと言って、隅に手を戻すのは白Dと下辺を大きく攻められて白ペースとなります。
本図の進行を避けるため、実戦は封鎖を嫌う展開を選択しています。



【第2局:アルファ碁型の三々戦術】
黒番は金彩瑛四段、白番は崔精九段です。
黒1と白2の交換をしてから黒3と三々入りするのが、アルファ碁が示す戦術。
現在は星のカカリに手抜きする実戦例が多く、先に打たなければ利かないと見ていそうです。
黒にとってどの程度利かしになっているか定かでないため研究必須の布石の一つ。


白4から14と左上隅を固める戦術を選択します。
手番を得た黒は黒15と上辺を先着して、上辺の白模様化を牽制して一段落です。
お互いに先の打ち方が難しく、純粋な布石力が試される戦型と言えるでしょう。
結果、黒3目半勝ち。


【参考図2:アルファ碁の自己対戦】
黒1の三々入りに白2から10と穏やかに受けるのがアルファ碁の自己対戦が現れる戦型。
黒11と左下の黒に援軍を送りながら地を稼げますが、ほぼ白勝ちに収束してます。
ただ、どの碁も半目勝負の微差であり、この碁形になっても黒悪くなさそうです。

「編集後記」
世界のトップ棋士は囲碁AIの手法を積極的に取り入れているのが印象的です。
まだ試行段階だと思いますが、近い将来、常識的な打ち方になりそうですね。

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