第23回三星火災杯世界囲碁マスターズ統合予選3回戦

7月5日に韓国で「第23回三星火災杯世界囲碁マスターズ」の統合予選3回戦が行われた。
各組で中国棋士が大きく勝ち越しており、層の厚さを改めて感じる3回戦の結果となった。
明日の準決勝で日本、韓国が意地を見せられるか注目していきたい。
以下に対戦結果とまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【7月5日(木):予選3回戦の結果】
韓国78名→34名、中国57名→35名、日本6名→4名、台湾4名→0名、海外4名→2名
<A組>
劉星七段(中)ー陳劭全初段(台)
檀嘯九段(中)ー朴永龍四段(韓)
趙晨宇六段(中)ー韓相朝初段(韓)
宋泰坤九段(韓)ー崔源進アマ(韓)
<B組>
党毅飛九段(中)ー尹畯相九段(韓)
朴進率八段(韓)ー李承俊初段(韓)
朴鐘勳三段(韓)ー林君諺七段(台)
楊鼎新七段(中)ー金炯佑八段(韓)
<C組>
張濤六段(中)ー朴炫洙二段(韓)
陳梓健六段(中)ー尹燦熙七段(韓)
金希洙初段(韓)ー李勇秀八段(韓)
朴永訓九段(韓)ー林進煜アマ(韓)
<D組>
沈沛然三段(中)ー偰玹準四段(韓)
原正和二段(日)ー柳珉瀅六段(韓)
李翔宇五段(中)ー周睿羊九段(中)
金成進五段(韓)ー朴鎭鍈三段(韓)
<E組>
羅玄九段(韓)ー朴常鎭三段(韓)
張立六段(中)ー韓尚勲八段(韓)
江維傑九段(中)ー崔暎讚三段(韓)
何暘三段(中)ー韓鐘振九段(韓)
<F組>
朴材根三段(韓)ー劉云呈初段(中)
李元榮七段(韓)ー李炯珍四段(韓)
曹瀟陽五段(中)ー廖元赫六段(中)
時越九段(中)ー元晟溱九段(韓)
<G組>
李映九九段(韓)ー朴正祥九段(韓)
伊凌濤五段(中)ー溫昭珍八段(韓)
連笑九段(中)ー黄世元二段(台)
韓昇周五段(韓)ー李元道六段(韓)
<H組>
羋昱廷九段(中)ー王星昊初段(中)
古力九段(中)ー毛睿龍五段(中)
鄔光亜六段(中)ー姜知勲アマ(韓)
李維清五段(中)ー古霊益六段(中)
<I組>
楊楷文六段(中)ー郭聞潮五段(中)
申旻埈八段(韓)ー孟泰齡六段(中)
黄云嵩六段(中)ー沈載益二段(韓)
韓一洲六段(中)ー周賀璽五段(中)
<J組>
文儒彬初段(韓)ー尹潣重二段(韓)
姜昇旼六段(韓)ー陳浩六段(中)
陳耀燁九段(中)ー范胤七段(中)
李志賢七段(韓)ー鄭胥四段(中)
<K組>
陶欣然七段(中)ー李昌鎬九段(韓)
胡鈺函五段(中)ー安正己四段(韓)
崔哲瀚九段(韓)ー金基範二段(韓)
戎毅五段(中)ー成家業初段(中)
<L組>
尹聖植アマ(韓)ー尹松濤二段(中)
卞相壹九段(韓)ー康知範初段(韓)
朴河旼三段(韓)ー李欽誠九段(中)
宋圭相三段(韓)ー李昌錫四段(韓)
<M組>
姜東潤九段(韓)ー李尙憲四段(韓)
蔣其潤五段(中)ー朴珉奎六段(韓)
謝科五段(中)ー張強四段(中)
李軒豪七段(中)ー林士勛六段(台)
<N組>
許嘉陽七段(中)ー趙寅善四段(韓)
李東勲九段(韓)ー金志宇初段(韓)
丁浩五段(中)ー薛冠華三段(中)
范蘊若六段(中)ー安達利昌五段(日)
<O組(45才以上)>
金秀壯九段(韓)ー方捷七段(中)
徐奉洙九段(韓)ー張秀英九段(韓)
安官旭九段(韓)ー車修權七段(韓)
朴勝文七段(韓)ー金俊永六段(韓)
<P組(45才以上)>
小松英樹九段(日)ー白成豪九段(韓)
柳時熏九段(日)ー金東勉九段(韓)
崔珪昞九段(韓)ー金基憲七段(韓)
俞斌九段(中)ー朴映璨五段(韓)
<Q組(海外枠)>
曾富康ーAli Jabarin
李立言ーBenjamin Dréan-Guénaïzia
<R組(女流枠)>
金彩瑛四段(韓)ー李鑫怡二段(中)
朴泰姬二段(韓)ー高星四段(中)
李映周二段(韓)ー芮廼偉九段(中)
於之瑩六段(中)ー潘陽三段(中)
<S組(女流枠)>
藤沢里菜四段(日)ー趙惠連九段(韓)
呉政娥三段(韓)ー金美里四段(韓)
李小溪三段(中)ー上野愛咲美二段(日)
崔精九段(韓)ー金秀眞五段(韓)

日本は6名中4名(柳時熏九段、小松英樹九段、原正和二段、藤沢里菜四段)が勝ち上がった。
どの組も世界戦常連の棋士が残っており、枠抜けするにはこの壁を打ち破る必要がある。
この統合予選で日本の存在感を示すことができるか、注目していきたい。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:研究済みの布石】
黒番は趙惠連九段、白番は藤沢里菜四段です。
白1の三々入りは現代の碁を象徴する代表的な手法となりました。
右下に構えているので黒Aが自然に見えますが、最近はBと打つ実戦例が増えています。
理由の一つは実戦進行で黒良くならないと判断されているからです。


黒2、4は手番を得て大場に走る意図があります。
黒8は相手の出方に合わせて、Aの傷の守り方を変えようとする意図です。
しかし、白から簡明に優勢を築く手段があり、現在は白良しと見られているようです。


白9から13と左下隅を固める定石を選ぶの好判断。
△が来ているため、上辺に大きな黒陣を築きづらく黒A以下の進行は白良しに見えます。


黒14、16と左辺に転身しますが、白21まで地を稼ぎながらAを狙えるので白悪くない展開。
直近、黒はAの傷を守る必要がありますが・・・。


黒22、24と断点を先手で守った後、黒26と右辺を構えるのが相場です。
しかし、白27と下辺を占めて右辺の模様拡大を牽制すれば白の実利が活きる展開となります。
黒28、30と左辺に構えても、白31で右辺の黒陣は大きくまとまらないため若干白優勢です。
難しい技術を用いずに優勢を築けるため、最近はこの碁形になる実戦例が減っています。
結果、白4目半勝ち。



【実戦譜2:進化する定石】
黒番が申旻埈八段、白番が孟泰齡六段です。
最近は白1の三々入りに黒2、4と受ける実戦例が増えています。
一見すると、右下に構えているので石の方向が悪いように見えますが・・・。


白5、7と右辺に進出しようとしても、黒8から10が手筋で止めることができます。
続いて、白Aと受けるのは黒Bと封鎖できるので黒悪くない展開です。


現局面では白11と反発したいところ。
当然、黒12から14のシボリを決められますが、白17と外周に傷を残せるのが大きいです。
黒20まで、二線まで黒石がきているため右辺は見た目以上に厚い黒陣となっています。
あえて相手の石を引き付けて、右辺の黒陣を厚くするのは黒の狙いでした。
結果、白時間切れ負け。



【実戦譜3:流行形への対抗策】
黒番は党毅飛九段、白番は尹畯相九段です。
黒1のカカリに白2、4と受けるのが囲碁AI推奨の手法です。
単に黒Aなど受けるのは白に大場に走られて若干黒が遅れている進行となります。
ただ、対抗策になりそうな打ち方が現れており、白の打ち方が見直されるかもしれません。


黒5と左辺に大きな黒陣を築こうとするのがよく打たれる進行。
素直に白6と受けるなら、黒7から9と整形するのが黒の用意している対抗策です。


黒15まで左辺を一杯に広げるのが黒の想定した展開です。
白は左辺がそっくり黒地になってはいけないので、白16と手をつけていきます。
黒Aは白Bと左辺を割る調子を与えて白良しになりますが、黒の面白い手法が炸裂します。


黒17と左辺の白を重くしてから黒21と外回りを厚くするのが明るい発想。
白22の瞬間、黒23と白24の交換を決めてから黒25と封鎖するのが好手順。
白Aで左上の黒四子を取れますが、黒Bで先手で封鎖されるため白も大場に走るところ。
黒は調子で左辺に黒陣を築けているので、△と▲の交換が黒良しとなっているのが黒の自慢。
結果、黒2目半勝ち。

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