囲碁AI・星陣の三十番勝負、第7局~第9局

今回の3局には囲碁AI・星陣が人間に敗れた対局が含まれています。
簡単な死活絡みの攻防を間違えており、部分的な変化が重なる戦いを苦手とするようです。
囲碁AIは人間より強いですが、人間の方が優れている点があることも覚えておいてほしい。


【第7局:明るい構想力】
黒番が趙晨宇六段、白番が囲碁AI・星陣です。
白1と上辺の白陣を敷く構想を取ったので、黒2と割るのは当然の態度。
人間的には左右の白が攻めの対象になる可能性があり、若干頑張り過ぎに感じます。
しかし、囲碁AI・星陣は両方の白をシノギながら実利を稼ぐ石運びを見せます。


白3の肩ツキから素直に右上の白を補強する進行を選択します。
黒4から14と上辺の黒に好形を許す上に、白の形が若干崩れているのが気になります。
続いて、白Aと守るのは黒Bと手を戻され、白が全く得できないため工夫が求められます。


上辺の厚みを背景に、白15と右上の黒に迫るのが厳しい一手でした。
部分的に眼形がない格好なので、黒16と逃げ出さざるを得ない格好です。
白は右上の黒を攻めながら石の調子で▲の動き出しを解消する構想を描いています。


黒20から24と脱出するも、白25まで各所で攻めの余得を回収されては黒不満な展開。
また、白Aと眼形を奪う手が残っており、未だに攻めを狙われているのが黒の泣き所です。


黒26、28と中央へ進出した瞬間、白29から31と右辺を補強するのが機敏。
右上の黒が治まっていないので、黒は強く反発することができません。


黒32から36とAを残して先手で治まりましたが、右辺を固めた損失は見た目以上に大きい。
手番を得た黒は黒38と左下の白に迫り、手抜きの代償を求めますが・・・。


白39から43でAとBを見合いにして治まるのが簡明です。
白に全ての石を補強されたので、黒は上辺の厚い形を活かせない碁形になっています。
CやDと右上の黒に働きかける狙いもあり、上辺の攻防で黒は少しも得できていません。
互角に近い戦いだったはずが、一段落してみれば白に圧倒される姿になるのは不思議ですね。
結果、白中押し勝ち。


【参考図1:柔軟なサバキ】
黒1と根拠を奪うのは厳しい追及に見えるかもしれません。
しかし、白4と黒5の交換が約束されている場なので簡単にサバかれてしまいます。


黒7と白8を交換して上辺の封鎖を防いだ後、黒9と切る変化が考えられます。
それには白10から12を利かして上辺の白を軽くしてから、白14とアテるのが好手順です。


黒15と逃げ出すところですが、白16から22と上辺の黒陣を大きく破って白成功。
Aと左辺に白陣を築く狙いとBの封鎖を見れるので黒は既に勝ち難い碁形です。



【第8局:囲碁AI特有のツブレ】
黒番が姜東潤九段、白番が囲碁AI・星陣です。
黒1に手抜きをして白2と大場に回ったのは珍しい手法。
当然、黒3と左下の白にプレッシャーをかけて外回りを厚くする進行を選択します。
有段者以上なら簡単に読める死活ですが、囲碁AIは信じられないミスを犯していきます。


白4から10と懐を広げた瞬間、黒11を利かしてから黒13と受けるのが好手順。
白Aに黒B、白Cと生きる相場ですが、白10と黒13の交換が白の悪手となります。
囲碁AI・星陣はその意図を崩すためなのか、不可解な動きを見せます。


白14、16と受けるのはやり過ぎ。
黒17の切りでいずれかの白が取られるか、外周の黒を相当厚くさせるワカレになります。
白は外側の傷をついて活路を求めていきますが・・・。


自身のダメヅマリがひどいので、白18には黒19、21と頑張る手があり白窮しています。
白22、26と手を戻さざるを得ませんが、黒27と厚い格好を築けたので黒満足なワカレです。
後に黒Aと追及する狙いもあり、白相当損していると言えるでしょう。


白28の切りは明らかに無理な仕掛けで、囲碁AI特有の暴走が始まっている。
黒29を受け切るため白30から36と策動するも、黒37とシチョウで取られては勝負あり。
一度劣勢になると中々立て直すことができない囲碁AIの短所が現れた一局と言えそうです。
結果、黒中押し勝ち。



【第9局:斬新な配石】
黒番が黄昕四段、白番が囲碁AI・星陣です。
黒1のカカリに白2と広く構えるのは斬新な発想。
一路でも広く受けることで盤面全体を広く使い、足早な展開を目指しているようです。


白4、6は相手の出方を聞いて、先の打ち方を変える様子見。
黒7から9は右上の白を重くすることで、右辺の受けを強要する意図です。
無難に白Aなど右辺を占めるなら、黒Bと上から利かして黒悪くない展開となります。


白10と左辺に構えるのを優先していきます。
黒11に受けず、白12と右上を補強するのが柔軟な発想でした。
黒13と封鎖されても、白14から16と治まれば将来的に右下の黒を攻める狙いが残ります。
白は弱い石がないため、中盤で憂いなく戦える分だけ白が打ちやすいように見えます。
結果、白中押し勝ち。


【参考図2:利かされ】
素直に白1と受けるのは工夫不足。
黒2から10と右辺を制限された後、黒12と下辺に黒陣を築かれては黒ペースです。
右辺の白陣は凝り形なので、白望ましくない展開と言えるでしょう。

「編集後記」
この30番勝負は定先(コミなし)なので、囲碁AIから積極的な手が多く見受けられます。
ある程度厳しい条件下で対局させた方が、面白い手がたくさん見れるかもしれません。

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