囲碁AI・ELFOpenGo対人間【第1局】

今回からFacebookの囲碁AI・ELFOpenGoと韓国棋士の棋譜を振り返ります。
棋譜が見れるだけでも大変参考になるが、2手毎の評価値も記録されています。
人間側がどこで悪くしたのか、数値で判断できるのは大いに参考になるはずです。
※公開された棋譜は12局(対韓国棋士)あるが、匿名で公開されており対戦相手は不明。

上図は第1局の評価値の推移を表したグラフです。
この評価値は高くなるほど黒良しとなり、低くなれば白良しを示します。
30手目で評価値が白に傾いており、序盤の差がその後の展開に響いていることがわかります。
対囲碁AI戦において、序盤で大きく遅れないことが勝つための第一条件と言えそうです。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜:三々戦術の対策】
黒番は韓国棋士、白番はELFOpenGoです。
黒1の三々入りはAlphaGoが打って以来、人間界でも大流行している手法。
左下のシマリとの相性が良いと言われており、有力であると考えられてきました。
しかし、ELFOpenGoは簡明策であっさり優勢を築いていきます。


白2から6と二段バネの定石を選択し、隅の地を確保する展開するのが簡明なようです。
ELFOpenGoに限らず、BensonDarrなども二段バネで対処することが多い傾向にあります。


白12までのワカレは人間界でもよく表れる変化の一つ。
白は地を確保しながら部分的な生きを約束された形となるので、見た目以上に厚い形です。
左上の形を生かすため、黒13と上辺を広げていきますが、白は面白い対処法を見せます。


白14、16は面白い受け方でした。
黒Aなど上辺に構えるのは白B以下符号順で右上を固められるため、黒は地に甘くなります。
黒は単純に構えるのでは、白の実利がはっきり活きる展開となるので・・・。


黒17と上辺大きく広げるのは当然の一手に見えます。
しかし、左上が厚い格好なので、白はいつでも上辺の模様を消せると判断しています。
左辺や右辺が広いように見えますが、白18と下辺の大場を選択したのが好感覚でした。
黒は左辺のヒラキ方が非常に難しいため、白から急いで打つ必要がないからです。
白18でグラフが白良しに傾いたので、黒17では下辺に回るべきだったようです。


黒19と右上の白に圧力をかけながら、右辺を広げる展開を選択します。
しかし、白20と打たれた瞬間、黒の応手が悩ましい局面となっているのです。
黒A以下符号順はかえって右上の白を固めて、上辺の黒陣が薄くなります。


黒21から27と右上隅に食い込んで地を稼いでいきます。
ただ、右上の白が厚い格好となったので、白28と上辺の黒陣を割れば白悪くない展開。
難しい手は一切使っていませんが、大局観だけで相手の意図をことごとく潰しています。


黒29には白30、32と根拠を確かめるのが手厚い。
右上隅を荒らされましたが、元々荒らす手段が多い場だったのでそれほど白損してません。
一方、黒は上辺を荒らされた挙句、白Aなどの薄みが残っており薄い碁形となりました。
黒は残された左辺の大場をどう占めても、白に隙を突かれる形なので悩ましいところ。


黒33と左辺を占めるのは苦渋の選択。
当然、白34と打ち込まれて黒はあまり得できない折衝となります。
黒35と固めるのは辛抱強い受けですが、白36から38と中央に進出されては黒劣勢は明らか。
黒は左辺方向に厚くしても、左上の白が強い石なので厚みが機能しないのが黒の泣き所です。
結果、白中押し勝ち。


【参考図1:隅を固める調子】
黒1と上辺を構えるのは甘いです。
白2から6と隅を固める調子が残るため、黒が地に甘くなってしまいます。


【参考図2:通常の受け方】
白2に黒3、5と受けて右辺を固めるのは無難に見えるかもしれません。
しかし、右上隅が固まってしまうだけでなく、白Aなど上辺が薄くなる短所が大きいです。
上辺を受けていては白Bと左辺に先着されるため、黒出遅れた碁形と言えるでしょう。

「編集後記」
本当は中盤の面白い打ち回しも紹介したかったところですが、寝落ちしてしまいましたorz
これからは囲碁AI・星陣とELFOpenGoの棋譜を中心に記事を書いていきます。

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