囲碁AI・星陣の三十番勝負、第4局~第6局

今回紹介する3局はいずれも優れた大局観を遺憾なく発揮された棋譜となっています。
囲碁AIは人間を超えた着想を示すので、数年で碁の打ち方が急激に進化しています。
囲碁AIで研究するのが主体となっており、人間の研究では追いつけない時代となりました。


【第4局:サバキのテクニック】
黒番が胡鈺函五段、白番は囲碁AI・星陣です。
白1のツケは荒らす手段の一つだが、人間界では比較的珍しい類の打ち方です。
続いて、黒Aと手厚く受けるのは白Bで粘りの利く形になるので・・・。


黒2は左上隅で根拠を与えない厳しい追及。
部分的には白3とサバキを目指す形が、黒4から6で見た目以上に白のサバキが悩ましい。
白A、黒B、白Cと黒一子を抱えるのは、黒Dと外周を厚くされて白良くないです。


黒に厚い格好を与えないよう、白7から9と左辺に活路を見出すところ。
黒10で隅は固まりますが、AやBの利きを横目に白13とサバくのが好手でした。


黒14と強く反発するのは当然の態度。
白15の切り違いには、黒16から20でAとBが見合いとなり白窮したように見えるが・・・。


白21から25と左上一帯を捨て石に、左下の黒を飲み込むのが大胆な構想でした。
左辺への利きがあるので、下辺の白模様を見た目以上に深く白打ちやすそうです。


黒26と動き出しますが、白27から37と下辺の模様を広げれば白十分な局面。
左上の確定地も小さくはないものの、白模様の一部が地になれば追いつくのは容易です。
ただ、大まかな碁形が決まる流れなので、人間的には怖い打ち方であると感じてしまいます。
数多くの分岐の中で、これで勝ち切れると判断する囲碁AIの大局観には舌を巻きますね。
結果、白中押し勝ち。



【第5局:味付けの呼吸】
黒番は厳在明四段、白番は囲碁AI・星陣です。
白1のノゾキは囲碁AI特有の手法で、人間界でも打たれるようになりました。
黒2は右上隅を固めながら白Aの出切りに備えた地に辛い受け方です。
一見、白3はやり過ぎに見えますが、先の打ち方を見ると有力であることに気づきます。


黒4から8と分断できれば、人間的には黒好調な展開に見えます。
しかし、囲碁AIは新しい発想で局面を自在に打ちまわしていきます。


白9、11と右辺に白陣を築くのは当然の態度。
黒12とカカリに言った瞬間、白13と黒14を交換してから白15と受けたのが面白い。
上辺について、白はAでシノギ形を得ますが、黒は二手以上打たなければ取り切れません。
一手の様子見をするだけで、白にとって都合の良い戦況になる面白い手法でした。
結果、白中押し勝ち。



【第6局:明るい大局観】
黒番は史金帛三段、白番は囲碁AI・星陣です。
白1と黒2を決めてから白3と左上を受けるのが、星陣がよく用いる手法の一つ。
黒4が右下を補強しながら、左下の白にプレッシャーをかける好点に見えますが・・・。


白5、7と下辺を割りつつ、右下の黒を攻める展開を選択。
黒8で左下の白が身動きが取りづらいなっており、左下の黒陣が大きいように見えます。
しかし、ここから囲碁AI特有の明るい打ち回しで局面のバランスを取っていきます。


白9の肩ツキが気づきづらい好点でした。
Aのツケコシを狙いながらBの削減を見られており、黒の対応が悩ましくなっています。


黒10、12と左下を囲いながら下辺の傷を守る苦肉の策を取ります。
しかし、白15から17と右下を固めながら左下の黒陣を制限できたので白悪くない石運びです。
人間的には左下の黒地が大きく見えるため、怖い打ち方であるように映ります。


右下が全て白地になるのは大きいので、黒18から22とコウに弾いていきます。
しかし、右下に目もくれずに白23と大場に走ったのが素晴らしい大局観でした。
仮に黒AやBとコウを仕掛けても、白は左下にコウ材があるので戦えると判断しています。


黒24から30は無難な受け方です。
ただ、白31から35で中央から右辺の白模様が広大となり、はっきり白優勢となりました。
右下のコウは左下の黒陣を破る手がコウ材となるので、黒もコウを仕掛けづらいところ。
コウを含めてた全局的なバランスが取れており、いつの間にか黒勝ち難い碁になっています。
結果、白中押し勝ち。

「編集後記」
Facebookの棋譜を調べようと思いましたが、214局を見切れてないのでしばらく調査します。
それにしても囲碁AIは大局観が凄まじく優れており、もはや芸術と言えそうです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. あむろ より:

    いつも楽しく読ませていただいております。

    この三十番勝負の棋譜はどこで見られるのでしょうか。

  2. okao より:

    中国のサイトであるsina.comから探すと棋譜がある場所にたどり着けます。具体的な場所は諸々の事情で伏せます。ご了承ください。