第1回呉清源杯世界女子囲碁選手権ー三日目

4月28日に中国・福州で「第1回呉清源杯世界女子囲碁選手権」の2回戦が行われた。
日本は謝依旻六段、藤沢里菜四段、上野愛咲美二段が出場し、謝六段と上野二段が勝利した。
この勢いで7月下旬に行われる決勝戦の切符を掴めるか、注目していきたい。
本日の結果と明後日の組合せを以下にまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【4月28日(土):本戦2回戦結果】
崔精九段(韓)ー尹渠二段(中)
李赫五段(中)ー黒嘉嘉七段(台)
謝依旻六段(日)ー張璇八段(中)
金彩瑛三段(韓)ー高星四段(中)
呉政娥三段(韓)ー王晨星五段(中)
於之瑩六段(中)ー呉侑珍五段(韓)
陸敏全四段(中)ー藤沢里菜四段(日)
上野愛咲美二段(日)ー芮廼偉九段(中)

【4月30日(月):本戦8強戦組合せ】
崔精九段(韓)ー陸敏全四段(中)
於之瑩六段(中)ー呉政娥三段(韓)
謝依旻六段(日)ー金彩瑛三段(韓)
上野愛咲美二段(日)ー李赫五段(中)

日本が世界戦ベスト8に2名進出するのは十数年ぶりの快挙である。
経験豊富の謝六段、新鋭の上野二段は共に男性棋士と遜色ない実力を持ち合わせている。
日本の女流棋士で世界戦優勝した記録がないので、悲願の初優勝を飾ってほしいところだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:攻めで押し切る】
黒番は上野愛咲美二段、白番は芮廼偉九段です。
黒1は左辺一帯を補強すると同時に、下辺の白を睨む狙いがあります。
白2と大場に走ったので、黒3の攻めを繋げられるかが勝負所となりました。


白4に黒5、7と強引に裂いていくのが上野二段らしい力強さ。
地の損失は大きいが、下辺と右下の白を厳しく攻めれば十分取り戻せると判断しています。
こういった大胆な構想は、実力よりも決断できる勇気が求められるものです。


白8から12と右辺に流れ込みながら右下のシノギを図ります。
黒17まで、外周黒一色の状況下で白を攻める構図を築いて、黒有利な戦いとなりました。


白18から24は下辺の薄みを強調する粘り強い抵抗です。
黒も容易でない局面に見えますが、上野二段は強手を放って局面を制圧していきます。


黒25から29が力強い受けでした。
黒Aが利く格好となったので、下辺の薄みが緩和されているのが黒の自慢です。


下辺の白は部分的な生きがないため、白30と脱出せざるを得ない戦況です。
黒31、33と包囲網を破り、白は下辺と右下の両方をシノぐのが困難な局面となっています。


白34から40と手順を尽くして中央の黒を飲み込んでいきます。
しかし、黒41で中央に数多くの利きが生じるため、白42と手を戻すのはやむを得ないところ。
(白42で右辺を補強するのは黒A、白B、黒42の出切りで中央の黒が生還します)
上野二段が黒43と右下の白を丁寧に仕留めて黒勝勢となりました。
結果、黒中押し勝ち。



【実戦譜2:勝負手が炸裂】
黒番は張璇八段、白番は謝依旻六段です。
白1、3と右下の黒陣に踏み込み、どれくらい削れるかが焦点となりました。
黒4は右辺を手堅く構えて白の勝負手を封じる意図があり、黒は逃げ切りを図っています。
白は相当厳しい形勢に見えましたが、白5の踏み込みを境に戦況が一変していきます。


黒6と連絡を図った瞬間、白7の割り込みが決め手となった。
続いて、黒Aと受けるのは白Bで下辺の黒陣を割れるので・・・。


黒8、10と抵抗しても、白11の切りが鋭い好手。
黒はAとBを同時に守れないので、白は右下の黒陣を削ることに成功しています。


左下一帯の黒が分断されないよう、黒12と受けざるを得ないところ。
白19まで、黒地を荒らしながら中央に白地を築いてはっきり白優勢となりました。
一瞬の隙を見逃さなかった謝六段の勝負強さが光り、8強戦に駒を進めました。
結果、白中押し勝ち。

「編集後記」
謝六段と上野二段の両局は中盤の力比べで相手を上回れたのが大きかったと思います。
日本棋士は中終盤で乱れると言われますが、その印象を払拭できたのではないでしょうか。
この勢いで、決勝戦の切符を掴んでほしいですね。

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