第32期中国天元戦三番勝負

4月14、16、17日に中国で「第32期中国天元戦三番勝負」が行われた。
連笑天元が新鋭の謝科五段を2-1で敗り、天元のタイトルを辛くも防衛した。
持時間は2時間+秒読み1分5回、中国ルール(コミ7目半)で行われた。
優勝賞金は25万元(約425万円)、準優勝は10万元(約170万円)である。
以下に対局結果とまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【4月14日(土):第1局】△謝科五段ー連笑天元 黒中押し勝ち
【4月16日(月):第2局】△連笑天元ー謝科五段 黒中押し勝ち
【4月17日(火):第3局】連笑天元ー△謝科五段 白中押し勝ち

18歳の謝科五段はタイトルに届かなかったが、実力はトップ棋士の域に達している。
読みの力が洗練されており、力勝負の碁形になると謝科五段の良さが際立つように感じる。
経験を積み重ねて大局観に磨きがかかれば、タイトル獲得する未来もそう遠くなさそうだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1(第3局):現代の布石】
黒番が謝科五段、白番が連笑天元です。
白1の三々入りは常識的な打ち方になりつつあります。
黒2、4は厚みを築きながら手番を奪う狙いがあり、最近打たれる受け方の一つ。
黒はAの傷を効率よく守るため、黒8と三々に入る実戦例が非常に増えています。


白9から13は左下隅を白地にする定石選択です。
黒はAの傷を緩和したいので、黒Bの切りを選択しますが・・・。


黒14から18と厚い形を築いても、△があるため上辺に黒地がつきづらいと見ています。
左上の黒の配石を活かすため、黒は上辺への進出を止めたいところです。


黒20、22と形を決めるのが最近よく打たれる手法です。
白Aと手を戻すなら黒Bと封鎖できるので、白の進出を綺麗に止めることができます。


黒の意図を崩すため、白23の切りを入れたのが好手でした。
当然、黒24から26とシボられますが、白27から31と右辺に進出して白十分と見ています。
黒はシチョウが悪いため、黒Aと補強できないのも難点と言えるでしょう。


黒32と△の動き出しを牽制しつつ、上辺を盛り上げる苦心の一手を選択。
その代償に白33と右辺を大きく割られてしまったので、黒はあまり得していません。
黒34と上辺の模様を拡大しても、白35から37と下辺を占められては白打ちやすい形勢。
全局的に白堅い構えなので、後から黒模様を大きく削りにいけるのが白の強みです。
結果、白中押し勝ち。



【実戦譜2(第2局):厚みの距離感】
黒番が連笑天元、白番が謝科五段です。
黒1の三々入りは地を稼ぐ意図もありますが、相手の出方を見る働きもあります。
白8と地に走った瞬間、黒9とAの断点を強調するように左辺を割ったのが面白い。
左辺の黒が迫っているので、白はすぐに守る必要がありますが・・・。


白10、12と手を戻すのが相場。
しかし、黒13と左辺を堅実な構えで割られたのが大きく、若干黒打ちやすそうです。
白14は左辺の攻めを残すことで、間接的に左上隅に手をつけづらくする意図があります。
ただし、すぐに厳しい攻めが繋がらないので、黒15と走れば黒悪くない展開でしょう。
結果、黒中押し勝ち。



【実戦譜3(第1局):戦闘力が高い】
黒番が謝科五段、白番が連笑天元です。
黒1の肩ツキにAやBと受けず、白2など反発する手法が打たれ始めました。
白に左下の黒を狙われているため、黒は補強する必要があります。


黒3から7と整形しながら下辺の白を孤立させていきます。
白8に黒9と強く反撃したのが厳しい手で白容易でない戦いに引き込まれる。
本局を落とした連笑天元は、真正面から戦う力勝負は分が悪いと判断したのかもしれません。
第2局と第3局は大局観を活かす打ち方に切り替えており、柔軟な対応は流石ですね。
結果、黒中押し勝ち。

「編集後記」
第1局目を見た時は謝科五段がタイトル奪取するかなと思っていました。
そこから逆転2連勝をして防衛を果たす連笑天元の底力は凄まじいと言わざるを得ません。
実力の差というよりも、勝負の流れを感じ取って碁の打ち方を変えていると感じましたね。

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