序盤早々の三々戦術ー基本編(4)

今回は対中国流に対しても三々戦術が使えることを紹介していきます。
従来の考えたとは異なる打ち方なため、扱うのが非常に難しいと感じるかもしれません。
知識や呼吸が掴めれば応用の利く戦術なので、常識的な打ち方になるのも時間の問題です。
新しい発想を吸収し、自分の碁に昇華できれば碁の質がさらに上がるはずです。


【テーマ図:大局観で圧倒する】

黒1から5の構えは中国流と言われる有名な布陣。
通常は白AやBなど打ち進めるところですが、白6と三々に入るのも有力です。
右辺に構えているので、黒としては三々に入られるのは歓迎する展開に思うかもしれません。
しかし、先の展開を見越すと黒はそこまで良くないことに気づきます。


黒7から15と右辺を厚くする定石を選ぶのは当然の態度。
ここで、白16のツケから右辺の打ち方を利くのが面白い戦術でした。
黒はA~Dの選択がありますが、何れも黒の出方や方針を見せることになります。


黒17と受けるなら、白18と下辺に白陣を敷く展開を目指します。
黒19から23と右辺は固まりましたが、白24と構えれば白もそれなりの戦果です。
黒Aと模様を広げるのは、白Bなど大場に走られて足が遅い展開と言えます。


黒25から29と左辺を割るなら、白30と穏やかに地を稼いで白悪くない展開になります。
現局面のポイントは、右辺の黒模様を広げるのが見た目以上に難しい点です。


例えば、黒31と広げるなら白32と浅く消して白十分間に合います。
黒Aで右辺をまとめられそうですが、白Bのハネツギが先手で決まるので大きくないです。
模様が簡単に値切られてしまうのため、黒31と広げた手が空振りした格好になるのです。
三々戦術は模様の広げ方が難しい局面に導き、全局的なバランスを取るのが肝心になります。



【参考図1:コウのサバキ】
黒2と引くのも厳しい応手ですが、白3から7で粘りの利く形を築けます。
続いて、黒Aの追及が厳しいように見えますが・・・。


黒8には白9とコウに弾くのは当然の一手。
黒10と抜かれた瞬間、白11と相手の受け方を利くのが面白いです。


黒12は手堅い受けですが、白13にコウ材が続かないので黒14と受けるところ。
白15まで、右辺を整形しながら黒陣を割れたので白十分な展開と言えるでしょう。


【参考図2:傷を突かれる】
白1に黒2から6と右辺を固めるのも考えられます。
しかし、白7と黒8を交換した後に白9の切りが厳しいため黒良くないです。
右辺の白はほぼ生き形なので、黒不利な戦いと言えるでしょう。


【参考図3:弾力ある格好】
コウの変化を嫌うなら、黒2と手厚くプレッシャーをかけるくらいです。
しかし、白3でA~Cなどシノギ形を得る手があるため、非常に眼形豊かな格好となります。



【参考図4:地に辛い展開】
黒2と強く反発するなら、白3から5と隅で治まるのが地に辛い対応。
黒6にも白7と手堅く構えて、黒模様を荒らす間合いを図るのが肝心です。


黒8、10と下辺に黒陣を築けば、黒悪くない展開に見えるかもしれません。
ここで白11と右辺を消すのが好点で、黒の対応が悩ましいところです。
黒12と連絡を裂いても、△が堅いのでダメ場を打たされる流れになります。
下辺はAやBなど荒らす手立てがあり、白は地に辛い展開と言えるでしょう。



【参考図5:模様削減】
白1に黒2と受けるのは消極的な打ち方。
白3と軽く逃げ出されると、右辺の黒模様が消されて白悪くない展開です。


黒4から8と地を稼いでも、白9と右辺の黒陣を制限して白十分です。
現局面になると、右上隅を荒らした白の作戦が成功しており、黒はこの図は選べません。



【参考図6:最善に近い対応】
無難に右上隅を決めるのは黒良くないので、黒2から4と変化するところです。
白も丁寧に受けるのもありますが、人間的には白5と反発したくなるところ。
白としては簡単に手番を譲りたくないからです。(譲っても白悪くなさそうですが)


ここから先は難しい変化が多いので、代表的な進行の一つを紹介します。
黒6から10と強引に封鎖し、白11から15と傷を残しながら守るまでがほぼ一本道です。
左上に白が控えているため、黒16と受けるなら白17で白有利な戦いになりそうです。
黒も変化の余地が多いですが、本記事で考え方を主体とするので解説は割愛します。

「編集後記」
三々定石は難しい変化もありますが、基本的には全局のバランスを取るのが本命です。
最近は部分的に戦うよりも大局観を活かす全局的な打ち方が求められています。
近い将来、三々戦術は常識的なものとなるので、ぜひ取り入れてください。

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