第8回中国姜堰黄竜士精鍛科技杯世界女子団体戦ー1日目

4月9日に中国で「第8回中国姜堰黄竜士精鍛科技杯世界女子団体戦」が開幕した。
本棋戦は1日2局行われるので、体力や精神面の強さが試される大会方式である。
持時間は1時間+1分の秒読み、中国ルール(コミ7目半)で行われる。
以下に本日の結果と戦況をまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【4月9日(月):1、2回戦結果】
<第1戦>牛栄子二段(日)ー呉政娥三段(韓)
<第2戦>李赫五段(中)ー牛栄子二段(日)

【日本】謝依旻六段・藤沢里菜三段・王景怡三段・牛栄子二段(1勝)・上野愛咲美二段
【中国】於之瑩六段・芮乃偉九段・李赫五段(1勝)・王晨星五段・周泓余三段
【韓国】崔精九段・呉侑珍五段・呉政娥三段・金多瑛三段・金美里三段

日本の牛栄子二段が開幕戦を制し、幸先の良いスタートを切った。
今回は10、20代の若手女流棋士で編成されており、日本は大きく若返りしている。
本棋戦で日本は優勝した記録がないので、今回こそは良い結果を持ち帰ってほしいところだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:流行りの兆し】
黒番が呉政娥三段、白番が牛栄子二段です。
右上に黒が構えているので、黒2とハサむのは当然の態度。
白3から9は右下隅で地を稼ぎながら治まる意図で、簡明な定石手順の一つです。
黒はAの断点を守れば無難ですが、最近は白の意図を外す変化を打たれるようになりました。


黒10と上から受けるのが最近打たれ始めた手法です。
白Aの切りが成立するので、守りに働いているように見えませんが・・・。


白11の切りに黒12から18と三子にして外周を厚くするのが黒の意図する進行です。
ダメヅマリにより、白Aなど黒の包囲網を突破することはできません。


白19、21と手を戻すのは仕方ないところ。
白の実利も小さくはないですが、先手で外周を厚くして黒22の大場に回れたのも大きいです。
また、右辺に対して厚い碁形を築けたので、白は右辺に打ち込みづらい碁形になっています。
従来の定石と比較するのは難しいですが、本局の配石なら有力な戦術と言えそうです。


実戦は白23と右辺の模様を牽制する手堅い受け方を選択。
黒24に白25から29と反発するのもよく打たれる戦型の一つです。
黒はAと外回りを厚くするか、Bと地に辛く戦うかの二択ですが・・・。


黒30と白31を交換してから、黒32から36と全局的に厚くする変化を選びました。
右下の厚みと呼応して、中央に黒の勢力圏を築く大胆な構想を描いています。
もちろん、白の形がしっかりしているので、後半戦の追い上げは覚悟しなければなりません。
ただ、最近の中韓棋士は中央の価値を以前よりも高く評価しているように感じます。
結果、白1目半勝ち。


【参考図1:従来の定石】
白1、3のハネツギに黒4と守るのが無難な定石選択です。
実戦より右辺の模様が大きくなりそうですが、A~Cと荒らす手があり優劣の判断が難しい。
右辺を黒地にしたいなら、実戦進行の変化を選ぶ方が有力かもしれません。



【実戦譜2:中央の可能性】
黒番は牛栄子二段、白番は李赫五段です。
黒2の手堅いハサミは、右上で厚い形を築かれても白Aと反撃しづらくする意図があります。
白3から5と形を決めるのは中々打てない着想で、悪戯に黒地を与えているように見えます。
しかし、この後の構想を見ると白はそこまで悪い打ち方でなかったようです。


白7から15と露骨に中央を厚くするのは明るい発想でした。
白19の好点に先着して中央に勢力圏を築ければ白悪くないと判断したようです。


上辺の黒を守るため、黒20から28と地を稼ぎながら守るところ。
しかし、白29と大場に回られると中央一帯の白模様が深くなり黒容易ではありません。
かと言って、中央の勢力圏を消す明確な一手がなく、黒相当悩ましい局面と言えるでしょう。
白は模様の一部が地になれば十分碁になりそうなので、精神的にも気楽に打ち進められます。
結果、白中押し勝ち。


【参考図2:模様の牽制】
白1とツケた瞬間、黒2と模様を牽制する方が良かったかもしれません。
確かに、白3は見た目以上に大きいところですが、黒4と右辺を守って黒十分に見えます。

「編集後記」
最近の碁は従来の考えが通じないので、自分で一つ一つ消化する必要があります。
結局のところ、自分で考えて自分を納得させ得る答えを探すしかないようですね。

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