囲碁電王戦FINALー第2局

4月1日に韓国・ソウルで「囲碁電王戦FINAL」の第2戦目が行われた。(詳細はこちら)
囲碁AI・DeepZenGoが世界ランキング1位の韓国の朴廷桓九段を敗り初勝利を飾った。
以下に本日の結果と今後の予定をまとめたので参照ください。

【3月24日(土):第1局ー中国・北京】
△芈昱廷九段(中)ーDeepZenGo 黒番中押し勝ち

【4月1日(日):第2局ー韓国・ソウル】
朴廷桓九段(韓)ー△DeepZenGo 黒番中押し勝ち

【4月7日(土):第3局ー日本・日本棋院】
趙治勲九段(日)ーDeepZenGo

第2局では「打ち筋が安定している旧バージョン」に変更して臨んだという。
実際、序盤で築いた優勢を中終盤に入っても守り切る盤石な打ち回しを見せていた。
最終戦でも後半戦のミスを軽減したDeepZenGoを用いられることが予想される。
趙治勲九段が囲碁AIの予想を上回る好手を発見できるかが勝負所だろう。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:中盤の強打】
黒番はDeepZenGo、白番は朴廷桓九段です。
白1は左辺の黒模様削減と中央の白の勢力圏を広げる狙いを秘めています。
単に黒Aなど受けるのは相手の意図する進行となるため、黒2から4と反発するところ。
左辺の白が孤立すると右辺の白模様に悪影響を及ぼすので、次の一手が悩ましいです。


白5が朴廷桓九段の導き出した苦心の一手。
左辺の白を孤立させない工夫を図りつつ、上辺の黒にプレッシャーをかける意図です。
しかし、黒6が左辺の薄みを強調すると同時に、自身を補強するのが冷静な好手でした。
白Aは黒Bと囲われて黒に地を大きく稼がれた結果となるので、薄みの守り方が難しいです。


白7から13と整形しながら上辺の黒を分断して悪くない石運びに見えたが・・・。
黒14と連絡を裂くのが強打で、左辺の白が孤立してしまったのが苦戦要因となりました。
この折衝が発端となり、朴廷桓九段の調子が少しずつ乱れていきます。


白15に黒16と受けたのが機敏。
次に黒A、白B、黒Cの出切りが厳しいため、白17と左上隅を守る必要があるのが泣き所。
黒18まで、左辺の力関係が黒に傾いており右辺の白模様がまとまりづらい形になっています。


左上の失敗を取り戻すため、白19から21と強引に切断していきます。
しかし、黒24から26と左辺の白三子を切断されては白採算のない戦いと言えるでしょう。
左上の誤算が見た目以上に大きかったのか、打ち筋から焦りと戸惑いを感じます。
(白A、黒B、白Cの切断は黒Dで白の種石を取られるため打てません)


白27、29と左辺を補強するのは仕方ないところ。
黒30まで、左上を確定地にされたのが大きく、地合いの差は見た目以上に広がっています。
上辺は外周白一色なので、白31からの攻めに望みを託しますが・・・。


黒32、34のサバキが好手。
白Aと黒四子を取る程度では左辺の損失を取り戻せないので、白Bと黒全体を攻めるところ。


白35には黒36から42とシボリを決めながら白の形を崩して黒成功です。
AやBの傷が残っている上、いざとなれば黒Cから上辺を収まる進行も選択できます。
上辺の黒に対する攻めが繋がらないため、白は左辺の借金が大きく絶望的な形勢です。


【参考図1:シノギ勝負】
黒2、4と左辺を囲うのは、白5と上辺から中央に模様を築かれて白好調な流れです。
実戦進行は本図の進行を未然に防ぐ意図がありました。


【参考図2:通常の対応】
黒1に白2から6と分断するのがよくある反発の仕方です。
上辺の肩ツキが飲み込まれるのは大きいので、実戦より難しい進行だったかもしれません。


【参考図3:準備不足の切断】
白2、4と切断するのは黒5と露骨に切断していくのが好手。
続いて、白Aは黒Bで上辺との連絡を図られるので・・・。


白6、8と上辺の黒を切断していきます。
しかし、黒9から11と左辺の白を飲み込まれたのが大きく、白相当苦しい碁形です。



【実戦譜2:冷静な収束】
白1のハネ出しが序盤から睨んでいた白の狙いです。
黒2に白3、5でAとBが見合いとなり、紛れたかのように見えましたが・・・。


黒6、8と冷静に右下の白を制したのには驚きました。
打たれて見れば、白Aを許しても他の好点に回れば黒優勢を保持できることには気づきます。
しかし、実戦心理でこのような収束を打てる人間は中々いないように思えます。


白11から15とヨセますが、黒はAかBの何れかに先着できれば黒優勢は揺るぎません。
序盤の鋭さも印象的でしたが、それ以上に終盤の収束に旋律を覚えました。
結果、黒中押し勝ち。

「編集後記」
明日からLG杯の統合予選が始まるようなので、結果を記事にまとめようと思います。
棋譜が手に入らない場合は結果を記録として残す記事にする予定です。

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コメント

  1. キクヤン より:

    生放送ありがとうございました。
    DeepZenGoが勝利しなければ、日本は人も弱いが、AIも弱いと中韓から笑われそうで、世界ランキング一位に勝てたのは素晴らしい出来事のように思います。
    ps
    タイトルの碁盤、碁石の写真、上品な感じですね。

    • okao より:

      DeepZenGoは弱くはないのですが、大一番で信じられないミスをするんですよね・・・。
      今回も安定した旧バージョンにして十分力を発揮できるので最初から使ってほしかったところ。
      自分はDeepZenGoを応援していたので、最終戦に勝って有終の美を飾ってほしいと思っています。

      写真のコメントがなくて、少しだけ不満に思っていた自分がいましたw
      仕事でカメラを使う機会があり、現在はカメラで写真を撮る勉強している最中です。
      また、良いものが取れたらtwitterやブログに掲載していこうかなと思っています。

      • キクヤン より:

        写真は一目見た途端、おーなかなかだなあと感心しました。
        皆さんそう思ってていると思いますがわざわざコメントしないだけでしょう。
        石のバランス、質感、ライティングなど日本棋院のものより数段優れていると思います。
        日本棋院など白石に天井の蛍光灯が写っているなど無神経です。

  2. ロンドロンド より:

    書き込み失礼します
    第3局の日程が4月8日(日)となっていますが、7日(土)の間違いではないでしょうか