序盤早々の三々戦術ー基本編(3)

序盤早々の三々戦術は多くの戦型で応用できる面白い打ち方の一つです。
今回は模様を築きやすい三連星に対しても有力であることを紹介していきます。
三々の定石は厚みを築かれる短所があり、相性の悪い組み合わせに思えるかもしれません。
しかし、柔軟な発想と冷静な形勢判断で局面を見渡せば、黒容易でないことに気づきます。


【テーマ図:実利vs模様の構図】
三連星の布陣に対し、白6の三々入りを選択するのが今回のテーマです。
従来の考え方では、相手の模様を深くするお手伝いをしているように映りそうです。
白はどういった進行を想定し、右辺の黒模様をどう扱っていくか、解説していきます。


右辺に黒陣を敷いているので、黒7と押さえる一手です。
黒9から15と厚みを築ければ、右辺の模様が深くなり黒満足に見えます。
一方、白は右辺の模様を消しにいかずに白16と地をひたすら稼いでいきます。


黒17から25と右辺に模様を築いても、白26から28と消されて黒イマイチ。
右上と右下に厚みをあるにも関わらず、簡単に値切られては黒効率良いとは言えません。
序盤早々の三々戦術ではよく用いられる呼吸なので、覚えておくと役立ちます。


【参考図1:厳しく反撃】
周囲が黒一色なので、黒2から6と反撃するのも考えられます。
真正面からの戦いに引き込めれば、黒有利な局面に持ち込めますが・・・。


白7のノビが冷静です。
黒8から12と右辺をまとめた戦果も小さくないが、中央の白を厚くした損失も大きいです。


A~Cの味があるため、白13から19のハネツギに受ける必要があるのが黒の泣き所。
白21まで、右辺の黒陣は小さくなったので、中央を厚くできた白の利が大きく白成功。
元々、右辺は黒の勢力圏だったこともあり、多少黒に地を与えても白十分な結果となります。



【参考図2:配石に無関係】
黒2から6と手番を奪い、黒8から10と右上一帯の模様を広げるのも考えられます。
しかし、白11と右上隅を荒らすのが模様の急所となり、中々黒良くなりません。


当然、黒12から16と模様を広げますが、白A~Cがあり大きくまとめるのが難しいです。
白は上辺に食い込んでいるので、▲の配石が甘くなっていることもあり黒不満な展開。
また、右辺の模様を効率的に広げる手段が難しいのも黒悩ましい要因の一つです。


【参考図3:三々入りの牽制】
黒1、3は白の三々入りを防ぎながら、左上の黒に援軍を送る石運びです。
これなら右辺の黒模様が荒らしづらく見えて、互角に近い形勢に見えますが・・・。


白4の肩ツキが好感覚。
右上隅を固める短所はありますが、黒模様を消しながら左上の黒を睨んで白十分です。


右辺の模様を広げるのは難しいので、黒7と左上を補強するのが相場。
白8、10は地を稼ぐと同時に、黒からの利きを解消して模様拡大を牽制する好点です。
右辺はAやBと荒らす余地が残っている上、左下に大きな白模様が見込める碁形となりました。
右辺を荒らしにいくタイミングさえ間違わなければ、白優勢を保持できるはずです。


黒11と模様の接点に回るなら、焦らずに白12、14と上辺を補強するのが冷静。
弱い石がなくなれば、AやBなど深く荒らしやすくなるので間接的に黒模様が薄くなります。
黒は右辺を囲いにいった瞬間、根こそぎ荒らしにこられる碁形なので黒悩ましいです。


【参考図4:柔軟な立ち回り】
黒1、3と左辺を割って、バランス重視の打ち方に軌道修正するのも考えられます。
しかし、白4が下辺を広げながら右辺の黒陣を制限する好点となり、白打ちやすい碁形です。


黒5など右辺を囲うなら、白6のカドまで踏み込むのが簡明。
右辺を囲いにきている状況なので、いくら固めても惜しくないという発想です。


黒7から11と追及してきても、白12まで冷静に応じれば黒の傷が残る格好となります。
Aの切りやBのハネツギで整形する手段がある他、Cなど右上隅を削るのも大きな狙いです。
今回の手法は様々な局面で使える踏み込み方なので、覚えておきたい手法の一つです。

「編集後記」
対三連星の場合、序盤の打ち方は比較的簡明なので誰しも扱える石運びです。
ただ、中盤以降のシノギやサバキ方が非常に難しいため打ちこなすのは大変かもしれません。
今回のシリーズが一段落したら、三々戦術して知っておきたい技術を抜粋したいと思います。

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