第12回春蘭杯世界囲碁選手権ー2回戦

3月23日に中国・江蘇省で「第12回春蘭杯世界囲碁選手権」の2回戦が行われた。
日本の本木克弥九段は中国の辜梓豪九段に敗れ、日本勢はベスト16で姿を消す結果となった。
今回も厳しい結果となったが、次の世界戦こそ良い知らせを持ち帰れるよう頑張ってほしい。
以下に対戦結果と次の組合せをまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【3月23日(金):2回戦結果】
党毅飛九段(中)ー檀嘯九段(中)
朴廷桓九段(韓)ー彭立尭五段(中)
謝科五段(中)ー唐韋星九段(中)
朴永訓九段(韓)ー連笑九段(中)
金志錫九段(韓)ー謝爾豪九段(中)
柯潔九段(中)ー姜東潤九段(韓)
辜梓豪九段(中)ー本木克弥八段(日)
陳耀燁九段(中)ーPavol Lisyアマ(欧)

【日程未定:準々決勝組合せ】
朴廷桓九段(韓)ー謝科五段(中)
党毅飛九段(中)ー陳耀燁九段(中)
辜梓豪九段(中)ー朴永訓九段(韓)
柯潔九段(中)ー金志錫九段(韓)

今回は大きな番狂わせが起こらず、8強戦に勝ち残った棋士は順当な顔ぶれとなった。
差はほとんどないはずだが、世界戦で成績を残す棋士は意外と限られるのが不思議である。
現在の流行を考えると、囲碁AIの手法をどれだけ深く研究しているかが大きいかもしれない。
実際、2回戦は囲碁AI風な碁が多く、序盤から差を開いた碁がいくつかあったからである。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:現代的な構想】
黒番は朴永訓九段、白番は連笑九段です。
上辺には黒陣が控えているため、白1には黒2と挟んでいきたいところ。
白9に黒Aのツギが無難ですが、朴永訓九段は非常に手厚い進行を選択していきます。


黒10、12と二手かけて右下の黒を整備する進行を選びます。
部分的に黒は無駄のない格好を築けているので、見た目ほど黒悪くないようです。
とは言っても、白13など大場に先着されるのが大きく、序盤は白好調な出だしに見えます。


左上の黒を補強するため、黒14から16とサバキの調子を求めます。
白21は黒Aと根拠を持つ狙いを防ぎながら黒に迫る厳しい打ち方です。
黒は弱い石を抱えており、右辺の模様に悪影響を与える展開に見えます。


黒22から26と露骨に根拠をハッキリさせるのは中々浮かばない着想。
白27、29でAとBを見合いにされ、上辺の白にサバキ形を許してしまうからです。
詰碁や棋書などでは整形の手筋として紹介されており、強くなればなるほど避ける変化です。


黒30と受けるのは当然の一手。
白31から37と上辺を整形しながら地に走れば、白悪い理屈はないように感じますが・・・。


黒38、40と右辺を大きく広げるのが好感覚でした。
右上と右下は堅い構えなので、右辺の模様を荒らすのは白容易ではありません。
また、全ての黒が強いため、左辺は荒らされやすい場となり大きな白地が見込みづらい。
序盤は黒の足が遅く感じましたが、中盤以降の追い込みを見越した投資だったようです。
逆に言えば、足早に展開しても、必ずしも有利に働くとは限らないことがわかります。
結果、黒1目半勝ち。


【参考図:実戦例の多い進行】
黒1のツギは無難な対応です。
白2に黒3など模様に芯を入れるなり、広げれば黒悪くない展開と言われていました。
しかし、AやBなど右辺を容易に荒らす手段が残るなら、実戦の方が優るかもしれません。



【実戦譜2:新型の兆し】
黒番は彭立尭五段、白番は朴廷桓九段です。
黒1に白2と狭くハサむ手法がよく打たれるようになりました。
黒Aと左下隅に入るのは白の注文なので、黒3と反発するところ。
最近、白4と二間ビラキで受ける実戦例が多く、これから多く打たれそうです。


黒5から11で整形できますが、左下の白陣を固めるため一長一短なワカレ。
黒13と下辺を占めて、どれだけ黒が戦果を上げられるかが焦点となります。


白14、16と相手の出方をきいて、下辺の打ち方を変える戦術を選択します。
黒17と受けるならA~Cの利きや狙いが生じるので、下辺は固めやすい場となります。
白18、20と下辺を先手で補強してから、白22と右辺を割って白足早な展開です。
結果、白中押し勝ち。

「編集後記」
どの碁も囲碁AIの影響を少なからず受けているように見えました。
ただ真似しているだけでなく、細かな工夫が見られるので深く研究している印象を受けます。

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