第19回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦第12戦

2月28日に中国・上海で「第19回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」の第12戦が行われた。
韓国の金志錫九段が中国の党毅飛九段の連勝を止め、5年ぶりの優勝まで後1勝に迫った。
明日行われる第13戦には、数多の世界戦を制してきた中国の柯潔九段が出場する。
韓国が悲願の優勝を果たすか、中国が逆転優勝するか、注目していきたい。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:タスキ型の三々】
黒番が党毅飛九段、白番が金志錫九段です。
タスキ型の布石の場合、黒7の三々入りは地を稼ぐよりも、左上の白を狙う意図が強いです。
黒の攻めが繋がらないように整形するのが、白が取るべき基本的な方針となります。


白8、10は手番を得る場合に用いられることが多い手法。
しかし、右上と左下に黒が控えているので黒Aの切りが厳しく、手抜きするのは危険です。
黒13に対して、白はいくつか整形する手段がありますが・・・。


白14と黒15を交換した後、白16の切りを入れるのが最近打たれる形の決め方。
左上の死活絡みや周囲の傷を突かれた際に、黒17と受けさせておくと良い場合が多いです。
白18に黒Aと厚みに傷をつけたいですが、黒にとって得になるのか判断が悩ましいところ。


実戦は黒19の抜きを選択します。
白20に手を戻せますが、眼形がはっきりしていないので攻められる可能性があります。
また、シチョウが良くなれば黒Aの狙いも強烈で、白は見た目ほど厚い形ではありません。
ただし、黒からの急な攻めが消えたのも大きく、優劣の判断が難しいところです。


【参考図1:追及が厳しい】
左上を補強せず、白1など大場に走るのはやり過ぎです。
右上と左下に黒が控えているため、黒2から6と分断されて白不利な戦いを強いられます。


白6から10と上辺を受けるなら、黒11と左辺の白三子を攻めて黒好調です。
黒Aと迫る狙いも厳しく、黒の楽しみが多い局面と言えるでしょう。


【参考図2:切りの攻防】
黒1、3と傷を突くのも考えられます。
しかし、白4と構えられた際に上辺と左辺に厳しい攻めがないため黒得策と言えません。
白8まで、白は状況に応じてAやBと補強できるので、黒の攻めが空振りした格好です。



【実戦譜2:シノギの冴え】
白1に黒2と受けるのは手堅い受け。
通常、白3の三々入りに入られて▲の配石が若干甘くなるので一工夫するところです。
黒は地に甘くなったため、右辺で相当な頑張りを求められる展開となりました。


黒4、6と遮った後に黒8と断点を守るのは珍しい手法です。
黒Aと打てば立派な形となりますが、現局面では白Bと走られて黒出遅れた碁形になります。


黒10、12と白の進出を止められますが、外周の黒が薄くなっているのが悩みの種です。
実戦は白13と右下の黒を重くしてから、右上の傷を横目に右辺を割る穏やかな展開を選択。
石の調子で右辺を安全に割られては白好調に見えますが・・・。


黒16と白17を交換して白を重くしてから、黒18と守るのが大切な手順。
白19、21と右下の黒に迫った瞬間、黒24と右辺の白に逆襲するのが黒の構想でした。
右上の黒は厚い格好な上、右辺の白は重くなっているので白のシノギは簡単ではありません。


白25に黒26から30と右下の黒を補強しながら強引に白の眼形を奪っていきます。
右辺の白は重い姿でシノギが大変に見えますが・・・。


白31、33と黒を重くしてから白35と手を戻すのが好手順でした。
右辺の黒四子を狙われているため、黒は右辺の白を強く追及し続けることができません。


黒36、38と守らなければならないのが黒の泣き所。
白39が自身を補強すると同時に、右下の黒の薄みを強調する攻防の一手となっています。
右辺の白はゆとりある形なので、白41から43を地を稼いで白優勢となりました。
この後、大乱戦になってから黒勝勢を築くも、驚異的な粘りで白が逆転勝ちを収めました。
結果、白半目勝ち。

「編集後記」
本局は終盤の半コウ争いで白の妙手によりコウ材が増えて、最後に抜き去った熱戦譜です。
こうした対局を観戦すると、碁を勝ち切るのは如何に難しいか改めて感じますね。

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