第19回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦第11戦

2月27日に中国・上海で「第19回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦」の第11戦が行われた。
中国の党毅飛九段の巧みな石運びで韓国の申眞諝八段を圧倒し、5連勝を達成した。
開幕で大きなリードを築いた韓国だったが、貯金を使い果たし遂に追い付かれる。
中韓ともに2名となった戦況、王手をかけるのはどちらか、注目していきます。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:新時代の打ち方】
黒番は申眞諝八段、白番は党毅飛九段です。
黒5に白6と三々入りを優先して相手の出方を見るのが近代的な手法。
基本的に相手の意図を掴めば、限りなく最善に近い石運びを実現できる利点があります。
左下の放置など、最近は相手の思惑から脱却するため、手抜きの技術が向上したようです。


黒7、9と右辺に対して厚くしながら、手番を得る方針を選択します。
黒は左下の手抜きを咎めたいですが、白Aなど右辺に先着されるのは避けたいので・・・。


黒13と右辺の黒陣を整備するのが相場です。
白も左下を追求されないよう、白14と守りながら右辺の黒模様拡大を牽制します。
黒15の三々入りは地を稼ぐと共に、Aの断点を緩和する効果を上乗せできる意図があります。
ここ数年で布石の打ち方や発想が大きく進化しているのがよく分かりますね。


白16、18はほぼ確実に先手を取れる手法です。
白に左上隅を連打される訳にいかないので、黒19から21など受ける必要があります。
手番を得た白は、白22と左下の黒に迫りながら左辺に白陣を築いて白打ちやすい碁形です。
相手の出方を見れると、相手より効率の良い手を打ち続けることができます。


左下の黒を飲まれるのは大きすぎるため、黒23と補強するのは当然の一手。
しかし、白24から26と厚みを築き、白28と下辺を占めるのがわかりやすい石運びです。
下辺の白模様形成と右辺の黒陣拡大を牽制しており、依然として白優勢と言えるでしょう。


【参考図1:先制攻撃】
黒1と左下に迫る展開も考えられます。
しかし、黒3に手を戻さずに白4と右辺に先着されて、右上の厚みを活かしづらくなります。
続いて、黒Aと追及するのは白Bと先手で補強された後に右辺を連打されて黒良くないです。


黒5のハサミには白6から10と手堅く受けて白十分です。
白はAかBの何れかに打てれば、黒の勢力圏内でシノギ形を築けます。


【参考図2:傷口が大きい】
黒1と左辺を守るのは白2から6と追及されてしまいます。
左上に白が控えているので、上辺の黒三子を厳しく追及されてしまいます。


黒7から11と右辺を手堅く構えるなら、白12から14と上辺の黒を攻めて白好調。
右上の形は手番を得られる反面、こうした欠点があることを知っておく必要があります。



【実戦譜2:巧みなサバキ】
黒1と右下の黒陣を広げるのは最大の大場。
白2に黒3と迫った瞬間、白4のツケからサバキの調子を求めるのが面白い手法です。


黒5には白6とハネ返すのがサバキの手筋。
黒7から9と分断されて白窮しているように見えますが・・・。


下辺の白二子を捨て石に、白10から12と整形する調子を求めるのが白の狙いでした。
黒13と制されても、白14から16と右辺を補強できれば白十分な戦果と言えるでしょう。
右辺の白は見た目以上に強い石なので、AやBを狙える碁形で白の楽しみが多いです。


黒17に白18、20と下辺を割るのが地に辛い石運び。
AやBの利きを横目に、黒21が厳しく見えましたが白は整形する手段を用意していました。


白22、24と愚直に形を決めるのが粘り強い好手です。
黒25には白26と傷を守りながら眼形を厚くしてシノギ形を築けています。
後に黒Aが強烈に見えますが、△を捨て石に下辺を白地にできれば十分なので白優勢です。
今回の捨て石作戦は応用範囲が非常に広く、これから多くの局面で用いられそうです。
結果、白中押し勝ち。


【参考図3:しぶとい形】
黒2と上から受けても、白3から7で整形できます。
Aの傷があり、黒は右辺の白に強く追及することができません。

「編集後記」
見た目は奇抜に見える手でも、先の展開を考えると有力であることに気づきます。
特に6手目の三々入りは読めば読むほど黒容易でないことがわかりますね。
ある程度強くなった方は新しい手法の呼吸を掴むことが大切になりそうです。

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