第22回LG杯朝鮮日報棋王戦決勝三番勝負第3局

2月8日に日本棋院で「第22回LG杯朝鮮日報棋王戦決勝三番勝負」第3局が行われた。
19歳の中国の謝爾豪五段が井山裕太九段の積極的な仕掛けをかわし、世界戦初優勝を飾った。
悲願の世界戦優勝に後一歩というところで届かなかった井山九段の心境は想像に難くない。
この悔しさをバネに、再び大舞台に立つことを切に願っている。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:配置の工夫】
黒番が井山裕太九段、白番が謝爾豪五段です。
白2と三々に構えるのは黒3、5の肩ツキで白良くないと言われていました。
ただ、白8が良い配石であることがわかり、必ずしも黒が良くなる布石ではないようです。
例えば、黒Aは白B、黒Cと価値の低い左辺に打たされて黒足の遅い展開になりそうです。


黒9のシマリは好点ですが、白10と構えられると次の一手が見た目以上に悩ましいところ。
黒11と右辺を重視しても、白12と上辺を広げられて左上の構えが活きる展開になります。
黒も右下に模様を築ける碁形ですが、白A~Cの手段があり大きくまとめるのは難しいです。


黒13、15と右上の白に迫りながら上辺の白陣を割っていきます。
しかし、白16と黒17を交換してから白18、20と中央へ進出するのが好手でした。
Aから右上を整形する狙いとBの攻めが見合いで、白有利な戦いになっています。


【参考図1:配石の工夫】
黒1は自然に見えますが、白2から6と大場に先着されて黒足の遅い展開です。
△があるため左辺の価値が低く、黒は価値の低い場を打たされた格好となっています。
一方、白は無駄のない形で実利を稼いでおり、石の働きを比較しても白が勝っています。


【参考図2:隙の多い構え】
黒2と上辺を重視するのは、白3と黒模様を築きづらい碁形に導かれて黒大変です。
左上の構えはAやBなどの荒らす手段が残っており、白の実利が活きる展開となります。


【参考図3:整形の手筋】
黒2と逃げ出すのは白3、5と整形する常套手段があります。
続いて、黒Aのツギは白Bと右上隅に食い込まれるので・・・。


黒6と白7を交換してから黒8と手を戻す相場です。
しかし、白9から11を利かせるため、右上の白は見た目以上に眼形の厚い形となっています。
白13と上辺の黒を睨みながら右下一帯の模様拡大を牽制して白打ちやすいでしょう。



【実戦譜2:力強い収束】
白1に黒2、4と強引に切断して右辺の黒地化を目指します。
しかし、白5から9と上辺を攻めるのが厳しい追及で黒苦しい戦いを強いられます。


黒10には白11、13で右上の白は生きています。(黒Aは白B)
上辺の黒が一方的に攻められる展開で、右辺で稼いだ以上の損失が生じる戦況です。


黒14から18と利きを作ってから黒20と脱出を図っていきます。
しかし、白21と着実に得を重ねながら攻めを繋げられるため、既に白優勢になっています。


黒22から28と手順を尽くして脱出はできましたが、左上を固められたのが大きいです。
白33まで、上辺と左下の黒を睨みながら右辺の黒陣を削る手を見られては黒苦しい展開。
黒の強引な手段を的確に咎める謝五段の強さが光った好局となりました。
結果、白中押し勝ち。

「編集後記」
残念ながら、井山九段は世界戦初優勝を飾ることができませんでした。
2月には農辛杯、3月にはワールド碁チャンピオンシップなど世界戦が控えています。
この悔しさをバネに、他の世界戦での活躍に期待しましょう。

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コメント

  1. 東大阪の会(研究会) より:

    白20に構えてAとBがあり、井山さんは黒Aに構えましたが、結果的に白有利な展開になりました。黒Bと中央を一着したらどうなるかを研究しました。

    黒21(A)に、直ぐ白22(B)とするのは、左側の図は一例で、当研究会は黒が悪くない展開という結論です。

    したがって、中央の図のように、黒21(B)に白22とケイマに構えました。
    黒25の切りから黒実利を得て、いい勝負のようです。

    右の図のように、白24と白25を交換してから、白26と構える変化の方が、
    白有利な展開となります。テーマ図の時点では、白有利な状況のようです。

    井山さんは、3月6日十段戦に地元の東大阪の大阪商業大学に来られます。

  2. okao より:

    白1に黒2、4と応じるのも考えられます。
    しかし、白5がAやBを横目に右上の白を整形する手筋で、黒の攻めが繋がりません。
    ポイントなのは、必ずしも右上隅に食い込む必要はないという点です。

    ※図は1つだけで完結するよう、お願いします。

  3. 東大阪の会(研究会) より:

    白5で十分ですね。研究会でその手はわかりませんでした。