第6回CCTV賀歳杯日中韓新春争覇戦ー決勝戦

2月7日に中国・北京で「第6回CCTV賀歳杯日中韓新春争覇戦」の決勝戦が行われた。
韓国の朴廷桓九段が冷静に収束し、中国の柯潔九段に付け入る隙を与えず優勝を果たした。
本棋戦で中国の棋士以外が優勝するのは初めてで、中国一強時代が崩れつつあるようだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜:柔軟な石運び】
黒番が柯潔九段、白番が朴廷桓九段です。
囲碁AIの影響により、黒7の三々入りが用いられる実戦例が急増しています。
厚みを攻めの対象にする発想や、相手の出方を見て先の打ち方を変える戦術など、
多岐に渡る狙いがあり、戦術の幅が意外と広いことがわかりつつあります。


左下に白が控えているので、白8からオサえるのが自然な流れです。
三々入りの定石後の狙いとして「厚みを攻める意図」があるので、白14と手堅く構えます。
白は左辺に偏っているように見えますが、厚みが厚みとして働けば十分と見ているようです。


黒15、17と左上に手を入れるのが見た目以上に大きなところ。
後に黒Aと打ち込んで、左上の厚みを狙いながら左辺の白陣を荒らす狙いが残ります。
上辺の価値が低いため、黒19に白Bと三々に入りづらいように見えましたが・・・。


白20の三々入りを選択します。
黒21に白22から26と露骨に三線をハウのが柔軟な発想でした。
続いて、黒Aは白B以下符号順で下辺に先着する足早な構想を描いています。
先手を強引に取りに行って要所を占めていく囲碁AI的な打ち方を採用しています。


白の意図を崩すため、黒27のハネから頑張っていきます。
しかし、白28から34と右上隅を補強しながら右辺の厚みを活かしづらい碁形に導かれます。
白は難しい手を用いずに、実利と厚みの全局的なバランスを取れています。


黒35から上辺を固められても、白36から44とひたすら厚く打ち進めます。
黒地も大きいですが、左辺の構えと呼応して全局的に白厚い碁形で若干白打ちやすそうです。
問題はAやBの傷を突かれた際、白がどう対応するかですが・・・。


黒45から49と分断しながらAの切りを見られますが、構わず白50と守るのが柔軟でした。
白に右辺と中央の黒を狙われており、見た目以上に黒深刻な局面を迎えています。


実戦は黒51と中央を守る手を選びます。
ただし、白52から58と黒四子を取りつつ、右上の白を補強されたのが大きく白良しです。
本図のように左上の厚みが活きる展開になると、三々入りの布石は中々うまくいきません。
朴廷桓九段は三々入りの狙いを全局的な打ち回しで挫く一例を示してくれました。
結果、白中押し勝ち。


【参考図:足早な石運び】
白1に黒2と受けるのは無難です。
しかし、白3から7と走られると、全局的に黒遅れる碁形となり黒不満です。
黒Aと押さえ込んでも、白Bと消されてしまうので上辺には大きな黒地を見込めません。

「編集後記」
本局は朴廷桓九段の隙のない打ち回しが印象的に残りました。
高い読みの力に優れた大局観が噛み合い、碁の質が飛躍的に向上しているようです。
今年は朴廷桓九段が世界戦で大暴れするかもしれませんね。

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