第32期中国天元戦ー8強戦

1月27日に中国棋院で「第32期中国天元戦」の8強戦が行われた。
以下に8強戦の結果と準決戦の組合せをまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【1月27日(土):8強戦の結果】
謝科ー范廷鈺
時越ー趙晨宇
張涛ー周睿羊
韓一洲ー屠晓宇

【1月29日(月):準決戦の組合せ】
謝科ー時越
張涛ー韓一洲

世界戦優勝経験者の范廷鈺九段(第7回応氏杯)や周睿羊九段(第1回百霊杯)が敗れるなど、
中国囲碁界の競争の激しさが伝わると共に、次々と有望な人材が現れる層の厚さを感じる。
屠晓宇三段の快進撃は止まってしまったが、まだ14才なのでこれからの成長が楽しみだ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:全局的なバランス】
黒番は趙晨宇六段、白番は時越九段です。
白1のツケは囲碁AIが示した手法の一つで実戦例が増えています。
続いて、黒Aなど隅から受けるのは白Bと下辺に白陣を築かれてしまうので・・・。


黒2のノビは当然の一手。
白3に黒Aと受けるのは利かされなので、黒4と反発したくなるところです。
白5の切り違いはやり過ぎのようにも映るが、全局を見通した好手でした。


黒6から10と右下隅を固めれば、部分的には黒悪くないワカレです。
ただ、白11と右辺に十分な形を築けば、上辺の黒が薄くなるため全局的には白遅れてません。


上辺は黒から打っても地になりづらい場なので、黒12と左辺を割りにいきます。
これも囲碁AIが示した手の一つですが、現局面ではあまり良くなかったようです。


白13から17と反発するのが一つの形です。
左辺に白地を作られないよう、黒二子を捨て石に黒18、20と左辺で治まる展開を目指します。
白Aと制すのが手厚いですが、黒Bを許すと△の配石が甘くなるので・・・。


白21と左辺の黒にプレッシャーをかけたいところ。
黒22に白23、25と黒二子の抜きを優先したのが明るい構想でした。
黒26と治まりながら地を稼がれても、白27と左上を固めながら上辺に手を回せば白十分です。
部分的に判断すれば黒不満ないワカレですが、対局的には白良しとなっている好例です。
結果、白中押し勝ち。


【参考図1:押さえ込まれる】
白1に黒2と隅から受けるのは白3と下辺への進出を止められます。
左下にシマリが来ているので、黒としては避けたい進行です。


黒4、6と反発する一手ですが、白7と切りを入れてから白9とノビるのが好手順。
AとBを見られているので、黒悩ましい局面となります。


黒10など隅から受ける相場だが、白11から13と黒二子を切り離せば白十分なワカレ。
左下に控えていると黒不利な戦いを強いられるため、この変化は選びづらいです。


【参考図2:手番を許す可能性】
黒1に白2と押さえるのも考えられます。
ただ、黒3から7など脱出された際、白8と手を戻す必要があります。
時越九段は黒9と左上隅に先着されるのを嫌い、実戦の進行を選んだのかもしれません。



【実戦譜2:切れ味鋭い手筋】
黒番が周睿羊九段、白番が張涛六段です。
白1の切りは利きを作りながら上辺の黒二子を睨む好手です。
黒Aと手を戻すのは白Bと右辺への進出を止められて黒ひどい利かされになります。


黒2、4と反発しても、白5でAの封鎖とBと右辺を止める手を見れるので白成功です。
黒は両方の利きを防ぐことができないので・・・。


黒6と上辺を割ってシノギ勝負に持ち込みます。
ただし、左上の厚みを背景に白7から11と攻められて、黒苦しい戦いを強いられます。
白は右上の切りを基点に、上辺の黒を攻める呼吸を掴んで白好調です。
結果、白中押し勝ち。

「編集後記」
コメントを書く際、画像ファイルを張れるように設定を行いました。
長手順になる場合や口頭では伝えにくい場合などに使って頂ければ幸いです。

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コメント

  1. Zr より:

    こんにちは。いつも生放送見てます。

    昨日の趙晨宇vs時越戦で、左下のシマリにツケたのが疑問手だったという点には同感です。では実際どう打つべきだったかと考えるとなかなか悩ましい局面だったと思いますが、okao先生ならどう打たれますか?私ならA,B,Cが浮かびます。あまり有力ではないかもしれませんが、私だったら三々に飛び込むかもしれません。

  2. okao より:

    ご視聴ありがとうございます。

    三々入りも好点ですが、左辺の白陣を拡大されそうなので黒1と割りそうです。
    白2には黒3、5と治まれば、実戦より白に厚い形を許さずに打てます。
    ただ、左下隅に食い込めないので地の損得で本図が劣るため善悪の判断が難しいです。
    白6以下の進行が予想されますが、黒はシノギ自体に苦労はしないのでこれも一局。
    左上はA~Cと荒らす余地があり、これで黒バランス取れているように見えます。

    ※黒1でDのツメも打ちたいところですが、利いてくれない可能性があります。 

    • Zr より:

      早速お返事くださいましてありがとうございます。

      白4でC6にコスむ変化もありませんか?先の図に比べると黒がたくさん二線を這う結果になっており、個人的には白持ちです。ただ左下が厚いので全局的にはバランスが取れているのかもしれませんが…。

  3. okao より:

    左辺の厚みを活かせれば白悪くないですが、右下が堅いので簡単ではありません。
    後は棋風による好みと何十手先の想定ができるかなので、判断はお任せします。

    ※白4が有力と判断する場合、黒3の手抜きを考えてみてください。
     実戦例が多い戦術なので、研究すると面白いかもしれません。