第32期中国天元戦ー16強戦

1月25日に中国棋院で「第32期中国天元戦」の16強戦が行われた。
以下に16強戦の結果と8強戦の組合せをまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【1月25日(水):16強戦の結果】
謝科ー廖元赫
范廷鈺ー李軒豪
時越ー毛睿龍
趙晨宇ー檀嘯
周睿羊ー范胤
張涛ー彭立堯
韓一洲ー黄雲嵩
屠晓宇ー辜梓豪

【1月27日(土):8強戦の組合せ】
謝科ー范廷鈺
時越ー趙晨宇
周睿羊ー張涛
韓一洲ー屠晓宇

中国新鋭の屠晓宇三段が三星杯優勝者である辜梓豪九段を破り、8強戦に駒を進めた。
柔軟な発想に加えて、正確無比な読みの力は世界トップに匹敵する実力と見てよさそうだ。
棋譜を見た印象は、まるで囲碁AIの打ち方を会得したような石運びで付け入る隙がない。
近い将来、中国の第一人者まで成長する実力と才気を感じる棋士だ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:凄まじい着想】
黒番は屠晓宇三段、白番は辜梓豪九段です。
黒1から5の黒陣に対し、白6と三々入りするのが主流です。
以前は右辺に模様を築かれないよう、白Aとワリ打つのが無難と言われていました。
最近は囲碁AIの影響により、地を稼ぐだけ稼いで模様を荒らす構図を取る碁が増えています。


右下に黒が控えているので、黒7と押さえるのが当然の一手。
白8に黒9とケイマに外すのは、手番を得て大場に走ろうとする意図があります。
白10は手抜きしづらくする工夫だが、黒11と強引に封鎖されて難解な変化に突入します。
(手抜きした場合の変化は、こちらを参照ください)


白14、16と外周に傷をつけてから、白18から20と手を戻すのが手順。
白22まで、最近よく打たれる三々定石の変化なので、研究しておきたい形の一つです。


黒はシチョウが良くないため、黒23と白一子をカミ取る一手。
白24、26のシボリを決めてから、白28と様子見するまでがよく打たれる形。(こちらを参照)
この瞬間、黒29と相手の出方を見るのが面白い新手で、白の打ち方が悩ましいところ。
単に白Aなど受けるのは黒Bと上辺の黒を狙われ、白ツライ戦いを強いられます。


白30は黒Aを防ぎながら外周の黒に傷をつける狙いだが、黒31のツギが厳しかった。
白32、34と出れますが、黒35が右辺を守りながら白Bを防ぐ好手です。
続いて、白Cにも黒Dとダメを詰めながら守れば耐えているので・・・


白36、38と上辺の黒を制したので、黒39と白四子を制していい加減なワカレとなりました。
白は右辺の味を横目に、白40から44と中央を厚くして白好調に見えますが・・・。


黒45のホウリ込みが痛烈。
この一手により、白の形が大きく崩れるだけでなく、上辺の味が濃くなっていきます。


白46と抜く一手ですが、黒47から49と形を崩されては白ツライ展開です。
黒51まで、AとBを見合いにされて白収拾つけるのが難しい局面となっています。


白52とノビざるを得ないが、黒53から55が厄介な寄り付き。
白Aから黒六子を取り切っても、黒Bの締め付けが利くので中央の白が攻めの対象となる。


白56と締め付けを嫌うなら、黒57から59と右上の白を取れるので黒満足なワカレ。
上辺の白を補強するため白60と手を戻す必要があるが、黒61と大場を占めれば黒優勢です。
一連の流れを見ると、黒は随分前から本図の変化を想定したように感じます。(白Aは黒B)

「編集後記」
本局は左辺の攻防から黒が上辺の白を仕留める展開になります。
屠晓宇三段は正確な読みだけでなく、柔軟な発想も持ち合わせています。
今期の中国天元の挑戦者は彼が名乗りを上げるかもしれませんね。

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