第32期中国天元戦ー32強戦

1月23日に中国棋院で「第32期中国天元戦」の32強戦が行われた。
以下に32強戦の結果と16強戦の組合せをまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【1月23日(火):32強戦の結果】
謝科ー陳耀燁
廖元赫ー李欽誠
范廷鈺ー柁嘉熹
李軒豪ー范蘊若
毛睿龍ー党毅飛
時越ー李銘
檀嘯ー丁浩
趙晨宇ー古力
周睿羊ー鄔光亜
范胤ー严在明
張涛ー廖行文
彭立堯ー劉星
韓一洲ー陳賢
黄雲嵩ー唐韋星
辜梓豪ー童夢成
屠晓宇ー芈昱廷

【1月25日(水):16強戦の組合せ】
謝科ー廖元赫
范廷鈺ー李軒豪
毛睿龍ー時越
檀嘯ー趙晨宇
周睿羊ー范胤
張涛ー彭立堯
韓一洲ー黄雲嵩
辜梓豪ー屠晓宇

32強戦で世界戦常連の芈昱廷九段が屠晓宇に敗れる番狂わせが起きた。
2003年生まれの屠晓宇三段は中国ランキング132位で中国囲碁界期待の若手だという。
この勢いでどこまで上りつめるのか、注目していきたいところ。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:囲碁AI的な石運び】
黒番が屠晓宇三段、白番が芈昱廷九段です。
黒1に白2とカカリ返すのが流行している布石の一つ。
黒3、5は囲碁AIの手法で白Aなら黒Bと利かして左辺に白石を偏らせる意図があります。


最近は黒の意図を崩すため、左辺に構えずに白6から8など反発する実戦例が増えています。
黒9と左辺を割られますが、白10がAの傷を守りながら左上の助けに働く好点になります。


黒11と封鎖しながらAの打ち込みを睨むのが相場。
白12まで左辺の攻防が一段落した後、黒13と三々に入るのが大流行している手法です。


白14、16が最も打たれている受け方の一つ。
黒17に白18と強引に進出を止める変化が最近よく打たれる強硬手段です。
黒は強く戦う選択もあるが、黒19と穏やかに収束する変化を選択します。(こちらを参照)


白20と封鎖できれば白不満ないワカレに見えます。
しかし、黒21から25と外周に傷を残してから、黒27のノゾキが好手でした。
状況次第で黒A~Cを使い分けられる上、白から手を戻しにくい格好となっています。
白Dなど左下の黒を攻めても、下辺に大きな白地ができないため得策ではありません。
黒27で様々な問題を解決しており、屠晓宇三段の才気あふれる発想に脱帽しました。
結果、黒2目半勝ち。


【参考図1:打ち込みの一例】
黒1の狙いがあるため、左辺の攻防はそれほど黒甘くありません。
白2には黒3と白4を交換してから、黒5と左辺の白陣を突破する手筋があります。


白6と抵抗しても、黒7から11と脱出できるので黒成功です。(白Aは黒B)
左辺の白陣を荒らす手段が残っているため、黒は焦る必要はありません。


【参考図2:攻めづらい碁形】
白1と左下の黒を攻めたくなるところ。
ただし、黒2から4と脱出された時、▲が来ているため下辺に白地がつきづらい格好です。
白Aのツギは黒Bと粘られて、下辺の黒は中々捕まりません。



【実戦譜2:鋭い切り返し】
黒番が范廷鈺九段、白番が柁嘉熹九段です。
黒1の切りを利かしてから黒3と二段バネするのが鋭い返し技。
上辺を黒地にするよりも、中央の主導権争いで遅れを取らないことを優先しました。


白4、6で上辺の黒陣が破られてしまいます。(黒Aは白Bでシチョウ)
一見すると、黒が大損しているように見えますが・・・。


黒7から11と受けるのが相場。
白12、14と中央に手を戻されても、黒15から19と上辺を盛り上げれば僅かに黒優勢です。
范廷鈺九段の正確な形勢判断で局面を圧倒した好局となりました。
結果、黒中押し勝ち。


【参考図3:制空権喪失】
黒1の受けが相場に見えるかもしれません。
しかし、白2から6と押さえ込まれると、中央の白模様が見た目以上に深くなり黒劣勢です。

「編集後記」
屠晓宇三段vs芈昱廷九段戦は終始面白い攻防が続くので、ぜひ並べてほしい一局です。
芈昱廷九段の攻めを軽快にかわす屠晓宇三段の強さは本物と言わざるを得ない内容でした。
1、2年の間に頭角を現してきそうな人材であると感じましたね。

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