第32期中国天元戦ー1回戦

1月22日に中国棋院で「第32期中国天元戦」が開幕した。
本棋戦はシード16名、中国ランキング上位32名(棋戦優勝者など含む)が参戦して、
1月22、23、25、27、29、31日の六日間、連笑天元への挑戦権をかけて争われる。
持時間2時間+1分の秒読み5回、中国ルール(コミ7目半)で行われる。
優勝賞金は25万元(約430万円)、準優勝は10万元(約170万円)だ。
以下に1回戦の結果と2回戦の組合せをまとめたので参照ください。(左側が勝者)

【1月22日(月):1回戦の結果】
謝科ー陳豪鑫
廖元赫ー謝爾豪
范廷鈺ー蔡競
李軒豪ー謝赫
毛睿龍ー孟泰齢
李銘ー許嘉陽
丁浩ー高星
趙晨宇ー王泽锦
鄔光亜ー江維傑
严在明ー古霊益
廖行文ー楊鼎新
劉星ー曾志豪
陳賢ー蔣其潤
黄雲嵩ー於之瑩
童夢成ー李喆
屠晓宇ー陶欣然

【1月23日(火):32強戦の組合せ】※右側がシード選手
謝科ー陳耀燁
廖元赫ー李欽誠
范廷鈺ー柁嘉熹
李軒豪ー范蘊若
毛睿龍ー党毅飛
李銘ー時越
丁浩ー檀嘯
趙晨宇ー古力
鄔光亜ー周睿羊
严在明ー范胤
廖行文ー張涛
劉星ー彭立堯
陳賢ー韓一洲
黄雲嵩ー唐韋星
童夢成ー辜梓豪
屠晓宇ー芈昱廷

中国では棋戦成績に応じてポイントを割り振り、ランキングを定めている。(こちらを参照)
現時点での実力が反映されるため、過去の経歴を加味せずに純粋な実力の順位付けとなる
日本はタイトル保持者が上位を占め、同段なら名誉称号や獲得タイトル数等で順位が決まる。
理由の一つは、長い歴史のあるタイトル戦を大切にする文化的な要素が大きいからだ。
ただ、現代は実力主義なので、日本も独自の評価方法を考える必要があるかもしれない。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:本格派の布石】
黒番が蔡競六段、白番は范廷鈺九段です。
白1に黒2とケイマで受けるのは、AlphaGoが示した手法の一つ。
白3と黒4の交換をしてから白5と右辺を構えたのが面白い打ち方です。
局面の状況次第で白A~Cを使い分けられるため、黒は右上隅を放置しづらい格好です。


右上を睨まれながら打ち進めるのは得策でないので、黒6と手を戻すのが相場です。
黒地が固まった短所は大きいですが、白7と大場に走れれば全局的なバランスを取れてます。
黒8の三々入りは大流行しているものの、今回はうまくいかないようです。


左上の白が控えているので、白9と押さえるところ。
黒10に白11から17と封鎖を図るのが良い定石選択で、黒良くなる図が無さそうです。


黒18と傷を残してから黒20、22と左下隅に手を戻すまでが定石の一つ。
ただし、白23に守られると、AのツメとBから模様を築く好点が見合いで黒苦しい碁形です。
囲碁AIの手法は真似するだけでは中々良くならないので、しっかり考えなければなりません。
結果、白中押し勝ち。



【実戦譜2:三々定石の周辺】
黒番が謝爾豪五段、白番が廖元赫六段です。
白1に黒2の三々入りを優先するのは以前では考えられない手法でした。
現在はAlphaGoの影響で大流行しているものの、未知な要素が多く手探りな状況です。


白3、5の受け方がよく打たれる手法です。
手番を得やすい上、黒6から8には状況次第で白A~Cを選択できる長所もあります。
実戦は右上隅の手抜きを咎めるため、白9の両カカリを急ぎます。


黒10、12は無難な受け方です。
それに対し、白13から15と先手で隅を打ち切る手法を最近よく目にします。
黒16で整形できるだけでなく、黒Aがほぼ利きとなるため黒不満ないワカレに見えます。
ただ、白17が▲の受けと黒Bを守る働き、右上の厚みを牽制する一石三鳥の手になります。


黒18と白19を交換してから、黒20と左辺を割るのが定石後の石運び。
白21に黒AやBなら白悪くないですが、黒22と飛躍したのが工夫の一着でした。
左上の白を睨まれているので、白は補強する必要があります。


白23と守るのが相場。
黒24から28と左辺を補強すれば、全局的に黒厚い碁形となります。
白29、31と先手で補強した後、白33と足早に展開して対抗するのは自然な流れ。
黒の厚さを背景にAを狙う展開になりますが、白Bから削れるので一筋縄ではいきません。
本局は互いに絶妙なバランスを取れた面白い序盤戦でした。
結果、白中押し勝ち。


【参考図:工夫不足】
黒2には白3と左辺の黒に圧力をかけながら守られてしまいます。
黒4で実戦と似た進行を辿るが、白5から7で左辺の黒が実戦よりも薄く黒不満です。
また、AやBの狙いがあり、左上の白は見た目ほど弱い石でないのもツライところ。

「編集後記」
今日は雪の中を踏破する帰宅となりました。
ただ、この情景がゲーム開発に役立ちそうとか、雪の中を歩く心境はこんな感じなのかと、
いろいろと思いを巡らせながら帰れたので、いろいろと参考になりました。
新しいことを始めると物事の見方が大きく変わるものですね。

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