AlphaGoTeaching(5)【高中国流の研究】

中国流は若干白良しになる進行が多いため、高中国流が打たれる機会が増えました。
黒番はコミの負担があるので、高く構えて少しでも大きな地を作るためです。
AlphaGoはどのような打ち方を推奨するのか、検証していきます。


【テーマ図:高中国流の新常識】
人間界では、白1に黒Aと低く受けてバランスを取るのが主流。
「高い構えなら低く受け、低い構えなら高く受ける」のが布石の相場だからです。
ただ、AlphaGoは右辺の高低に関わらず、黒2と高く受けるのを推奨しています。
人間以上にコミの負担が重いと判断し、大きな地を作る石運びが必要だと見ているようです。


黒4から8と簡明に形を決めるのは意外でした。
右辺はAの打ち込みなどが残る場なので、地に甘いように見えるからです。
ただし、中国流よりも高く構えているため大きな地に可能性があり、優劣の判断が難しい。
黒10と白11を交換して、右下の模様の広げ方が焦点になりますが・・・。


黒12と右辺を囲うように受けるのがAlphaGoの最善手です。
前回同様に、下辺に構えるよりも小目周辺に芯を入れるのが有力だと判断しています。
ただ、白Aなどの味がある上、右下に手を戻すピッタリした手がなく難しい手法と言えます。


白13と稼げるだけ稼ぎ、黒14と構えた瞬間に白15と荒らしに行くのがAlphaGoの常套手段。
右下の白を追及するのは難しいので、黒16と白模様拡大を牽制しながら中央を目指します。
こうした中央の呼吸を掴めれば、碁の打ち方が大きく変わってきそうですね。
※AlphaGoは黒の勝率43%と出していますが、個人的には互角に近い形勢だと思います。


【参考図1:サバキの手筋】
黒2と辺の進出を止めるのは、白3のツケがサバキの手筋となります。
続いて、黒Aは白Bでシノギ形を得られるので・・・。


黒4と手堅く受けるのが相場。
ただ、白5から9と右下隅を荒らされた際、▲が重複しているので黒の効率が悪いです。


【参考図2:生きを優先】
前図のサバキを避けるため、黒2と隅を固めるなら白3と生きを図るのが簡明です。
白3を綺麗に止めるのが見た目以上に難しいので、白は容易にシノギ形を得られます。
白は稼げるだけ稼ぎ、黒模様を消すのがわかりやすい構想でしょう。

「編集後記」
AlphaGoは様々な可能性を示す一方、これは使いこなせないと感じるものも多いですね。
ただ、発想自体は学ぶべき点が多いので、頭の片隅に置いておけば何かの役に立ちそうです。
例えば、今回のように中央へ石を放るのは中々思いつかない石運びです。

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コメント

  1. 東大阪の会代表 より:

    はじめまして、待望の井山杯を開催しました「東大阪囲碁研究会」のAです。一年程前にこちらの研究所を知りました。「AlphaGoTeaching(5)【高中国流の研究】」の黒16手目の価値がわからず、この先の予想進行図を並べていますが、僅差ながら白が優勢の局面だと思います。AlphaGoは何故黒16を選択したのでしょうか。もう少し研究を続けます。

    • okao より:

      1つ目の理由は右下の白を追求してもサバキがあり、手抜きで相手の意図から脱却する必要があります。(サバキは本記事の参考図1、2を参照ください)
      手割をすると白15のツメに黒14とハサむ手順に戻るので、石の効率が下がりにくいです。

      2つ目の理由は、右辺の黒模様を広げると上辺や左辺に白陣を築く調子を与えるため、
      かえって白が黒模様を荒らせば勝てる構図を許してしまいます。
      黒16は碁の流れが単調にならないよう、絶妙なバランスで複雑化させる位置ですね。
      (場合によっては左辺に黒陣を築く、上辺を封鎖して右辺の模様拡大、白模様を広げるなら黒16単体が消しの手として働くなど、言い出したらキリがありません)

      記事にその辺りの事情をかければと思いましたが、長文となるので割愛しました。

      • 東大阪の会(研究会) より:

        黒16の優劣ですが、いくつか予想図を試みました。
        右下三々につける変化は、黒19が厚みに近寄り過ぎて、下辺が黒地になりにくい展開になり(A図)、白20を捨て9-17に打ち込む変化も、中央に先着して白が戦いやすい(B図)。当研究会では、ほぼ白優勢の局面が予想されます。添付の仕方が分からないので、メール頂ければA図B図を返信します。(尚、黒16は、A図B図手数では、黒21になります)

        • okao より:

          貴重なご意見ありがとうございます。
          棋風にもよりますので、判断は分かれると思います。
          黒16の主題はその手自体の優劣よりも、他の手で局面を打開できるかですね。
          単調な石運びでは白の方針がわかりやすくなってしまいます。
          他の手があれば良いのですが、アルファ碁の発想を上回る手法が自分には思い付きません。

          また、コメントや問い合わせから添付ファイルは送れない作りとなっています。
          今後はHP上に碁盤を貼り付けてそのデータを自分に送れる作りにするか、
          添付ファイルを送れる形にするか、検討していきます。

  2. 東大阪の会(研究会) より:

    ご返信有難う御座います。テーマ図アルファ碁が選択した黒16の代わりに、当研究会では、黒6-15の下辺一間飛びが有力ではないかと結論付けました。その理由は、A図B図とも黒19が自分の厚みに寄り過ぎて、白はさばきやすい上、どちらの予想図も黒6-15の下辺一間飛びが有力であります。もう一点は、どちらの予想図からも黒16を活かしにくいとの判断も結論付けた理由です。添付機能が出来ましたらお知らせください。

    • okao より:

      トビも好点なので、悪くないと思います。
      ただし、白に下辺の模様を消す選択肢を与えるため簡単ではなさそうです。

      それぞれの長所短所を把握出来ていれば、後は個々人の判断になるのでお任せします。
      例えば、記事では割愛しましたが、黒16はシチョウアタリにも働く長所があります。
      ただ、細かい技術は些細なことなので知っていれば得する程度と見ればよいと思います。

  3. 東大阪の会(研究会) より:

    okao先生、貼り付け機能がわかったので、再度アップさせて頂きます。
    「AlphaGoTeaching(5)【高中国流の研究】」黒16の件です。
     アップした画面のA図B図は、手順上、黒21になります。
    (A図)右下三々につけても、黒19が厚みに近寄り、下辺が黒地になりにくい展開
    (B図)白20を捨て9-17に打ち込む変化も、中央に先着して白が戦いやすい。

    先生に黒21のトビも悪くないとの判断から、C図D図をつくりました。
    どちらも、微差ながら白優勢ではないでしょうか。

  4. okao より:

    長手順の図を見ると、深く研究されている事実が伝わってきます。
    ただ、どの図も難しく考えすぎており、改良の余地が多いように感じました。
    今回は発想が主題なので、細かい技術は割愛させてもらいます。

    「悪くない」というのは必ずしも黒優勢の意ではありません。
    基本的に差がある場合に優勢と表記しますが、それ以外では優勢と表記しません。
    囲碁界では暗黙の了解ですので、本ブログもその意味で表記しています。

  5. 東大阪の会(研究会) より:

    先生、コメント有難う御座いました。
    「AlphaGoTeaching(5)【高中国流の研究】」黒16優劣の研究は、一旦終了しますが、
    他にコメントがありましたら、連絡ください。

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