第5回世界囲碁名人戦ー決勝戦

1月10日に中国・雲南省の保山官房大酒店で「第5回世界囲碁名人戦」の決勝戦が行われた。
大激戦となった本局は中国の連笑九段が優勢を築き、勝利目前まで打ち進める。
しかし、中盤戦で僅かな綻びを韓国の李世乭九段が咎め、逆転勝利となった。
夢百合杯に続き、世界囲碁名人戦を韓国が奪取し、韓国の存在感を示した。
さて、対局を振り勝っていきます。


【実戦譜1:カカリ返しの対抗策】
黒番が李世乭九段、白番が連笑九段です。
黒1に白2のカカリ返しが有力と見られている戦術の一つ。
黒Aの両カカリでは白良しになるので、実戦は黒3と右上の白に働きかける打ち方を選択。
本局の戦型がカカリ返しの対抗策として、今後深く研究されていきそうです。(こちらを参照)


白4のツケに黒5とヒラくのは、数年前に発見された手法です。
黒は白を必要以上に固めず、右辺を占めながら右上の白を睨む意図があります。
上辺の黒陣が薄いので、白6から8と中央を厚くして打ち込みを狙うのは当然の石運び。


部分的には黒9から13と右辺を固めれば黒不満ないワカレです。
ただし、白14が上辺の黒陣を二分する好点で、上辺の戦いは白に主導権を握られます。


黒15の両カカリに回り、焦点は左上の攻防となりました。
白16、18に黒19と三々に入るのは比較的穏やかな定石選択です。
黒21に白Aと手を戻せば立派な形となりますが、黒Bなどの動き出しが厄介なので・・・。


白22のツギで右上の白を整形します。
黒も薄い格好なので、黒23など手を戻すのが相場です。
右辺の黒陣が深くなる前に、白24と形の急所を突きながら右辺を割っていきます。
黒27まで、白Aの狙いはありますが、右辺の白は窮屈で白容易ではありません。


白28、30と右上の黒に追及していきます。
黒31を捨て石に黒33と断点を先手を守ったのがうまい石運びでした。
白34まで、右辺の白はシノギ形となりますが、黒35と上辺に先着できれば十分取り戻せます。
右上の白が薄いだけでなく、黒Aから左上の白を攻める狙いもあり黒の楽しみが多いです。


【参考図1:足の遅い構想】
白1と手を戻すのは手厚い本手。
しかし、黒2から4と右上の白に寄り付かれるのが見た目以上に厳しい追及です。


白5と積極的に受けたいところだが、黒6から10と根拠を奪うのが好手。
Aの切りとBの脱出が見合いで白窮している格好です。


【参考図2:絶芸の巧みな石運び】
黒1と中央に頭を出した瞬間、白2と様子見するのが囲碁AI・絶芸が示した手。
右辺の白の根拠がハッキリしていないので、黒3と頑張りたいところ。
しかし、白4から6と脱出した時、A~Cの狙いや利きがあり右辺の白に余裕が生まれます。
人間的には中々思い浮かばない発想ですが、打たれて見ると成程と思える着想です。



【実戦譜2:李世乭九段の剛腕】
黒1に白2とダメを詰めたのが躓きの始まり。
黒3のワリ込みが間隙を突いた好手で、下辺の白が途端に危ない格好となっています。


白4、6の受けには、黒7で△の四子を制しながら下辺の白を分断できています。
右辺には鉄壁の壁が控えており、白シノぐのは容易ではありません。


中央の利きを横目に白12、14とシノギを図りますが、黒15が決め手で白全滅です。
僅かな隙を見逃さない李世乭九段の勝負強さが勝利を手繰り寄せました。
結果、黒中押し勝ち。


【参考図3:簡明に収束】
地合いは白良しなので、白2から6と形を決めるのが簡明だったと思います。
先に地を損する打ち方ですが、相手に変化の余地を与えずに下辺の白を連絡できます。


黒7に白8から12とシボるのが手筋です。
中央の黒はダメヅマリなので、下辺の白を分断することができません。


黒13、15と進出してきても、白16に黒Aと手を戻す必要があり白連絡できます。
右辺の黒地が多少削れているので、白そこまで損をしておらず白が少し残る形勢です。

「編集後記」
本棋戦の決勝戦は互いの読みがぶつかり合う大激戦でした。
世界で戦うには、こうした力戦で力負けしない強さが必要であると改めて感じますね。

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