第5回世界囲碁名人戦ー2回戦

1月9日に中国・雲南省の保山官房大酒店で「第5回世界囲碁名人戦」の2回戦が行われた。
日本の井山裕太九段は序盤早々の三々入りを採用し、意欲的な石運びを見せる。
しかし、韓国の李世乭九段の力強い収束が光り、見せ所を作れず投了を告げた。
本棋戦は残念な結果となったが、LG杯決勝を始めとする世界戦での活躍に期待したい。
さて、対局を振り返っていきます。


【実戦譜1:三々入りの攻防戦】
黒番が李世乭九段、白番が井山九段です。
白1の三々入りは囲碁AI・AlphaGoが好んで用いる戦術で大流行しています。
それに対し、黒2から4は相手の出方に合わせて対応できる柔軟性のある受け方です。
最近は三々入りを警戒し、小目や三々を選択する棋士がいるぐらい有力と見られています。


白5は比較的簡明な打ち方。
黒6から10はシチョウ関係が良い時に用いられる封鎖の仕方です。
様々な決め方が考えれますが、白は外周に傷を残す打ち方を選択することが多いです。


白11の切りを入れてから白13と右上隅を治まるのが定石化された手順。
人間的には黒Aと利かすのが一般的な発想ですが、最近は黒14と打つ実戦例が増えています。
AlphaGoが示した対処法で、黒14の切りを入れる意味は意外にも深いのです。(参考図参照)


白15の抜きは当然の一手。
黒16、18と整形して右辺に対して厚くするのが黒の意図です。
上辺よりも右辺の方が若干価値が高い場だったので、黒の定石選択は適切と言えそうです。


白19のシチョウアタリが井山九段の狙いでした。
通常、黒20とツガれて左下の黒陣が強固になるため、ひどい悪手です。
ただし、白21と逃げ出せれば右上の攻防で十分取り戻せると見ているようです。


黒22とケイマに外したのが好手でした。
白23から27と分断されても、上辺と右辺の黒は厳しく攻められない格好です。
▲と△の交換は黒良しに働くので、この損失を取り戻すのは白容易ではありません。


【参考図:シチョウアタリの守り方】
白2と緩いシチョウアタリに対して、黒3と右辺を占めながら守れるのが黒の自慢。
一見すると、白Aが残っているようにも見えますが・・・。


白4には黒5、7と封鎖して白を取れます。
白8のツケが手筋に見えますが、黒9の抜きが冷静です。
続いて、白Aは黒Bで白の抵抗を封じます。



【実戦譜2:冷静な収束】
白1の打ち込みに黒2と▲を捨て石に左下の模様を広げるのが好判断。
左下の黒が非常に厚い格好なので、黒模様を見た目以上に深くなっています。


白3と左上の黒を制すのは仕方ないところ。
しかし、黒4から8と中央の白を追及するのが強烈でした。
中央の白を攻める意図もありますが、本命は左下一帯の模様をまとめることにあります。


白9は勝負手だが、黒10と中央に働きかけられて白の打つ手が悩ましい。
単に受けていては左下の模様が完成してしまうので、白11と反発したくなるところ。
しかし、黒12から14と整形してから黒16と左辺を囲う調子を与えるため白劣勢です。


白17に黒18、20が簡明な決め手でした。
△を取られては黒の薄みが消えて白の勝機がなくなるが、黒Aを許しては地合いは大差です。
この後も懸命に追いすがりますが、李世乭九段が正確に収束し黒中押し勝ちを収めました。
結果、黒中押し勝ち。

「編集後記」
李世乭九段の正確な収束と柔軟な石運びが光った好局でした。
明日の決勝戦はどのような碁を見せてくれるのか、楽しみですね。

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